平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花嫁とパパ 第9回

2007年06月06日 | ホームドラマ
 ドラマの中でキャラクターは成長する。

 鳴海(小泉孝太郎)に独立を誘われた愛子(石原さとみ)。
 三浦(田口淳之介)とも別れろと言われる。
 迷う愛子。
 槙原環(白石美帆)は鳴海と仕事をすることはプライベートを捨てることだと言われてさらに迷う。
 恋愛と仕事、自分はどちらかを選ばなくてはならないのだろうか?
 どちらも自分にとって大事なものなのに。
 三浦は仕事と窮地に立たされた鳴海に一生懸命な愛子に、自分の所から離れてしまうのではないかと危機を感じる。そこで婚約指輪を渡してのプロポーズ。
 この極端な行動の飛躍がこの作品の魅力。
 どちらがいいというわけではないが(それぞれに魅力があるが)、なかなか行動に移せない現実を変えられない「プロポーズ大作戦」とは対照的。
 いずれにしても「花嫁とパパ」はどんどん局面を動かしていく。
 恋か仕事か?
 その結論は両方。
 賢太郎(時任三郎)は、両方を両立できると簡単に考えなければ大丈夫だという。恋愛と仕事を両立するにはそれなりの苦労が伴うことを覚悟しろというのだ。それは不可能なことではない。なぜなら恋愛ではないが、愛子と仕事を両立させてきたから。
 いささか強引だが、勢いで突っ走るのが喜劇。
 突っ走って頭をいろいろな所にぶつけていく。

 今回、もうひとり成長したキャラは槙原環。
 10年がんばって仕事をしてきた彼女は人にストレートに気持ちを伝えることを忘れてしまった。
 自分の気持ちを伝えることが出来ず、屈折した行動をとる環。彼女は情報のリークし、鳴海を窮地に陥れる。
 好きな人を裏切ってしまった罪悪感。同僚からの白い目。
 もともと還は鎧をまとっていた孤独な女性だったが、今回のことでさらに孤立、会社を辞めようと思う。
 そして、そんな還の気持ちを解きほぐしたのが愛子たち親子。
 彼らは自分の気持ちを素直に表現することの大切さを伝える。
 素直になった還は愛子が鳴海を助けるために奔走したように桂木の所に走り、鳴海には「今回自分のやったことは会社のためではなく、個人的なことが理由」と告げる。そして愛子には「今回あなたの真似をしてみた」と語る。

 こうしてバタバタと解決していく事件と葛藤。
 作劇としてはひとりの人物の気持ちをじっくりと描いていく方法もあるが、このドラマはそうしない。
 愛子と還、ふたりのドラマを描いてうまく絡ませて両方を解決に導く。
 勢いとテンポで視聴者をジェットコースターに乗せて結論まで導く。
 「わたしたちの教科書」の様なじっくり型のドラマとこの作品の様な勢いのドラマ。
 作家は物を作る時、そのどちらかの方針を選ぶ。


 
コメント
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