旧前田利為侯爵邸洋館②

2013-03-13 18:47:46 |  東京都

 …前回からの続き
 

 階段途中にある装飾。


 2階ホールに上がってきました。 普通の邸宅では有り得ない広さです。


 赤紫色の絨毯が格調高い。


 まずは南東側の部屋から時計回りに見ていきます。


 庭園に面した南東の部屋は利為夫妻の寝室でした。


 前田家時代の家具や調度品は残っていなかったようなのでベッド等は全て再現品と思われます。




 絨毯が敷かれている部分は最初からその厚み分だけ低く作られていて床との段差を無くしています。


 暖炉は丸みを強調した柔らかなデザイン。


 

 西隣りは旧婦人室。


 

 葡萄唐草のレリーフだそうです。


 グリルのデザインは小菊。


 こちらも花柄に見えますね。


 

 緻密。


 窓の外はベランダになっていますが出る事は出来ません。


 隣りに移動して旧次女居室。


 前の2部屋に比べると随分狭く感じてしまいます。




 存在感タップリ。 ちなみにグリルに描かれた梅(梅鉢)は加賀前田家の家紋だそう。


 台座の天井レリーフは八芒星。


 一番南西の部屋は書斎でした。 ここはその前室にあたります。




 壁は床の間風。


 利為候の旧書斎。


 主の部屋に相応しい設えです。




 玉を抱いた龍の姿がありました。






 書斎の北側は旧長女居室。 ちょうど正面の車寄せの上の部屋にあたります。








 長女居室の隣りの部屋。 見るからに寒々しいこの部屋は物置か何かでしょうか。


 旧三男居室。




 廊下の窓から見ると建物の平面は中庭のあるロの字型をしているのが良く分かります。

 


 

 三男居室の北側は階段を挟んでフロアが半階低くなっています。 床の高い南側が家族の個室で、低い方の北側が主に使用人の部屋になっているようです。




 階段下の1階部分は非公開エリア。


 主階段よりは遥かに質素です。 


 一番北西にあたる部屋は旧会議室。


 お隣りのこの和室は旧女中部屋でした。


 中庭を通して向こうに見える縦長窓は主階段室の窓。


 この部分です。


 北東にもう一つ女中用の和室がありました。 この邸宅で暮らした前田家の家族は6人でしたが、使用人は住込みと通いを合わせて140人いたそうです。 想像していたのとは桁が一つ違いました。


 3階へ上がれる階段も通行禁止。


 この下も非公開エリア。


 イガイガしてる。


 旧三女居室。


 大食堂の上の部屋なのでラウンディッシュ。


 最後の部屋は旧浴室。 2階で一番最初に見た夫妻寝室と三女居室の間です。




 バスタブも何も無い部屋でした。


 左に見える階段上の透かし窓は仏教的なモチーフである宝相華唐草。




 階段を下ります。


 

 室内用のスリッパから靴に履き替える時に見つけた天井装飾。
 

 

 外に出て北面を見てみます。


 使用人用の裏玄関が二つ。
 

 

 厨房などのある地下部分。


 見上げた図。




 今度は南に回ってきました。


 当初は本郷に構えていた加賀藩前田家の上屋敷(大名屋敷)ですが、明治4(1871)年の廃藩置県により敷地の大半が収公(没収)されて文部省用地となり、そこに東京大学のキャンパスが整備されました。 それでもなお前田家は敷地の一角に屋敷を構えていましたが、関東大震災(大正12年・1923)の発生により東大本郷キャンパスの建物が壊滅的な打撃を受け、その復興計画の為に更なる敷地の必要性があった事から大正15(1926)年に敷地交換が行われこの駒場に移ってきたのでした。






 

 素朴な風合い。
 

 翼のあるライオンが上から睨みを利かしていました。


 利為の戦死後は土地・建物は人手に渡り、敗戦後は連合軍に接収され司令官官邸として使われました。 利為がこの立派な邸宅で家族と暮らしたのは十数年に過ぎなかった計算になります。

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2 コメント

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驚嘆 (蜥蜴)
2013-03-15 18:56:12
本当にどこを撮っても絵になる建物ですな~。

日本の建物じゃないみたいです。
うねうねとした鉄、階段、煙突、
隙のないデザインの窓、玄関ホール、
トゲトゲの手すり…。

見下ろす、見上げる階段の連なりは、
どうしてこんなに魅力的なんだ!
聳える煙突はなんてかっこいいんだ!
6人に対して140人の使用人って
どんだけ家族は動かないんだとかとか(笑)
そう叫びたくなる様な
素敵な写真がいっぱいです。

2回目ありがとうございました。
眼福です。

自分もいつか行こう!
殿さまの暮らしぶり (es)
2013-03-21 19:47:12
蜥蜴さん、喜んで頂けたようで私としても本望です(笑)。
ここは今までに4~5回は訪れているので、過去の写真から写りの良さそうなものを選んで載せてみました。
とにかく個々の部屋によって装飾の意匠が異なるので全部を撮っていると疲れちゃいますよ。

しかし140人の使用人の話には呆れるというかビックリしてしまいますね。
旧華族の暮らしぶりは庶民には想像も出来ないレベルの話で本当に圧倒されてしまいます。
侯爵の娘さん達は正面車寄せの上のバルコニーで良く遊んでいたなんて話もあり、
ここに出る為の扉が無かった事から窓を乗り越えて遊ぶようなお転婆さんだったとも言われています。
小さな姫様達に振り回される執事やメイドの姿が浮かんでくる楽しいエピソードですね!

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