クラシック 名盤探訪

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この曲この一枚 その14 R.シュトラウス 楽劇「エジプトのヘレナ」

2010年08月04日 | この曲この一枚
 
このオペラはつい最近、新国立劇場で観たR・シュトラウスの楽劇「影なき女」を完成した後、幕間劇「インテルメッツォ」をはさんで10年後に書き上げたもの。
これまで二人三脚でやってきたホフマンシュタールによる台本、好みのギリシャ神話の題材、円熟期にあったシュトラウスが4年間没頭の末書き上げた曲ということで、1928年の上演には全ヨーロッパや海外の客まで集まってこれを聴いたという。
6年間に50回演奏されたが、ドイツ・オーストリア以外の国では上演を見なかったというのが不思議で、「サロメ」や「ばらの騎士」が特別列車で客を運ばねばならぬほど成功したのに、この曲では何故そうはいかないのかと首をかしげる人も多かったらしい。
最近上演されたという話を聞かないが、私が聴いた感じでは重苦しい神話のイメージではなく華麗な音楽と親しみのあるメロディーで神話の物語を分かりやすく聴かせるというもので、もっと上演されてもよい位だと思う。
この盤の指揮者ドラテイは1906年ハンガリーのブタペストに生まれ、ブタペスト国立音楽院でコダーイ、バルトークなどの師事を受け、18歳の若さでブタペスト国立歌劇場にデビューし一夜にして名声をあげたという話の持ち主。
ドイツ歌劇場での指揮はもちろん、ロシア・バレエ団の専属指揮者をして回った経験がものを言っており、バレエの指揮が素晴らしい。
とっておきの名盤の「眠れる森の美女」などその新鮮な響きには本当に驚かされる。
この「エジプトのヘレナ」も魅力的な飽きのこない名演で、「影なき女」など他の作品も何故録音してくれなかったのかと愚痴の一つも出てしまうほど。
この曲この一枚として、ぜひ耳にしてほしい盤。
・アンタール・ドラテイ指揮、デトロイト交響楽団、ギネス・ジョーンズ<S>、バーナラ・ヘンドリクス<S>、ダイナ・ブライアント<S>、ヴィラード・ホワイト<Br>他 <LONDON>
とっておきの名盤 その33 チャイコフスキー バレエ音楽「眠りの森の美女」作品66