新潟に着いたその日の天気は「暴風雪」。東京ではあまり耳慣れない言葉ですが、まあ、結構大変な天候であります。雪が風に舞うとか、そんな生易しいものではありません。まずこちらの雪はほぼ氷です。道に落ちているのも細かな粒になった氷。それがビュウっという風に乗ってこちらの身体に向かってぶつかってきます。ビュウっ、バチバチバチ。顔や手など出ている部分に当たるとこれがまた痛いのなんの。ビュウっ、バチバチバチ、いたたたた。だいたい、これの繰り返し。ビュウっ、バチバチバチ、いたたたた。人間よくしたもので、繰り返していくうちにだんだん面白くなってくる。ビュウっ、バチバチバチ、いたたたた。ビュウっ、バチバチバチ、いたたたた。ビュウっ、バチバチバチ、いたたたた。何やってんだ? 父も母も真冬の新潟でこんなことを面白がるようにぼくを慈しみ育てたわけではあるまいに。申し訳ない。

荒れ狂う日本海。本気出すと怖い。
暴風雪予報だったのでその日は市内で安居ゆかりの地を歩いたり、県立万代美術館で鴻池朋子「皮と針と糸」、新潟市マンガ・アニメ情報館で「江口寿史 KING OF POP」を堪能。弥彦は翌日の天候回復予報に賭けたのでありました。
そして翌日。変わらぬ暴風雪予報。嘘つき…… 思わずうつむいてつぶやいてしまう。しかし今日帰る身としてはうつむいてばかりもいられません。吹雪の中ホテルをあとにし、一路弥彦へ。

さすが天下の弥彦神社。JRの案内にも鳥居マークが。

普段なら参拝者で賑わうであろう弥彦神社もこの日ばかりは閑散としています。歯を食いしばってお参りして、本殿奥に見える弥彦山を目指します。

登山道はだいたいこんな感じ。それでもちゃんと装備していたのとこんな天候なのに登る人がいるのか踏み跡もしっかりあって楽ちん。現地の人々は登山靴なんてはかずにゴム長で登っていました(あとで聞いたらこのあたりではスパイク付きのゴム長が大変ポピュラーなんだとのこと。さすが日本屈指の豪雪地帯)。

ビュウっ、バチバチバチ、いたたたたの繰り返しがすっかり面白くなってしまったので、この状況をより面白く味わうために売ってたアイスを食べます。いいえ、やけくそではありません。違うんです。もうこうなっちゃったら、アイス食べるとかの方が断然面白いんです。たとえ味がなんだかほとんどわからないような状況であったとしても。

山頂の御神廟(奥宮)に到着。ここで奇蹟が起こります。なんと到着と同時に吹雪がやみ、空が明るくなってくるではありませんか。その途端、ああ、自分はきっと山で死ぬ運命なんだなって思いました。谷川岳に登ったときの晴天、そしてこの弥彦山、山はどんどんその姿でぼくを魅了していきます。こうして人は深みにはまるのです。そして自分はどっちかというと喜んで深みに陥っていく性格。行き着く先が容易に想像できました。

御神廟から眺めた日本海。美しい。この海が見られるなら、山登りは全然苦ではありません。ああ、またしても甘い山の罠。

関東の人間からすると不思議な感覚になる海沿いの登山道。巨大すぎる関東平野のせいでこうした景色に出会うことがあまりないのです。
そんなわけで暴風雪で一時は遭難も危ぶまれた新潟弥彦山でしたが、登ってみたらこれは大変楽しい山で、景色も最高、神社も立派。行ったかいのある旅になりました。

荒れ狂う日本海。本気出すと怖い。
暴風雪予報だったのでその日は市内で安居ゆかりの地を歩いたり、県立万代美術館で鴻池朋子「皮と針と糸」、新潟市マンガ・アニメ情報館で「江口寿史 KING OF POP」を堪能。弥彦は翌日の天候回復予報に賭けたのでありました。
そして翌日。変わらぬ暴風雪予報。嘘つき…… 思わずうつむいてつぶやいてしまう。しかし今日帰る身としてはうつむいてばかりもいられません。吹雪の中ホテルをあとにし、一路弥彦へ。

さすが天下の弥彦神社。JRの案内にも鳥居マークが。

普段なら参拝者で賑わうであろう弥彦神社もこの日ばかりは閑散としています。歯を食いしばってお参りして、本殿奥に見える弥彦山を目指します。

登山道はだいたいこんな感じ。それでもちゃんと装備していたのとこんな天候なのに登る人がいるのか踏み跡もしっかりあって楽ちん。現地の人々は登山靴なんてはかずにゴム長で登っていました(あとで聞いたらこのあたりではスパイク付きのゴム長が大変ポピュラーなんだとのこと。さすが日本屈指の豪雪地帯)。

ビュウっ、バチバチバチ、いたたたたの繰り返しがすっかり面白くなってしまったので、この状況をより面白く味わうために売ってたアイスを食べます。いいえ、やけくそではありません。違うんです。もうこうなっちゃったら、アイス食べるとかの方が断然面白いんです。たとえ味がなんだかほとんどわからないような状況であったとしても。

山頂の御神廟(奥宮)に到着。ここで奇蹟が起こります。なんと到着と同時に吹雪がやみ、空が明るくなってくるではありませんか。その途端、ああ、自分はきっと山で死ぬ運命なんだなって思いました。谷川岳に登ったときの晴天、そしてこの弥彦山、山はどんどんその姿でぼくを魅了していきます。こうして人は深みにはまるのです。そして自分はどっちかというと喜んで深みに陥っていく性格。行き着く先が容易に想像できました。

御神廟から眺めた日本海。美しい。この海が見られるなら、山登りは全然苦ではありません。ああ、またしても甘い山の罠。

関東の人間からすると不思議な感覚になる海沿いの登山道。巨大すぎる関東平野のせいでこうした景色に出会うことがあまりないのです。
そんなわけで暴風雪で一時は遭難も危ぶまれた新潟弥彦山でしたが、登ってみたらこれは大変楽しい山で、景色も最高、神社も立派。行ったかいのある旅になりました。