坊主の家計簿

♪こらえちゃいけないんだ You
 思いを伝えてよ 何も始まらないからね

法を聞けよ

2013年09月29日 | 坊主の家計簿
【「この鶯籠は、蓮如上人の御病中のつれづれをお慰めする為に、献上した鶯用の籠ですが、上人は鶯の声をお聞きになって『鳥さえも、法を聞けよと教えてくれている』といって大変お喜びになったということである。」
と説明された時、清九郎は心の開ける思いがしました。山でも里でも、私につきまとうようにして「ほう、ほけきょ」とさえずっていたあの鶯は「法を聞けよ」とさいそくしてくれていたのか、と気づいたのです。それからいよいよ大事をかけて法を聞くようになり、おかげさまでやっと本願の尊さを身にしみて味あうようになりましたと清九郎は語っておりました。】
http://www2.synapse.ne.jp/syouhukuji/myou12.htm


今日は学習会。
なんか、話の流れで昔話をしてしまった。

今でもかなり人間性の狭い「こうじゃないといけない」的な部分が多々あるけど、一応、色々と削られ、丸くなって来た。
でも、まだまだ尖りまくっていた時に、あるお寺での法要に参加した。昼の部と夜の部があって、昼の部が終っての休憩。そのままその寺で過ごしても良かったんだろうけど、気を使うのがイヤだったし、気を使われるのもイヤだったので、お寺の近所の小さな銭湯に行ってから、駅前の食堂で食事しながらビールを呑む予定に。

夕方早い時間の小さな銭湯はガラガラで、客は私ともう一人だけ。真夏だった事もあって簡単に汗を流して、と、風呂場に居てたら、その人が話かけて来た。

「兄ちゃん。やっぱり銭湯はイイな。うちにも風呂あるけど、順番があるからゆっくり入られへん」

と。
なんか、その言葉に物凄く感動した。

「そうや、俺はずっと自分の人生を焦ってばかりいて、落ち着く事なく、全くゆっくりしてない」

と。

20才から、まあ、途中、なんじゃかんじゃあったけど、最終的に26まで付き合った女の子が居た。
20で付き合った当時、彼女は16。お互いにお金がなかった(今もだが)ので、デートは主に歩く。

その日のデートは京阪三条で待ち合わせて銀閣寺に行こうとしていた。私は「今日は銀閣寺まで行く」と、目標を目指していた。だから、途中を焦る。「そんなにゆっくりしてたら銀閣寺まで行かれへん」と。怒る彼女。「私は別に銀閣寺に辿りつけなくてもいい。それよりも今、ここでゆっくりと楽しみたい」

うぐいすの鳴き声を「法を聞けよ」と蓮如が本当に言ったのかどうか知らないが、やはり、「法を聞けよ」と聞いた人が居てるから、先に引用した話が伝わっている。それだけの「問い」があったからだと思う。真剣な問いがあったが故に、求めざるを得ない何かがあったか故に、「法を聞けよ」と聞こえる。うぐいすの鳴き声が諸仏善知識の言葉として頂ける。

とはいえ、そんなものは無理して出来るものでもない。今の私はすっかり怠けているというか、落ち着き、「救われてしまっている」という魔境にいるので、街ゆく人たち声から、自分の問いに対する感動を得る事が出来難くなっている。

問いを深める。
いや、深めざるを得ない状態か。悪人正機。