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とっておきの名盤 その127 ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集

2008年06月12日 | とっておきの名盤「協奏曲」
バックハウスは1884年、大バッハゆかりの地であったドイツ中央部のライプツィヒに生まれ、ドイツ正統派ピアニストの道を確固たる信念を持って歩み続け、その生涯を終えた人であった。
19世紀終わり頃のブゾーニ、ダルベールを経て、シュナーベル、バックハウス、ゼルキン、アラウ、ケンプらに受け継がれてきた”ドイツ派のピアニスト”と呼ばれた演奏家たちの代表格であり、最も辛口の、最も虚飾というものに縁の無い、ただひたむきな質実剛健のピアニストが彼であった。
演奏会では、その姿に辺りを払うような威厳があり、ピアノの前に腰をかけると、即興的に曲目と関連した調の分散和音など弾き始めたという。
彼は、1969年の音楽祭における演奏会で心臓発作に襲われ、その後85歳の生涯を閉じることになるのだが、そこで最後に弾いた曲はシューベルトの即興曲作品142-2であった。
その時の演奏は、「何という感動、そこにはこの世への別れの思いが強くこめられている。」と評され、今でも語り草になっている。
私がバックハウスを知ったのは、雑誌かライナーノートの文章で、彼のことが「鍵盤の獅子王」と表現されていたのに強い印象を覚えてからだった。
ベートーヴェンの32のピアノソナタなどは、余りにも厳格すぎる所があって、素直についていけないものがあるが、彼の良さが総てプラスに働いているこのピアノ協奏曲全集は素晴らしい。
名伴奏で知られるイッセルシュテットの指揮振りとウィーンフィルの魅惑的な音色もとりわけ秀でている。
有名な「皇帝」のベストファイヴを挙げておくと、
・アルトゥール・ルービンシュタイン<P>、ダニエル・バレンボイム指揮、ロンドンフィルハーモニック管弦楽団 <RCA>
・ウイルヘルム・バックハウス<P>、ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮、ウイーンフィルハーモニー管弦楽団 <LONDON>
・ルドルフ・ゼルキン<P>、レナード・バーンスタイン指揮、ニューヨークフィルハーモニック管弦楽団 <CBS>
・フリードリッヒ・グルダ<P>、ホルスト・シュタイン指揮、ウイーンフィルハーモニー管弦楽団 <LONDON>
・ルドルフ・ゼルキン<P>、小沢征爾指揮、ボストン交響楽団 <TELARC>

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