平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

プリティリーグ

2007年06月13日 | 洋画
 1943年から54年にかけて実在した全米女子プロ野球リーグの選手たちの奮闘を描いたドラマ。

 ドラマの対立軸は次の3つ。
★ドティ・ヒンソン(ジーナ・デイヴィス)とキット・ケラー(ロリー・ペティ)の姉妹。
 妹キットは優秀な姉ドティに劣等感を持っている。
 女子プロ野球リーグに入れたのも姉の力があったから。
 キットのコンプレクスは膨らんでいき、別球団に移籍。
 ラストに対決するが……。
★ドティと酒びたりの監督ジミー・ドゥーガン(トム・ハンクス)の対決。
 ジミーは元大リーグの強打者だがケガで引退、仕方なくドティのチーム・ピーチズの監督を引き受けることになった。
 当然、女子野球などバカにしているジミー。
 ドティたちもそんな監督ジミーなど当てにせず、自分たちで采配して試合を行うが、ある時4番打者にスクイズさせるかどうかで対立。
 ドティたちの熱意がジミーの心に火をつけて……。
★家庭か野球か?
 第二次大戦の戦場から夫が戻ってきて、野球をやめる決心をするドティ。
「野球を続けることは大変だから、自分は家庭を優先したい」と言うドティに監督のジミーは言う。
「誰でも出来ることでない大変なことをやっているから君たちは偉大なんだ。こんな形でやめたら一生後悔するぞ」
 これはなかなか名セリフ。

 さてこんな対立軸の中で描かれていくドティたちの1年間の野球生活。
 対立・葛藤がありながらも彼女たちは輝いている。
 いや対立・葛藤があるから試合での彼女たちが輝いて見える。
 そしてドティたちの輝きを見ることがこの作品の楽しみだ。

 ラストは1988年、ニューヨーク州クーパーズタウンの野球殿堂でおこなわれた女子プロ野球リーグの殿堂入りセレモニー。
 歳を取ったかつての女子野球の選手たちが集まってくる。
 それは同窓会のよう。
 かつていっしょに輝きを作り出した仲間たちへの賛歌。
 お互いの祝福。
 この作品は努力して輝くことの大切さを教えてくれる。
 「炎のランナー」や「ロッキー」もそう。
 そして輝いた記憶・思い出が人物の人生を意味づけてくれる。

★追記
 ドティと妹キットのやりとりがいい。
 ラストの戦いを終えて姉妹はこう声をかけ合う。
 敵ではあるが、キットのバッティングの弱点についてアドバイスをするドティ。
ドティ「高めに手を出しちゃダメよ」
キット「あたしは打つわ」
ドティ「頑固」
キット「おせっかい」
 せりふのやりとりは対立だが、心の底では分かりあっている。
 ジミーの「誰でも出来ることでない大変なことをやっているから君たちは偉大なんだ」のせりふもそうだが、我々はこうした一瞬の輝くせりふを聞くために作品を見ている。


 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする