毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

根津 鷹匠

2007年03月09日 09時31分10秒 | 食べ物

 不忍通り「根津神社入口」交差点を上野に向かって左に入る。昔ながらの街並みを眺めながら1ブロック進み右に曲がったところに「鷹匠」がある。
 ここらへんだったよなあ、と地図と通りを見比べても見つからない。おかしいなあ、と思っていたら、店の真ん前だった。それほどなんというか、両側を民家に挟まれ、ひっそりと目立たない小さな間口である。


 ちょっとした遊びを感じる、こういうの好き。やりすぎちゃだめだけれど。


 看板もこんな感じ。ちょこっと柏の竹やぶの風情を思い出した(あっちはやりすぎだと思う)。

 狭い間口に対して店内は狭くない。
 さらに小上がりが小上がりというほど上がってなく、大きな低い木のテーブルの前に腰を下ろすと、自分自身が低い場所にいるので空間が豊かに広がる。その豊かな空間を間接照明が雰囲気良く、しかしすっきりと照らしているので、大変居心地がよい。
 その場所にいるだけでなんだかほっと癒される気持ちがする。
 そばの前におつまみに、汲み出し豆腐とわさび湯葉、それに生ビールを注文する。銘柄はエーデルピルス。恵比寿ガーデンプレイスにある麦酒記念館でよく試飲をするのだけれど、ピルスナー系のビールの中では大変おいしい。
 さて、豆腐は歯触りを楽しめる木綿風のどっしりしたもの。つゆや薬味もついてくるけれど、豆腐だけでも十分おいしい。豆腐を一口、ビールを一口。ビールがうまい。うまいのは銘柄のせいだけじゃない。コップの洗い方から注ぎ方、生ビールの管理まで行き届いているからだろう。なぜ、そんなことがわかるかって? 飲んでおいしいからだ。
 それじゃ、ちょっと説明不足か。飲んでおいしいのも確かなのだけれど、飲み終わったグラスにきれいにエンジェル・リングができていたからだ。グラスに一口ごとにできる泡の輪。あれがエンジェル・リング。泡を再生させる層(フロスティ・ミストとかスモーキーバブルスとか呼ばれる層)が泡とビールの間にある三層ビールだと、泡が残りビールの味を最後までおいしく楽しめるのだ。これがないと二口、三口で泡が少なくなって、外気にさらされたビールはどんどん劣化していく。最後まで泡が残るから、グラスの下の方にまでエンジェル・リングがきれいにできる。銘柄がエーデルピルスで、ちゃんとそれをサーヴする。素晴らしいことだ。それでもビールは550円。他の店と変わらない。
 わさび湯葉は、だし汁に湯葉が入っていて、それをわさびとイカの塩辛を薬味にして食べる。イカの塩辛を薬味に使う発想はなかなか面白いが、この塩辛が薬味にするなんてもったいないほどの絶品だった。そしてだし汁と湯葉と塩辛とわさびが合わさると、これまたなんとも言えない。うまい。
 ぼくが伺ったのは12時半頃だったが、お店にいた6組のお客さんは全員昼酒を楽しんでいた。ぼくももう少しいきたいところだったが、平日だったし、実はその晩オペラの予定があり、客席でいびきかいたりすると困るので自粛。せいろを注文する。


 つゆいらない。このパツンパツンとしたコシ、味。おいしい。つゆはちょっと特徴的。こうした店ではもう少し辛いつゆかな、と思っていたらそうでもない。割と大人しい感じのつゆ。だしの風味がふわりと広がる。それにしてもこのそばはうまい。
 いい場所を見つけてしまった。ここはしばらく通いそうな気がする。
 さらにこの店の営業時間。昼の12時から夕方6時まで、と夜の営業がないのが寂しいところだが、なんと逆に仕込みの時間に店を開けてくれるのだ。朝の7時半から9時半まで。
 ああ、そして抑えきれない欲望が湧き起こる。朝から行って一杯やってみたい! 昼食べる以上にもっとつまみとお酒を朝、楽しんでみたい! 土日もやってるから朝からここで一杯やって、上野から浅草をぶらぶら散歩して、昼は並木の藪で菊正の樽飲んで、待乳山へお参りして、船でビール飲みながら隅田川下って、「船もいいが、退屈で退屈でならねえ、ふわあ」などとあくびをして、お台場で鴨にパンくずでもやる、そんな一日を過ごしてみたいものだ。
コメント
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