エフゲニー・ムラヴィンスキー(Jewgenij Mrawinskij/1903~1988)が生涯に遺した「レニングラード・フィル」とのチャイコフスキーの後期交響曲録音(第4番~第6番)はライヴ録音も含めると数えたことはないが相当な数にのぼると思う。その中で現在でも同曲の「不滅の名盤」としてまた彼の代表盤としても必ず話題になる録音が彼らが1960年にヨーロッパ演奏旅行中に「ドイツ・グラモフォン」にステレオ・レコーディングした一連の演奏である。因みに「第4番」がロンドンの「ウェンブリー・タウン・ホール」、「第5番」と「第6番」がウィーンの「楽友協会大ホール」で行われている。筆者も学生時代に写真の「第5番」を含む国内盤の一連のシリーズ(LP)を買い求めた。
演奏は早めテンポで押しすすめ一寸の隙間もなく見事なチャイコフスキーの世界をムラヴィンスキーがストレートに表現したところに魅力を感じる。とりわけ筆者はこの「第5番」の演奏が一番好きでしばしば針をおろしている。余談ながらジャケット・デザインは国内初出盤のものより写真の1960年代末に見開きジャケットで再リリースされた(S)MGー2069~2071のシリーズを気に入っている。(写真/「第5番」-SMG2070)