以前にギリシャの名匠ディミトリ・ミトロプーロス(Dimitri Mitropoulos/1896~1960)の「ラスト・コンサート」となったケルン放送交響楽団(現、WDR交響楽団)ほかによるマーラーの「交響曲第3番」のライヴ盤(1960年10月31日)を取りあげたことがあったと思うが本日紹介するこのメンデルスゾーン/交響曲第3番「スコットランド」も彼が亡くなるおよそ1週間前の放送録音である。(1960年10月24日、Fankhaus,Saal-1,WDR Cologne)
写真のCD(「Medici Artsレーベル」ーMM014-2)にはこのほかにミトロプーロスが「ケルン放送響」に客演した時の放送音源からメンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」(1957年7月19日録音)とフランソワ・クープランの「4声のソナタ<スルタン妃>」から「序奏とアレグロ」(ダリウス・ミヨー管弦楽編曲版/1954年7月16日録音)も収録されている。これらの作品は元来ミトロプーロスが得意としていたものでそれぞれニューヨーク・フィルハーモニックとのスタジオ・セッション録音(モノラル)も遺されているがこの放送用ライヴ録音も彼らしい切れ味のある名演に仕上がっている。また「スコットランド」はこの年の「ザルツブルク祝祭音楽祭」でのベルリン・フィルとのライヴ録音(1960/8月21日)も「Orfeoレーベル」からリリースされているので聴き比べも興味深い。