ハンガリー指揮者界の星であったイシュトヴァーン・ケルテスがテル・アヴィヴで遊泳中に事故で43歳の若さで亡くなったのがもう今から40年近くも前になる1973年のことである。彼のレコード録音は「英デッカ」に「ウィーン・フィル」や「ロンドン交響楽団」と行った名盤が遺されているがこの「ロンドン交響楽団」と1964,5年頃レコーディングしたブルックナー/交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」は彼の唯一のスタジオ正規録音である。
国内盤のLP盤の初出は1966,7年頃のだったと思うが初CD化は意外に遅く2006年になってからだった。(UCCD3541)「英デッカ」録音の特徴でもある柔らかい響きがケルテスの繊細で巧みな棒さばきにより冴え渡った「ロマンティック」に仕上げている。初出盤LPレコード(SLC1557)には「1878-80年ハース版」と使用楽譜の明記がある。今聴いても聴きごたえ充分のブルックナー「第4番」と感じた。