毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

江ノ島

2008年11月11日 23時29分53秒 | 観光

 江ノ島着。一応来たってことでサクサク帰る。
 みんな普通に傘さして歩いてるし。そんな天気に自転車でバカみたいに80kmも。寒いの、走りにくいの言いながら、なに一つ楽しくないなんて言いながら、なんだか自分で自分がわからないよ、今日は、ほんと。
 おまけに大勢の人たちが楽しそうに帰っていく様を見て、ああ、そう言えば江ノ島に一人で来たのは生まれて初めてだな、なんて妙な寂寞感抱いちゃうし。
 最寄りの小田急片瀬江ノ島駅は混んでそうだし、だいたい新宿直通の特急はあと2時間近く来ないし。
 仕方がないので、JRの辻堂まで134号線を走る。
 いつの間にかこの通りにラブホテルが林立していた。昔はこんなんじゃなかった。
 しかし、今日ほどラブホテルに入りたくなった日はないだろう。雨に濡れ、寒さに震える身に、ラブホテルの決して上品ではないがキラキラした明るさはやけに暖かなもののように感じられた。跳ね上げた泥水に汚れ、冷え切った身体が風呂を欲していた。
 きっとそこにはビジネスホテルでは味わえない、大きくてそして泡が出たりなんかするすてきな浴槽が待っているに違いない。
 江ノ島に一人で来たことがこんなに辛いことだなんて。


 辻堂の海岸から江ノ島を眺める。寒くて寒くて目的地まで走るので精一杯で海も見ていなかったけれど、ここで海と離れてしまうので。
 しかし、帰りの湘南新宿ラインのグリーン車でぼくは一人の女性と出会う。ぼくたちはたちまち曳かれ合い、彼女が大崎で降りる際、携帯の番号とアドレスを交換する。
 今回の自転車旅は、ここにきてようやく報われることになる。
 まあ、このくらいのことがなきゃ、家で寝てた方がましだったわけで、で、まあ、湘南新宿ラインはオリエント急行でもなければシベリア超特急でもないわけで、恋なんてそんな手数のかかることはなかなか容易に起こりようがなく、したがって、結局ぼくはそんな妄想もむなしく、家で寝ていた方がましだった休日を過ごすことになったのだ。

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4 コメント

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その昔、 (茉莉)
2008-11-13 22:07:34
江ノ電、乗りました。
江ノ島にはエスカーっていう有料の長いエスカレーターがあるんですね。

『天井桟敷の人々』って映画が好きだったんですが、主人公の女性の台詞に「恋なんて簡単よ」というのがあり、彼女は実際たくさんの
男性に愛されるのですが、彼女自身を含め結局恋の勝利者になったのは誰もなかった。
恋なんて手数がかかると思えるほうが
勝ち組なんじゃないかなぁと、思ったり。
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エスカー、懐かしい (aquira)
2008-11-14 21:43:27
 そうそう、あります、あります。
 一度乗ったことがありました。ぼくのプロフィールの写真は江ノ島です。

 ところで、茉莉さん、『天井桟敷の人々』お好きなんですか。ぼくも大好きです。高校生の頃初めて見たときは、今ひとつピンと来なかったんですが、大きくなってから見直すと、いやあ、心に響きました。あれがナチス占領下で作られたとは驚きです。
 ギャランスにとって恋は簡単だったのかもしれないけれど、バチストにとってはそうじゃなかった。
 恋の難易度がみんな違うから難しい。だからこそ何百年も恋愛小説が描かれ続け、映画だってほとんど誕生以来恋愛映画を作ってますもんね。
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占領下でああいう映画をつくることが (茉莉)
2008-11-20 19:44:20
本当のレジスタンスなんでしょうね。
最後にバチストがギャランスと結ばれるときに
今度は彼が、恋なんて簡単だ!って言うんです。
そう言えるまでいったい何年かかってるの?って言いたくなっちゃいますね。
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制作費16億円ですもんね (aquira)
2008-11-21 10:25:25
 占領下でその予算。当時としては破格も破格だったことでしょう。第2部「白い男」で、バチストはある意味大人になるんですが、恋なんて簡単だ、その一言を言う境地に至るまでにはいろんなものを失わなければならない。その切なさ。
 白い男に対して、フレデリックはムーア人であるオセロを演じる、要するに黒い男。こうした対比も面白いし、古着商を初め、台詞の一つ一つが詩のようでジャック・プレヴェールの脚本のすばらしさも特筆ものでした。
 久しぶりに見たくなってしまった!
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