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神社の系譜

2007年03月02日 15時37分01秒 | 読書
宮本健次著「神社の系譜」           光文社新書

 聖地は時代が変わっても同じ場所が聖地として認知されることが多い。たとえばシャルトル大聖堂。あそこはもともとケルトの聖地であったが、キリスト教の時代になってもやはり大聖堂が建てられ聖地として考えられている。縄文時代の聖地がそのまま今の神社仏閣の地になっていることがいかに多いか、中沢新一の「アースダイバー」を見てもわかる。
 こうした聖地を結ぶと聖地の配置に何らかの意図を感じることがある。
 そう、レイラインである。
 イギリスのワトキンスが幻視し、いちやく広まった概念。日本でもNHKが取り上げて以来、さまざまな遺跡や神社仏閣を結んだレイラインが見つけ出されている。もう割となじんだ概念だと思っていたのだが、新たな事実であるかのように延々と述べられている。また、「三輪山は禁足地となっており、一般の人びとが登ることは禁じられている」とあるが、これは誤りだろう。300円払って、入山者用の襷を掛ければ一般の人びとも登ることができる(ただし滞在時間は3時間のみ、飲食、喫煙、撮影、動植物の採集など一切禁止)。このレイラインのくだりが、だからこうだ、という結論がなく、あっちが春分の日の出、こっちが日没、そっちが夏至の日の出などと延々だらだらと続いていく。
 オホ氏のくだりは確かに興味深いものがあり、冒頭の平将門公の話とともにこの本の最大のセールスポイントだろう。
 それにしても、この本が大層売れているという現象がいささか不可思議な感じのする内容だった。
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