桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2013・6・13

2013年06月14日 | Weblog
常連のAさんから木曜日にMAX10人位で集まりたいと予約の電話があって、飲み物は勝手にオーダーするけど、料理は全体で五六千円で頼むと言われたのは数日前だ。その時点できちんと確認しておけばよかったのだけど、俺は金額も金額だし、Aさんは食べ物はそんなに必要としてないというニュアンスで受け取ってしまった。でも、それが間違いだった。俺はしてはいつも贔屓にしてくれているサービスのつもりで十人分で八千円程度のフードを並べておいたのだけど、参加者が15、6人に増えたことと、ちょうど食事時間で、みんな食べ盛りの若者ばかりだったこともあって、そんな程度のフードではとても足りなくなってしまったのだ。Aさんは他の料理もどんどん出してくれという。でも、ひとり営業をしているとドリンクのオーダーもあるしカウンターのお客さんもいるし厨房に入って料理を作る訳にはいかない。すでに茹でてあったペンネをアラビアータソースを絡めて出すのとチーズの盛り合わせと作りおきしてカウンターの後ろに並べてあったレバーの赤ワイン煮を出すのがギリギリだった。こんなことになるなら最初からフード食べ放題ドリンク飲み放題で一人五千円(三時間)のパーティ形式でやってくれればよかったのに、そうだったら事前にもっと料理を並べておけたし、品数も増やすことが出来たのに、と飲み物のオーダーにきたAさんについ愚痴ってしまった。その時、Aさんは何と云ったか覚えてないが、明らかに不愉快な顔をしていた。そりゃそうだ。桃井の店が困っていると聞いたから何とか売上をあげてあげようと集いを企画してくれたのに文句を言われる筋合いはない。それにいくら一人営業だからって追加注文が出来ないなんて飲食店はない。尤もだ。お客さんが座る椅子がある以上、そして来店を認めた以上、それに対応出来るスタッフを用意しておかなくは店とは言えない。11時過ぎみんなが引き揚げてテーブルの上に置かれたままになっている汚れたお皿とグラスを前に俺は落ち込む。一人で合計63000円の売上をあげたのと引き換えにAさんの信用をなくしてしまった。やってもやっても終わらない洗い物をしながら自己弁護ともつかぬ言い訳をぼやく。確かにスタッフは欲しい。でも、今のコレドにはスタッフを常時雇っておく経済的余裕ない。五月はスタッフなしで人件費がゼロなのに30万もの赤字を食らったのだ。削れるのは人件費しかない。頼みのS金融公庫からの融資の決定はまだおりない。例え降りたとしても今までみたいに店の穴埋め的に使うのではなくて店が飛躍する為に使わないと駄目だ。乃木坂にあのスペースを作って今年の十一月で丸十年。その間に俺が連帯保証した借金はちょうど一千万になる。