桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2008・11・29

2008年11月30日 | Weblog
今日ウチで公演が始まった『FIRST KISS』という舞台は、今まで見たことのない芝居だった。事前の打ち合わせで、芝居と映像作品を合体させたイベントだと聞いていて、老舗劇団『B』に所属する女優のYさんたちや同じ劇団の演出家のMさんともあろう人が映像に頼った芝居をするのかよと少し引いて観劇したのだが、これが何と映像に頼る処か、舞台の俳優が映像に入ったり、映像から出たり、映像の中の俳優と対話したりの映像をとことん利用した「映像芝居」ともいえるもの。当然の如く普通の芝居の様に大袈裟なセリフの言い方はない。映像の中で喋るのと同じ位のセリフなのだ。この新鮮なこと。そしてとんでもなく刺激的だった。終わった後で演出家のMさんにこのことを告げると、この芝居は映像設備がちゃんとあって、その前で芝居ができるスペースがあるコレドだからできたことと言われて、そういう使い方をしてくれたみなさんに感謝。今週は日曜日に後三回,来週土日も日に三回づつ公演がある。舞台に興味のある方は是非。一見の価値ありです。そして芝居が終わった後、お客さんも大勢残って、盛り上がったものだから飲食店の店主としても大満足。カウンターにはイチゲンのお客さんが二組しかいなくて淋しかったけど、そのマイナスを充分補填してくれた。でも、午後から地下室にいる俺とMは閉店後空腹に耐えられず麻布十番の焼肉屋に直行。激辛のケジャンをチューチュー音を立てながら食べ続けた。

2008・11・28

2008年11月29日 | Weblog
その男たちは最初四人で六時半に入ってきて飲みだした。顔に記憶がないし、四人の話を聞いているとイチゲンのお客みたいだ。その内、四人の内の一人が仕事だと言って帰っていく。それと入れ違いに電話で連絡を取ったのか別の男が仲間に加わる。そして二時間程して又一人の男が仕事で引き揚げ、しばらくして別の男が加わる。そんなことの繰り返しで夜中の三時近くまで、合計9人の男たちが出たり入ったりの8時間。どうも某テレビ局の政治部記者らしいが、こんな飲み方する人種って初めてだ。他にお客さんは『乃木坂de575』の面々が12人、夕刊FのUさんたちが6人、それにKさんたち、某大手広告代理店のIさんとAさん、近所のネイルサロンのOさんとTさん、制作会社社長のIさんたち、TテレビのLさんとそのご主人で俳優のYさんたちで、久しぶりのハナキンモード。俺は8時間、Mは9時間も立ちっぱなしで足が棒。とても歩く元気はなく、近距離だけどタクシーで帰ってしまう。こういうの、経費の無駄遣いとは言われないよね?

2008・11・27

2008年11月28日 | Weblog
料理のオーダーがあるのは嬉しい。ウチの名物となりつつあるすき焼きのオーダーがあるのも嬉しい。でも……でも……常連の法律事務所に勤めるNさんが主催してくれた集いで、一時間置きにすき焼きが4個づつ、合計12個。他にもタコと卵のから揚げ、タコのマリネ風サラダ、タラモサラダ、マグロとアボガドのわさび醬油和え、チーズ盛り合わせが各三個づつ、そしてカウンターのお客さんからもすき焼きが2個、さきいかとキュウリのバターソテーが2個、マグロとアボガド、チーズ盛り合わせ、ヘルシーサラダなどなどが三時間の間にオーダーされて、ちょっとしたパニックになってしまった。そんな俺のアタフタぶりをカウンターに陣取った大阪の女性プロデューサーTさんたち、近所の高級ブティックのSさんたち、大手印刷会社TのKさんたち、俳優事務所社長のHさんたちが笑いながら声援を送ってくれたりしている。他にもいつも妖しい魅力をふりまく歯科医のSちゃん、編集者のKさんたち、そして閉店間際に飛び込んできた元脚本家教室の生徒Kさんたちで、いつもなら12時前にお客さんが一斉に引いて食事タイムとなる筈が、3時近くまで二人は空腹をぼやきつつ、お客さんで混んだ今日一日を喜んでいた。

2008・11・26

2008年11月27日 | Weblog
日曜日に届いた生牡蠣もそろそろ限界なので、残った20ヶをマリネにして保存しようと買い物と銀行にいくのをパスして午後の時間、殻剥き作業に没頭する。ちょっとした大仕事を終えて元麻布の美容院Oへ。いつもの様に髪を切ったのか切らなかったか分からない様に切って貰う。こんなことにこだわるなんて俺ってこう見えて結構お洒落なのかも知れない。6時に店へ。これまで「映芸マンスリー」として毎月ウチの店が共催してゲストを呼んでの映画上映を、これからは「映芸シネマテーク」というタイトルで三ヶ月に一度にしたのだけど、今日はその一回目。伝説のピンク映画の巨匠、W監督と脚本家のIさんをゲストに二人の作品『喪服の未亡人』を上映する。ピンク映画として場末の汚い映画館で封切られた作品だが、「死」と「幻想」をテーマにした佳作。上映後のトークも盛り上がって、第一回目としてはまぁまぁの成功か?12時前、カウンターのお客さんも全員引き揚げてしまって、俺とMは特製オムライスで厨房食。最近、この時間帯に食事できる日が続いている。食事できるのは嬉しいけど、食事できてしまうということはお客さんがいないということで、ちょっとやばい。

2008・11・25

2008年11月26日 | Weblog
サラリーマンもそうだろうけど、お店も連休の後は気が重い。特に今度はこれから年末年始休業に入る12月29日まで日曜祭日にイベントがあって俺とMは約35日間休みがなくなるので、気の重さが尚更だ。こんな書き方をするとイベントを呪っているみたいに思われるかも知れないけど、今日出資者に対する経営報告の資料を作っていて分かったことは,ウチの店の経営はイベントに80%依存しているという事実だ。つまりイベントがなければとっくにウチの店は潰れているのだし、呪う処か感謝感謝なんだけど、やはり還暦を過ぎた老体の俺と成人式を終えたばかりで遊び盛りのMにとっては休みがないのはちょっと辛い。来年からは何とかスタッフを増やしてこんな状態にならない様にしなくてはと思うけど、色々な問題があって、そう簡単にはいかない。例えば、今はこんなことを言っているけど、来年の1月2月はイベントの予約が殆ど埋まってないし、スタッフを充実させても意味がないのだ。でも、3月4月になったら分からない。その時になって焦ってみても遅いし、やるなら今から準備をと思っても経費のこともあるし、勇気がでない。ただ只どうしたらいいんだ?と呻くばかりの気が重い休み明け。イベント以外でのお客さんは先日公演を終えたばかりの劇作家兼演出家のHさんたち、博多土産の明太子をわざわざ持ってきてくれた映画監督で教育評論家のHさん、来年舞台に初挑戦すると張り切る近所のシルバーモデルのMさん、近所の制作会社の演出家Oさんたち、今日は半熟卵一つとジャガイモカレー半人分を食べて行った常連の演出家Sちゃん、大阪での朝ドラ収録の合間に東京里帰り中の女優のKさん、法律事務所勤務のNさん、マネージャーのMさん、銀座ママのSさんとHさん。二時半過ぎ、最後まで残って喋りたらなそうなMさんを誘って久しぶりに近所のラーメン屋へ。丼の中にネギが山盛りになっている激辛ネギ味噌ラーメンを食べて胃が焼ける。

2008・11・24

2008年11月25日 | Weblog
この連休中、仕事のこと,お店のこと、やらなくちゃいけないことについて考えることは一切頭の中に閉じ込めることにした。何かやりだすと止まらない。何か考え出すとキリがない。でも、ボンヤリとテレビを見たり、ソファに横になっていると、気づかない内に考え出している。考え出したことに気づいて、いけないとばかりに慌てて封印して、例えば、昨日いただいた生牡蠣の食べ方の考察とかし始め、お蔭で今日は生牡蠣のニンニクチーズ乗せ焼きと土手鍋を続けて食べることになってしまった。正月休みについても考える。正月は予算と日程的に海外旅行は無理になって、Mの故郷の広島で過ごすことになったのだけど、軽い鉄道マニアの俺としては、呉線で三原から広島へ、広島からは芸備線で三次へ、そして三次から福塩線で福山へ出て、更に山陽本線で三原に戻るなんて、殆ど三角形になるコースを考えたりして楽しむ。でも、牡蠣も苦手で、地元の旅行にも興味のないMは両方共話に乗って来ない。仕方なくひかりテレビで、エッチな題名のビデオ映画をお金を出して見る。こっちとしては『高校教師 飼育の校舎』という題名にエッチ度だけを求めていたのに、見ていく内に何処かシュールでアート志向の作品だと気づく。最後にクレジットタイトルを見たら、数年前『b』という映画でモスクワ映画祭グランプリを獲ったA監督の作品。見て得をした様な、損をした様な妙な気持ち。久しぶりの連休がダラダラっと終わっていく。

2008・11・23

2008年11月24日 | Weblog
久しぶりの完全休日。11月1日を臨時休業にして以来の休みだから三週間ぶりか?おまけに連休だ。商売的には辛いけど、何だか精神的にひどく得した気になる。前の連休の時もそうしたけど、今日明日は何も予定を立てないでダラダラ過ごすことにする。いつもは1時までにご飯をたべないと5時頃出かける前に二食目を食べられなくなってしまうので急ぐのだけど、今日は急ぐ必要はないので、起きてからダラダラ過ごして三時前に焼きそばを作って食べる。具は白菜とタマネギ、ソーセージだけだったけど、薬味替わりに一瓶四千円以上もする「まつのはこんぶ」をパラパラかけて食べる。美味。食事後、借りてきたK監督の『花よりもなほ』を見る。常連のカメラマンYさんが撮影監督をしていたこともあって、カメラワークとか色彩についつい目が行ってしまったし、途中、Mの母上のSさんから50個の広島産の殻つき牡蠣が送られてきて、興味がそっちに移ったこともあって、映画の面白さを堪能することができなかった。映画って見る人間の状況によって運不運がある。という訳で、お腹が空くのが待ちきれないで、六時過ぎにはもう生牡蠣に挑戦している。街で食べる生牡蠣だと10ヶ食べても物足りないのに、ここの牡蠣は太っていることもあって五つも食べるとお腹がふくれて来る感じがする。でも、今年最初の生牡蠣だ。五つ程度で終わってたまるかと無理して9ヶ食べる。おまけに日本酒をたっぷりかけて食べたこともあってすっかり酔ってソファでダウン。目が覚めたらテレビを見る気がしなくて、Mと誘って六本木ヒルズに映画を見に行く。別にお目当ての映画があった訳ではないが、時間的にピッタリだったのがY監督の『ハッピーフライト』。飛行機物でよくもここまで撮れたなと感心すると同時にサスペンスとしてもよくできていて深夜だというのに眠気に襲われることがなかった。『ハッピーフライト』は俺にとって運がいい映画だった。

2008・11・22

2008年11月23日 | Weblog
昨日の金曜日だってがら空きだったし、土曜日の今日はもっとお客さんがいないだろうと、部屋で出資者向けの経営報告書の資料作りに格闘していたら、店にIT企業の経営者Mさんたちが来ていると電話があったので飛んでいく。いつもエネルギュシュに仕事に立ち向かっているMさんの話を聞いていると、こっちまでエネルギーを注入して貰えるようで嬉しい。今日で三回目の来店となる近所のYさんと食べ物とアルコールの相性について話す。中華料理とラム酒の相性がぴったりと聞いて面白く思う。続いて生卵ごはんに合うアルコールは何かという話をしたりして楽しむ。一カ月半もアメリカロケに出かけていた映画会社に勤めるYちゃんが、数年前アメリカのアカデミー賞にノミネートされた女優のRさんと帰朝報告に来てくれる。仕事で英語ばかり喋っていた二人は、休憩時間になると東北弁で喋ることで気分転換をしていたらしく、その癖が抜けなくて今日も二人で東北弁で喋り続ける。若くて美人の二人の東北弁の会話は、それでも垢抜けている。先日来た時、Kさんが主演していた『B』が大好きな映画だと言っていた映画監督で教育評論家のHさんが、Kさんの存在に気づかず、仲間とのお喋りに夢中になっている。もしもKさんの存在に気づいたらどうなるだろうかと意地悪な気持ちで見ているのが楽しい。先日のダブルブッキング問題が再びぶり返されて鬱な気分でいたが、こんなみんなのお蔭で慰められた一日。

2008・11・21

2008年11月22日 | Weblog
京都祇園のクラブのママ、Rさんから電話がかかってきて、今日は金曜日なのに一人もお客さんが来ないと嘆かれる。今日に限らず、この数ヶ月、祇園はさっぱりだという。Rさん、祇園だけじゃありませんよ。乃木坂もサッパリです。今だってお客さんがいないので、夫婦仲良く控室で麻婆豆腐を作って食べていた処ですからねと慰める。ホント、この数ヶ月、ただでさえいないお客さんが更に減った様な気がする。サブプライム問題以後、色々な形で皆の間に不景気感が押し寄せているのだろうか?いや、不景気風はウチだけじゃない。ふと気づくと、赤坂六本木でクローズする店が目立ち始めている。何だかとても嫌なムードだ。そんなことをMと話しながらお客さんを二時間待っていたのだけど、一時過ぎまでお客さんは現れず。我慢できなくなって後片付けをして、店を出る。そういう目で見ると、六本木の街も金曜日にしては人の数が少ない。いつもは深夜にも関わらず人の姿があるビデオレンタル屋や本屋もがら空きだ。これから日本とウチの店はどうなるんだ?こんな気分の時は真面目な映画をみる気にならないので、SMAPの出演していた『古畑任三郎』のビデオを借りてきて、二人で見る。終わったのは五時半。こんな無駄な時間の使い方もたまにはいい。

2008・11・20

2008年11月21日 | Weblog
8時に劇団のマネージャーTさんにきて貰って、ダブルブッキング?の善後策を話し合う。この段階ではどっちが正しいどっちが悪いの言い合いをしている余裕はない。後で8時からのパーティの予約をして行ったYさんにもこっちから時間を9時に遅らせて貰うことにしたので、そちらも終演時間を8時半にして9時までに完全撤収して貰えるなら公演を許可するとの提案をする。Tさんは主宰者と相談してから返答すると帰って行ったが、果たしてどうなるか?というよりそれ以外に解決策はない。彼女が帰った途端、それまで張りつめていた緊張が緩んだのか、常連の演出家Sちゃんが行きつけの銀座の焼き鳥屋から持ってきてくれたおみやをアテに焼酎を御馳走になる内、あっという間に酔いが廻る。他にもお客さんは高校の同級生で内科医のH君たち、先日急死した映画監督Iさんの追悼の会帰りのCMプランナーのOさんたち、ミニスカートの婦人警官番組で儲けたお金で五年前『V』という映画に出資して各種の映画賞を総なめにした変わり者の制作会社社長のTさんたち、SミュージックのIさん、毎月ウチでベリーダンスの公演を続けているNさんたちでまぁまぁの入り。でも、Mが具合が悪くなって途中で帰ってしまったので、2時過ぎにIさんが帰った後、酔っているのに一人で厨房の洗い物や店内の後片付けをして、3時過ぎに店を出たのだけど、その時にはすっかり酔いは覚めていた。