平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

風林火山 第22回 「三国激突」

2007年06月04日 | 大河ドラマ・時代劇
 今回は軍師・勘助(内野聖陽)の本領発揮。
 河東における今川と北条の緊張状態。それを調停すべく、武田(勘助)が動く。
 このいくさは行わないことが良策。
★武田が北条との戦いに力をとられていたら、村上が動く。
★関東における北条の力が弱くなれば、関東管領・上杉が武田を攻める。
 武田にとってマイナスでしかない。

 今川家の軍師・雪斎(伊武雅刀)も同じ。
 北条と事を構えれば、消耗戦になることは必至。
 国力が弱まる。

 北条氏康(松井誠)はもっと深刻だ。
 上杉とのいくさが河越で起きようとしている今、今川と戦うことは出来ない。
 兵力が分散し、上杉・今川に攻め立てられ国は滅びる。

 この点で利害が一致して三国の和睦・提携が成立。
 今川には、義元(谷原章介)が考えた様に、北条を攻め立てて北条の領土を奪うというカードもあったが、戦いは国を疲弊させる。北条を倒したら次は管領・上杉との戦いが待っているだろう。関東は泥沼になる。
 「功名が辻」は平和を望む個人の視点で戦争の無意味を描いたが、「風林火山」は、戦争の行うか否かを決定できる権力者の立場からそれを描いた。
 いずれにしても描いていることは同じ。
★戦争は国を疲弊させる。
★しかし人の欲(この場合領土欲)はなくなることはない。
★また、人は力(この場合今川の兵力)を持てば使いたくなる。

 さて勘助。
 彼は自分の守るべき人のために戦っている。
 主君・晴信(市川亀治郎)、由布姫(柴本幸)とその子供。
 それを勘助は「自分の国は人だ」と言う。
 今回、ファーストシーンは由布姫の笑顔から始まるが、実にいい笑顔。
 晴信の子供を得て幸せに満ち溢れ、ここまで導いてくれた勘助に感謝する。
 勘助も姫の感謝の言葉が嬉しい。
 いいシーンだ。
 放浪して自分の場所を探し求めていた頃の勘助の顔は鬼の形相だったが、この時の顔は実にいい顔をしている。
★自分の居場所(国)があること。
★自分が愛する者のために生きること。
 これが人の幸せなのだろう。

 作劇としては、過去の人物との再会。
 勘助は雪斎、義元、北条氏康に出会う。次回は真田幸隆に会うようだ。
 この物語の前半ほぼ10話を使って描かれた勘助の放浪はこの時のための伏線であった。
 内野聖陽さんも公式HPのインタビューで語っている。
「軍師になった勘助が過去の思いを忘れずに交渉していくというところが面白いですね。かつて遍歴してきた土地にランドマークとも言うべき“人との絆”を残してきたことが、今、実を結んでいるんですね」
 愛する人と居場所を見つけて力に満ち溢れた勘助が、放浪して自分探しをしていた頃に出会った人物と再会する。
 ここにドラマが生まれる。
 幸せそうな勘助を見て氏康は言う。
 「おぬしを召し抱えなかったわしの判断は正しかったであろう」
 逆説的なせりふ。
 氏康は勘助は良き主君・晴信に出会えたことを喜んでいる。
 義元の様に未だに下賤の者として勘助を見る者もいるが……。


 最後は高笑い。
 義元に「海の見える土地は自分の力で奪い取る」と言う晴信。
 「それは駿河ではあるまいな」と返す義元。
 そして高笑い。
 清涼・高潔な笑い。
 笑い方だけでも並みの役者さんと違う。
 毎回書くが亀治郎さんってすごい。
 

コメント
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