毎日が観光

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箱根

2007年04月28日 10時44分29秒 | 観光
 箱根湯本駅からバスに乗って「ホテル前」で降りた。「富士屋ホテル前」ではなく、「ホテル前」。イングランドのサッカー協会を思い出す。日本のサッカー協会は日本サッカー協会だし、フランスのサッカー協会はフランスサッカー協会だ。しかし、イングランドのサッカー協会はイングランドサッカー協会ではない。ただのサッカー協会である。イングランドにサッカー協会ができた時、世界中どこにもサッカー協会はなかった。区別する必要がなかったのだ。富士屋ホテルも同じだ。日本に富士屋ホテルができた時、日本に他のホテルはなかった。

 「アップルパイが評判いいんです」客室まで案内しながら、ティーラウンジが横に見えるところで係の人が言う。「ジョン・レノンさんもお好きでした」
 ジョン・レノンが泊まり、昭和、平成両天皇が泊まり、三島由紀夫が新婚旅行に訪れたホテル。ラフカディオ・ハーンもチャップリンもヘレン・ケラーも泊まった。
 ホテルに泊まるのは、そうした歴史と物語の一部を共有することでもある。そして多くの場合、その歴史と物語に安からぬ金額を支払わなければならないのだ。ぼくの場合は、まあ、話のタネっぽいノリである。

 フロントでチェックイン。人ごとなので別に心配しなくていいのだろうけれど、ほとんどの照明が電球で、その数が半端じゃない。毎日どっかしらで替えているんじゃないか、と思う。

 今回泊まった西洋館。
 部屋は今時のホテルに慣れている人間からすると新鮮。今時のホテルって、入り口あけると廊下になっていて部屋の目隠しをしているものが多い。しかし、このホテルは入り口開けるとまるまる部屋。何の障害もなく部屋中が見渡せる。入った途端、ヨーロッパのホテルを思い出した。ヨーロッパの古いホテルってこんな感じだ。富士屋ホテルが開業した1878年当時、お手本にしたはずであるヨーロッパのホテルを偲ばせる。

 庭は広く、水車小屋や屋外プール(夏季のみ)、温室などもある。屋内プールで泳いでみたけれど、誰一人来なかった。観光ホテルを考えてくると共同浴場の小ささに驚くだろうが、もともとヨーロッパのホテルにはスパなどの特別な場合をのぞいて共同浴場などない。これもヨーロッパ流。その代わり全室備え付けのバスは、蛇口をひねれば天然温泉が流れるようになっている。

 雨だったので、ホテルの中を探検する。4時にロビーに集合すればホテル見学ツアーも開催されている。
 その日、たぶんぼくが最年少だったかもしれない客層に少しびびりながらも1泊の箱根を楽しんだのでありました。
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