桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2005・8・30

2005年08月31日 | Weblog
午後、通帳の残高と睨めっこ。今日15万の現金売上がないと、今月中に家賃65万円(電気水道代込み)が払えないことが判明。勿論俺の給料(役員報酬)は出ない。となると部屋の家賃(12万弱)も無理。やばい。どうしたらいい?どうしようもないだろと自問自答。今月はイベントが殆どなかったこともあって売上が先月より70万も少なかったけど、カードでの支払いがいつもより二十万も多かったことが原因か?あのパーティの支払いが現金だったらと臍をかむ。奇跡が起きて今日何十万の売上があがることを神頼み。でも、頼んだ相手は雨の神様だったようだ。開店直後から急に強い雨。もうここで諦める。こんな雨じゃよくて五万程度か?(長年の経験は怖い。ピタリと的中)カウンターはLちゃんとTちゃんに任せて事務室でベストセラーになった『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』と云う初歩の会計学入門書を読む。俺も『コレドはなぜ潰れないのか?』と云う本でも書くか?

2005・8・29

2005年08月30日 | Weblog
一時に今日の公演『誰?』のリハーサルの為、店に鍵を開けに行く。ついでに雑用を済ませた後、部屋に戻って11月公演予定の『リテイク2』の台本直し。頭で考えていたことがパソコンのキィを叩く内に、どんどん裏切られていく過程が楽しい。八時半に店に行き,直した台本をプロデューサーのMさんに渡す。ロングラン公演として続けている『誰?』の観客は今回最低の7人。9月から始まる『西沢利明ひとり芝居・白鳥の歌』と連動したりして観客動員を増やすことが俺に求められている。3時過ぎ部屋に帰る。昨日までならテレビを何気なくつけて、くだらない番組を流しながら空疎な時を過ごしたのだけど、今日からはテレビがない。Lちゃんの引越し祝いに俺のテレビをあげてしまったからだ。もうテレビは作るのも見るのも卒業だ。だから買い換えるつもりもない。寝るまでのたった30分だけど、俺は久しぶりに本を読んだ。

2005・8・28

2005年08月29日 | Weblog
一週間前に『桃井小学校』を『卒業』した彼女が、『教室』に忘れて行った物を取りに来た。本、DVD、CD、衣類……まとめてみたら紙袋が四つにもなった。夕方だったので、何か食うか?と聞くと、いらないと云う。これから予定があるらしい。以前なら食う、食うと即答した彼女だったと思うと、ちょっと淋しい。彼女が帰った後、店から持って来た残りのカレーを一人で食う。さすがに侘しい。風呂に入ろうとしたら、洗面台に彼女が忘れて行った歯ブラシ。フォークソング的フレイズが頭の中を巡り、かなり落ち込む。夜中、たまらなくなって、二年前に『桃井小学校』を『中退』して行ったYちゃんに電話。女の子的長話をして気分を紛らす。近い内に焼きとり食べに行こうよと誘ったら「レバーが一杯食べたい」と云うYちゃんの答えに救われる。うん、俺もレバーが一杯食べたい。痛風なんだけど。

2005・8・27

2005年08月28日 | Weblog
二時から西沢利明さんのリハーサルにつきあいつつ、六時に始まるパキさんフェスティバルの準備。上映会とはいえ何の飾りがないのもおかしく思って、急遽雑誌から切り抜いたパキさんの写真をコラージュして店の入り口から階段にかけて貼る。
六時半からのビデオ上映には元夫人で女優のAさん、マネージャーのEさん、監督のKさんやUさん、プロデューサーのTさん、それと国営放送局のSさんたちが集まったが、計6人と云うのは少し淋しい。年月が経った為もあるが、宣伝準備不足を反省。ただ、深夜の上映にはウチの店の常連になりつつあるJさんが友達と二人で見に来てくれる。パキさんには全く関係ない、業界筋でも何でもないJさんたちに、俺たちが敬愛したパキさんの映画を見て貰えただけでも、このイベントをやった甲斐があった。予定通り朝方終了。六時から飲んだこともあって、眠たい。

2005・8・26

2005年08月27日 | Weblog
延べ二カ月にわたった『石塚桜子展』も昨日で終わり、朝十時から展示作品の搬出作業につきあう。終ったと云っても小品は継続的にバースペースに常時展示しているので来店した折りに気づいたら見てくれると嬉しい。引き続き夕方から行われるライブ『BLACK&WHITE』の機材の搬入につきあって、一時過ぎに一旦帰宅。クロスの洗濯をしながら食事をとるが、睡眠時間四時間だった為、さすがに眠気に襲われ、仮眠。五時過ぎからライブはLちゃんとTちゃんに任せて『リテイク2』の直しにかかる。生きている内に出来なかったことをあの世でリテイクしようとしていたらまたこっちの世界に戻って来てしまって同じ人生をやることになってしまった幽霊たちの物語だ。乞うご期待。店はライブのお客さん以外は金曜日なのにサッパリ。二時過ぎ、諦めて帰ろうとしていたら、近所の常連MちゃんがAV女優のAちゃんと一杯だけ飲ませてと顔を出す。普通の女優さんとは有名無名を問わず数えきれない程話したことのある俺だが、AV女優さんとは初体験。尤も話題は色っぽい話ではなく、哲学的?な話だったけど。27日土曜日は『パキさんフェスティバル』。八年前に亡くなった藤田敏八監督(通称パキさん)を偲んで、パキさんの処女作「非行少年・陽の出の叫び』と遺作になった『リボルバー』を見ながら(ビデオ上映)しながら、始発電車が走るまで飲んで騒ごうと云うお祭り。入場は無料です。パキさんファン、映画ファン、ファンじゃないけど始発電車まで飲みたい人、どなたでも歓迎です。この日記を読んだ後でも間に合います。さぁ、乃木坂へ。

2005・8・25

2005年08月26日 | Weblog
コレドのお客さんに「よしのよう」さんが三人いる。一人は昨日も来てくれたK出版社の「吉野陽」さん。広尾時代は作家のMさんと一緒に来店することが多かったが、乃木坂に移ってからはMさんとは関係なく、出版社仲間や友人を連れて飲みに来てくれる。もう一人は脚本家志望の「吉野洋」さん。広尾時代はまだ正真正銘の「脚本家志望」だったが、最近になって立て続けにコンクールに入賞し、肩書から「志望」が抜けそうだ。その彼と同姓同名なのが、Nテレビ局の演出家の「吉野洋」さん。古くは「前略おふくろ様」「ちょっとマイウェイ」、最近では「Anego」などを手がけたディレクターだ。「Anego」の美人脚本家Nさんと一緒に来た吉野さんと、台風が首都圏直撃で店が暇なのをいいことに、俺はカウンターに座り、もうすっかり客になって懐古談。二八で売上が伸びず、LちゃんとTちゃんの給料を払うのに精一杯な店の現状を一瞬忘れて、至福の時を過ごした。

2005・8・24

2005年08月25日 | Weblog
今日も昼から『西沢利明ひとり芝居・白鳥の歌』のリハにつきあう為、2時前に店へ出向く。一旦帰宅後、このイベントの宣伝、集客を計る為、テレビ局の友人などに電話。一休みしていたら女優のKさんから早い時間に店に行くとメール。急遽、Kさんとやる芝居の構想をまとめる。女優さんは皆魅力的だけど、このKさんの魅力は「筆舌に尽くしがたい」と云う言葉がぴったり。その表現出来ない魅力を最大限に引き出す芝居を作りたいと、同席したTテレビ局のYさんと構想を練る。そんな中、K出版社のY君と一緒に一人の男性が来店。名刺を差し出され、「実は昔、姉が……」と言われた途端、何とも甘酸っぱく、複雑な感情が渦巻く。このOさんの姉のHさんとは、25年前、彼女がS女子大生だった頃に知り合って以来、年が離れていたこともあって(今となってはそんなに離れている気がしないけど)、彼女が結婚して家庭を持った後も、男女の仲を超えてつきあって来た人だった。それが十年前に彼女の人生に大きな難題がふりかかった。俺は相談に乗って力になってやりたかったけど、それは俺の力では解決不可能で、その負い目からかそれを契機に俺は彼女との交際を絶っていたのだ。けど、その後もずっと彼女のことは頭の片隅にあって、いつか機会があったらまた昔の関係に戻れたらと思い続けていた。そんな彼女の弟さんが今目の前に現れた。Oさんは、俺が彼女のことを覚えていたと伝えたら姉も喜びますと云ってくれたが、それはどうか分からない。俺の裏切り?に彼女は傷ついていて、心から喜ぶ気持になれないのではないかと危惧がある。でも、それはそれで仕方ない。俺にとってはずっと気になっていたHさんが今何とか立ち直っていることを知っただけで満足で、そんな機会を与えてくれた店と、人の輪に感謝だ。

2005・8・23

2005年08月24日 | Weblog
今回『失恋』からの立ち直りが早い。嫌いになったり、嫌いになられたりしての別れ方じゃないからか?別れて二日後だと云うのに、彼女だった女子大生の卒業後の進路(就職をやめて結婚するかしないか)の相談に乗っている。子供を欲しくて俺と別れたんだから、仕事より結婚の可能性のある人とのつきあいを進めたらなんて答えている自分がいて可笑しい。振り返ると、この一年間、俺は恋人と云うより彼女の保護者でいたのかも知れない。云ってみれば、『桃井小学校』を卒業していく生徒を見送る担任教師の心境か?その責任感が軽減したからか、担任教師はこれまで封印していた他の生徒との『交流』を再会しだす。昨日からのメールの送信数は20あまり。携帯を持ってから最高だ。店でも公然と恋が終ったことをお客さんに話して、それをネタに新たな恋の可能性を探る。若い女性官僚のEちゃんと一対一で恋愛話をしていると、もう彼女を狙っているんですか?いい加減にして下さいよとLちゃんに怒られてしまった。もっともな話だ。気づいてみたら店は雷雨にも関わらず満席に近かった。

2005・8・22

2005年08月23日 | Weblog
夕方からプロデューサーのMさんと『リテイク2』の台本打ち合わせ。自分でもラストが気に入らなかったが、Mさんにもそこを指摘されて直すことにする。更に面白くなる気がする。カウンターは週明けだったけど、そのMさんを初めに、プロデューサーのKさん、Iさん、Mテレビ局のKさん、妹のファンのMちゃん、女優のAさんとIさん、大阪から上京中のTさんとその友人のSさんなどで埋まる。最後は美術デザイナーのHさんがCMの演出家とカメラマンと。昨日彼女と別れた後遺症か、手首に痛風の発作が起き始める。どうして俺の肉体は精神的ストレスに弱いんだろう?

2005・8・21

2005年08月22日 | Weblog
『老後』の漠然とした過ごし方として、60になったら店を誰かに任せて、また子供を作って育児(結構楽しい)をしながら生きて行くのが夢だと云ってきた。そんな『ロマン』を語って一人の女に恋をして一年間が過ぎた。でも、この数カ月、彼女が『ロマン』に飽き足らず『現実』を求めるようになって来た。彼女の中で、『現実』に結婚して子供を作りたいと云う元々あった欲望が強まっていた。けど、今、俺は店を軌道に乗せると云う『現実』に直面している。彼女のことは愛しているけど、この現実から逃げる訳にはいかない。そう彼女に告げたら別れると云う。結婚出来る人とつきあいたいと云う。そうかと俺。だったら別れるしかない。『最後の恋』のつもりでつきあって来たからかなり堪える。彼女と別れてマンションの近くまできたら、警察の装甲車やパトカーがとまり、非常線が張られている。俺のマンションの前に爆発物の疑いがある不審なトランクが放置されているのが発見されたとのこと。マンションの中に入れず足止めを食って深夜の路上で一時間。ふと彼女のことを好きな男が俺を殺そうとしたのかもと被害妄想が膨らんでしまった夜。