写真はレナード・バーンスタイン(Leonard Berstein/1918~1990)通算3回目の録音となる「イスラエル・フィル」とのドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調「新世界から」の「ドイツ・グラモフォン」オリジナル盤である。(DG/427 346-2)録音は1986年9月、パリの「サル・プレイエル(Salle Pleyel)」におけるライヴ・レコーディングだが会場の聴衆のノイズがほとんど聴きとれないのでコンサートの「ゲネ・プロ」等を再編集されたものと推測される。
バーンスタインはこの作品をこれ以前にモノラルで先日も紹介した「ニューヨーク・スタジアム響(ニューヨーク・フィルの別称)」と1953年(米デッカ)、ステレオで「ニョーヨーク・フィル」と1962年(CBS)に録音している。しかしこの「イスラエル・フィル盤」の演奏スタイルは前ニ者とは全く対照的である。この演奏では「第1楽章」の主題提示部の反復を実行しているとは言え全体の演奏時間も50分を超える「新世界」になっている。同年にニョーヨーク・フィルと録音したチャイコフスキーの「悲愴」の演奏も終楽章が17分近い粘り気のあるものだったがこの「新世界」も同様な感じを受けた。因みにこの「新世界」では「第2楽章Largo」の演奏時間が18分を超えている。実に晩年のバーンスタインらしい悠々、堂々とした演奏に魅力を感じる。CDの余白には1988年6月に同フィルのホーム・グラウンド、テル・アヴィヴの「ウィリアム・R.マン・オーディトリアムにおけるライヴ録音、ドヴォルザークのスラヴ舞曲第「1番ハ長調」・「第3番変イ長調」・「第8番ト短調」の3曲がこちらは聴衆の拍手入りで収録されている。
最後に余談になるが初出のジャケット・デザインだが写真のドイツ原盤はゲルアルト・ノアック(Gerhard Noack)のイラスト画が用いられていたが国内盤CDでは指揮姿のバーンスタインの写真が使用されていた。