カール・ベーム(Karl Böhm/1894~1981)はドイツ、オーストリアの古典派、ロマン派の作品を大変得意としていた指揮者だったが今日紹介するロベルト・シューマン(Robert Schumann/1810~1856)に関しては生涯ほとんど録音しなかった。筆者の手元の彼のディスコグラフィーを見てもSP時代の1942年にワルター・ギーゼキング(ピアノ)、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団と録音したピアノ協奏曲イ短調作品54(EMI)の他には今日紹介する最晩年のウィーン・フィルとの交響曲第4番ニ短調作品120が存在するのみである。なぜベームがシューマンの作品にあまり関心を示さなかったのかは今となってはその真意は不明だが作品との合性というものがあったのかも知れない。いずれにせよ写真のLP、1978年録音の第4番の録音は貴重なものである。
今その演奏を改めて聴いてみると決して彼が決してシューマンを不得意としていたわけではないことがわかる。演奏に派手な演出や小細工はないけれどその悠然とした作品への取り組みが巨匠たる風格をかもし出し気品のあるシューマンに仕上がっている。そこにはウィーン・フィルのたおやかな弦の響きも心地よい。また第1面に収録されている彼が得意とするシューベルトの交響曲第5番変ロ長調D.485の演奏も1966年のベルリン・フィルとの演奏とはまた違った味わいを聴かせている。録音は先のシューマンより約1年余り後の1979年12月にされたものでウィーン・フィルとは前回1953年のモノラル録音(デッカ)から26年の歳月を経ての再録音であった。ここでも同様にウィーン・フィルの弦、管楽器の柔らかい音色にうっとりとさせられる。ベームの最晩年の枯淡の境地が余すことなくうかがえる演奏と言える。
今その演奏を改めて聴いてみると決して彼が決してシューマンを不得意としていたわけではないことがわかる。演奏に派手な演出や小細工はないけれどその悠然とした作品への取り組みが巨匠たる風格をかもし出し気品のあるシューマンに仕上がっている。そこにはウィーン・フィルのたおやかな弦の響きも心地よい。また第1面に収録されている彼が得意とするシューベルトの交響曲第5番変ロ長調D.485の演奏も1966年のベルリン・フィルとの演奏とはまた違った味わいを聴かせている。録音は先のシューマンより約1年余り後の1979年12月にされたものでウィーン・フィルとは前回1953年のモノラル録音(デッカ)から26年の歳月を経ての再録音であった。ここでも同様にウィーン・フィルの弦、管楽器の柔らかい音色にうっとりとさせられる。ベームの最晩年の枯淡の境地が余すことなくうかがえる演奏と言える。