蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

東京都政は石原都知事のおもちゃ?―“新銀行東京”の巨大赤字!―

2007-03-25 12:17:12 | 時事所感
3月24日(土)曇り。夕方より小雨、暖。

 朝、郵便受けを覗く。新聞でいっぱいである。土曜日の朝日は、折込のあんこで、はちきれんばかりだ。なるほど少しは景気が上向いているということか。そして、もう一紙、赤旗日曜版が入っている。日曜版だというのに土曜に配達されるのはどういうわけだろうといつも一瞬頭をよぎる。

 この日曜版、義理で取らされ始めて2年近くなるが、最初の頃は、どうせ大企業からもっと税金取れ、それを福祉にもっと回せの決まり文句の羅列だろうと半ば馬鹿にしていた。

 しかし、最近、石原都知事の税金豪遊問題とか、偽装請負の実態等、他の大新聞では見られない丹念な追跡調査記事を散見するようになり、一目置く感じで、今日は何やらんとページを開くようになった。

 今朝もこんな大見出しが目に飛び込んできた。『あ~もったいない1000億円 石原知事 新銀行 破たん寸前 自民・公明 民主が礼賛』とあった。

 そしてリード記事には、『東京都民の税金1千億円が出資された「新銀行東京」が、事実上の経営破たんにおちいっています。開業からわずか1年半で累積赤字は何と456億円。このままでは2、3年で資本金を食いつぶしかねない重大事態です。東京都の元幹部さえ「誰もが失敗すると思っていた」という新銀行がなぜ、設立されるようになったのか…。』とある。

 さらに記事を読むと、『新銀行の開業は2005年4月。石原知事は記者会見で「ほかの銀行では逆立ちしてもできないことをやろうと思っています」と胸をはりました。…
ところが、昨年9月の中間決算で、回収不能損失額は想定の3倍の58億円。しかも預金5436億円に対して貸し出し残高は2349億円。預金に対して融資が大きく伸び悩み、融資先がなく、今や当初新銀行に創設に関与した副知事が、大手企業にグループ企業で融資を受けてくれと勧誘して歩いているという。
 「これでは経営が苦しくなって当然」と大手銀行幹部は語る。
  …都庁内でも「知事と知事側近以外はみんな反対だった。しかし、オール与党が賛成で、知事のおもちゃと考えれば1千億円は安いもんだという雰囲気でがっかりした」と都元幹部職員は振り返ります。…』とあった。

 日本一の金満東京都は、何と鷹揚なことだろうか。“知事のおもちゃと考えれば1千億円は安いもんだ”とはどういうことだろうか。

  これでは、今、財政破たんで財政再建団体として今後20年近くも借金返済で苦しまなくてはならない夕張市の借金は、高々600億円にしか過ぎないということになるではないか。
  同じ日本国内でありながら、じっとしていても景気が上向けば自然増収が6000億円とかの東京都。だからと言ってこんな天に唾するような、言辞が許されていいものだろうか。
  東京都民は、ここまで愚弄されても、石原都知事と、その側近並びに石原知事の得体の知れないオーラーに、何とかしがみついていたい都議会与党のぶら下がり議員を選びつづけるのだろうか。

  そして、この“新銀行東京”の創設秘話と巨大赤字の顛末について、そのアイディアの提示者であった大前研一氏は、3月8日の『企業リスク対策(第68回)”東京都の銀行“、巨大赤字の真相SAFTY JAPAN「コラム」日経BP』で次のように書いている。

  これによれば、石原氏は大前氏のアイディアをたちまち換骨奪胎、似ても似つかないものにしてしまい、大火傷をしたことが、よく分かる。

 ■ 東京都銀行の巨大赤字 大前研一

http://jp.f108.mail.yahoo.co.jp/ym/ShowLetter?MsgId=2121_8786647_2438_1598_5671_0_14941_13607_3696536227&Idx=4&YY=39340&inc=25&order=down&sort=date&pos=0&view=a&head=b&box=%c6%fc%b7%d0%a5%d3%a5%b8%a5%cd%a5%b9%b4%d8%b7%b8


ー追記ー
 上記、58億円の貸倒金の中には、都内や近県で詐欺を繰り返していたリフォーム会社に融資したものもあるという。いかに杜撰な貸し出しをしていたかということである。
 しかも、その85%は創業時の2005年4月から12月に集中しているという。
 
そして、今一つ興味を誘われるのは、新銀行東京のホームページで公表されている同銀行の株主構成である。
 筆頭の東京都が84.22%を持つのは当然として、日立製作所、NTTコミュニケーションズが各2.11%、あいおい損害保険が、1.69%、信金中央金庫0.97%、についでオリックス、鹿島、大成、三井住友海上火災、日興コーディアルグループが各50000株の0.84%となっていることである。

 これを一覧すると、これらの企業がいかに東京都日頃の付き合いが深いことを物語るものではないだろうか。

 でなければ、中には金融業とは一見関係のない、営利に聡いこれら企業が、大手銀行がその先行きを危惧したような、殿様銀行に誰が大枚出資するだろうかということだ。
 特に、鹿島は、都が進める秋葉原の再開発に深いかかわりがあるとの噂を聞いた覚えがある。

 さらに言えば、これらの出資に対して、しかるべき配当がなされるのであればいいだろうが、もし赤字が今のまま累積して、倒産整理となった場合、都は、これら出資者に対して、その損失の見返りをどうつけるのだろうか。
 まさか、「ごめんなさい、見込み違いでした」、だけで済むものだろうか。

 大体、民間企業との関係については、何事にも公正中立を求められる地方自治体が、出資の形とはいえ、特定民間企業と組んで何か事業を行うこと事態、地方自治法の建前から、また行政の姿勢ととして、いびつな本来あってはならないことではないのだろうか。
 このことを、問題にしない識者とは何なんだろうか。

 哀しいかな、山家の隠居は、禿頭をただ振ってみるしかないのである。