クラシック 名盤探訪

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この曲この一枚 その1 トーマス・ルイス・ヴィクトリア:「レクイエム」

2009年08月03日 | この曲この一枚
  
作曲家たちが心を込めて作り出した素晴らしい曲、その魅力を最大限に引き出して聴き手に深い感動を与えてくれる演奏、そして優れた録音、そんな愛着極まる「この曲この一枚」を順次取り上げて行きたいと思う。
「五大レクイエムと呼ばれる曲は、モーツアルトヴェルディ、フォーレ、ケルビーニ、そしてベルリオーズのものとされるが、私としてはケルビーニではなく、スペインの生んだルネサンス音楽最大の作曲家の一人ヴィクトリアのレクイエムを挙げたい。」とこのブログで書いたことがある。
古楽というバッハ以前の音楽、特にルネサンス期宗教音楽の中で一つの頂点を築いたトーマス・ルイス・ヴィクトリア(1548-1611)の存在をはずすことは出来ない。
教会音楽という限られた領域内のみで活躍した音楽家だが、パレストリーナなどのイタリア・ルネサンス音楽に比べ、線の太さと熱い感情の高まりを感じさせるスペイン特有の宗教的な熱さが、このレクイエムの随所に聴き取れる。
演奏しているイギリスの声楽団体、タリス・スコラーズの名前の由来だが、16世紀イギリスの作曲家トマス・タリス(1505頃-1585)の音楽を学びきわめる人々の意だという。
トマス・タリスはもちろん、ジョスカン・デ・プレなどのフランドル楽派、パレストリーナ、アレグリ、そしてヴィクトリアなどのルネサンス期の作曲家の作品の演奏を得意としているが、その透明で伸びのある美しい歌声に耳を傾けると、一瞬にして聴くものをステンドグラスの輝く空間へと誘ってくれる。
この曲この一枚として、まずは挙げておきたい一枚。
・ペーター・フィリップス指揮、タリス・スコラーズ <Gimell>

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