クラシック 名盤探訪

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この曲この一枚 その2 J.S.バッハ:「フーガの技法」BWV1080

2009年08月09日 | この曲この一枚
  
最晩年のバッハが生涯を通して追求を続けたフーガの作曲法、その到達点がこの作品「フーガの技法」。
1750年7月28日、65歳で静かにこの世を去ったバッハの最後の作品だが、残念ながら未完成のまま終わってしまっている。
楽器の指定はなく、実際に演奏する場合にはどの楽器で演奏するのか問題にはなる。
しかしこの曲は、バッハの心の中でのみ鳴り響く言葉では言い表せない崇高な音の流れがあり、個々の楽器の音色を超えたものがあったに違いない。
あまり演奏している楽器にはこだわらない方が良いかもしれない。
私自身フーガというものは、難しくて良く解らない。
それで、繰り返し展開されていく主題に注目して、その音の流れをひたすら追っかけて聴いていくような聴き方を続けている。
推理小説に出てくる事件や人間関係の絡み合った紐のようなものが、少しづつほどけていくような感じを受けるのが面白い。
これも作品の素晴らしさのなせる業なのだろう。
「フーガの技法」とともにバッハの最晩年の円熟した力量を示す作品、「音楽の捧げもの」を聴いてみるとこれも中身はフーガだらけで、よほどフーガを愛していたバッハが偲ばれる。
この盤を演奏しているドイツの指揮者、カール・リステンパルト(1900-1967)を知ったのはもう45年ほども前になる。
昭和40年の頃だと思うが、当時はレコード一枚が3000円という時代、その時に店頭でノンサッチというレーベルのレコードが1000円で発売されているのを発見。
早速購入したのが、リステンパルト指揮のバッハ:カンタータ第140番「目覚めよと呼ぶ声あり」で、その非常にきびきびした指揮による素晴らしい演奏に感動して、盤が擦り切れるまで聴いたことを今でも覚えている。
そんな彼の指揮によるこの「フーガの技法」の演奏、この曲この一枚として決して外せない、ぜひ耳にして欲しい。
・カール・リステンパルト指揮、ザール放送室内管弦楽団 <ERATO>