桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2008・8・30

2008年08月31日 | Weblog
六月に引き続いて『Saws』公演の二回目。今日は2時半らのマチネもあるので12時前には店へ一旦出た後、赤坂の業者向け食材店に仕入れに向かう。雨の中、大きな袋が四つになってしまって、傘がさせずにびしょ濡れになる。そのことが影響しているとは思わないけど、それだけでドッと疲れる。主催者のHさんにいつもの桃井さんらしくないけど、何処かお体お悪いんですか?と聞かれてしまう程、グタッとなっている。最近どうも疲れやすい。何かするとすぐグタっとなるのは夏負けか?公演が始まったのを見届けて一旦部屋に帰って食事した後、昼寝。30分のつもりが二時間近く熟睡してしまう。5時過ぎに再び店へ。ソワレ公演の間はすき焼きを食べに来てくれた近所の人しかいなかったので、カウンターでついついうたた寝。こんなに眠ってしまうなんて何か変だ。遅い時間、K出版社に勤めるYちゃんたち美女四人に囲まれてエッチ話を仕掛けられるが、どうもついていけない。俺がエッチ話についていけないなんて、やっぱり何処か体が悪いのか?

2008・8・29

2008年08月30日 | Weblog
今日はパキさんこと映画監督藤田敏八氏の十一回目の命日だ。俺にとっては憧れの映画人だったし、25歳で『赤ちょうちん』という彼の映画に脚本家として名前を連ねることができたお蔭で、若い時から仕事の注文が次々に舞い込んできた意味では恩人だし、晩年は晩年で個人的に親しくしていただいて、殆ど週に一度は同じ酒場で飲んでいたもんだから、亡くなってから毎年俺が主催して『パキさんフェスティバル』と称して色々な形でパキさんを偲ぶ集いをやってきたのだけど、去年色々な事情で頓挫してしまったのに引き続き、今年は今年は早くから29日にイベントの予約が入っていたこともあって、何もしないまま、できないまま今日を迎えてしまった。ウチの店を訪れる脚本家志望や映画を志す若い人にパキさんの名前を言っても知らない人が多くなってきたのは最後の映画を監督してから21年、亡くなってから11年の歳月がたっているのだから当たり前のことかも知れない。そしてあんなに憧れたのに、あんなに仲良くして貰ったのに、俺の中でも思い出が風化して行っているのは歳月のなせる技なのかと思うと少し寂しくなる。東京は大雨。店の前にある乃木神社に落雷があったとかで消防車の出動騒ぎ。全くパキさんを偲ぶような雰囲気ではなかった8月29日。

2008・8・28

2008年08月29日 | Weblog
去年の11月から毎週木曜日に定期的に催されていたアルゼンチンタンゴのパーテー『TotoMillonga』が今日で終わることになった。始めた当初は旅行で来日中の外国人も含め何十人もの人が飲んで踊ってパーティは盛況だったが、次第に先細りになって、最近では一般参加者より主催者の人数の方が多いという状況だったから終わることになったのは仕方ないことか?この十カ月、店としてもできる限りの便宜を図ってきたのは、商売としてもオイシイのではないかと目論んだ(結果的にオイシクなかったけど)以外に、自分では踊れない癖して俺がタンゴの魅力に取りつかれていたからだ。哀愁を帯びたバンドネオンの響きの中で繰り広げられる相手を心身ともに求めるかの様に見える男女の踊りは見ているだけでドラマチックだ。幸か不幸か、運動神経が全くないことを自覚しているので実際に踊らなかったが、心の中ではいつも踊っていたのだ。そんな俺の気持ちを忖度した女性インストラクターのYさんは、他の人には積極的に勧誘するのに俺に対しては「あなたはタンゴにのめりこんで身を滅ぼすタイプだから入らない方がいいわよ」と忠告してくれた。それは誉め言葉ととっておこう。でも、タンゴ、踊りたかったな。

2008・8・27

2008年08月28日 | Weblog
近所にあるスーパーで美味しそうな生春巻きが売っていたので、こんがり色に揚げてレタスと一緒に食卓に並べる。マグロのブツが半値で売っていたので、わさび醤油にカイワレ大根、ミョウガ、シソと和えて食卓に並べる。故郷長崎から常連のFさんが送ってくれたスルメ昆布、イカの塩辛がとんでもなく美味しいので、夕べ食べたのに続けて食卓に並べる。それに納豆、ナスとネギの味噌汁で食事した後、Mと銀座の山野楽器へ。イベント用にウチにはマイクとスタンドが六本ずつあるのだけど、マイクをスタンドに固定する為のホールダーがいつの間にか二つもなくなっていたのだ。使う人が壊したなら壊したと正直に言ってくれればいいのに、黙って帰られてしまうと、いざ使う段になって困ったことになってしまう。今日は来月イベントをする人がマイクのテストに来ることになっているので、慌てて銀座まで出かけることにしたのだけど、どうしてオレがこんなことの為に貴重な午後の時間を使わなくてはならないのだと思い出してしまうと、ひどく消耗する。でも、ダウンしたのはMの方で、途中から気分が悪くなってしまったので、一旦部屋に帰らせて俺一人で店へ。まぁ、早い時間は一人でも何とかなるだろうとマイクテストにきたTさんたちに応対していたら、開店前の時間からI先生に引き連れられたシナリオ講座の生徒が十一人来店。一人でちょっとパニクル。でも、七時過ぎにはMも復帰したので、カウンターはMに任せて俺はまた偉そうにシナリオの課外授業。どうやら彼らの来る時はいつの間にか俺のお喋りがオプションでついてしまっているみたいだ。他にお客さんは近所に仕事場を持つ有名脚本家のYさん、某大手広告代理店HのIさんとTさん、高校の同期生で某大手出版社の局長のSと彼を慕う若手社員たち、いつもは女性と一緒なのに珍しく若手の部下連れのBさんなど。途中、厨房でポークカレーを食べたのだけど、汁物?はお腹が減る。スーパーでディスカウントしていた鉄火巻き、アジの握り、柿葉寿司など買って来て部屋で熱い日本茶を入れて食う。結構幸せ気分。

2008・8・26

2008年08月27日 | Weblog
今日、誕生日のお祝いで集まった映画評論家のUさんや映画宣伝会社のIさんたちが、奥さんをまだこんな処で働かせておいていいの?と聞いてくる。こんな処ってどういう意味?と聞くと、だってオメデタでしょ?と遠慮がちに聞いてくる。ええっ、Mが妊娠?思わず誰の子を?と聞いてしまいたくなる程こっちがびっくりするが、どうしてそう思ってしまったのかと訳を聞いて納得する。数日前の日記で我が家では「ある事情で」禁煙になっていると書いたことと、数週間前の日記でMが俺の知り合いの婦人科医に定期検診に出かけたという記述を合わせ読んで、Mの妊娠を想像したのだ。そういえば、数日前にきた脚本家のTさんにもそんなニュアンスのこと言われたッけと思い出す。みんながこんなに想像力を働かせて俺の日記を読んでいてくれるなんて感激だけど、ここできっぱり妊娠説は否定。そんな雨の日の乃木坂。他にお客さんは常連の演出家Sちゃんたち、夕刊FのUさん、元女優で今は映画制作会社でAPとして働くYたちの数人のみ。売り上げは上がらないのに、ビル管理会社から十数万の請求書、更にある人から個人的に十数万の振込請求。合わせて三十万近く。どうするべえ。

2008・8・25

2008年08月26日 | Weblog
そんな歯をしてたら若い女の子とキスできなくなりますよ、と七年前にウチの店に来た女性歯科医のTさんに言われたことが、それまでの歯医者から彼女に乗り換えたきっかけだった。自分で磨いただけじゃ歯石は取りづらいから月に一度はクリーニングに来たら?と云う誘い文句は、当時何人もの若い女の子とチャラチャラしていた俺にとって教祖のご託宣みたいに聞こえた。それから七年間、途中虫歯の治療もあったけど、殆どは歯石クリーニングの為だけに電車で片道二十分はかけて茅場町にあるTクリニックに通うのが月に一度の習慣になった。ところが、去年俺が結婚してしばらくしてから治療を終えたTさんにもう月一で来なくていいわ、何処か痛くなったら連絡くださいと言われてしまった。一瞬意味が分からなかった。結婚したから、もう別の若い女の子とチャラチャラしないだろうから歯石クリーニングは必要ないってこと?けど、Mとだってキスする訳だし、キスしなくたって歯石が溜まって歯槽膿漏になることだって……訳が分からないまま、幸いにも歯痛に襲われることもなかったので、半年以上が経った。途中、ウチの店の常連になった妖しい魅力を振りまく歯科医のSちゃんに乗り換えようとする誘惑に何度も駆られた。けど、その誘惑にギリギリで耐えていたら、数日前、Tさんが友人とフラッと店に寄ってくれて、どうしたのよ?私は来なくていいなんて言ってないわよと言い張る。けど、確かにあの時……それ以上の言い合いは無意味だった。俺が聞き間違えたのか、Tさんが言い間違えたのか、謎は解明しない。でも、とにかく今日、俺は半年ぶりに歯石クリーニングをして貰いに茅場町に出かけたのだった。

2008・8・24

2008年08月25日 | Weblog
やらなくてはならないことが山積みになっているのに、今日一日は何もやらないことにした、と云うよりやりたくなかった。食事も予定しない、好きな時に好きなものを食べることにして、昨日Oさんから差し入れでいただいた稲荷寿司を、賞味期限を気にしながらMは4個、俺は12個。テレビのバラエティ番組には最近有名になったM弁護士がまた出ている。弁護士の傍ら俳優もやっている彼は、俺が書いたドラマにもチョイ役で出ていて、打ち上げなどで話したこともある。いつか警察に逮捕される様なことがあったら君を弁護士として呼ぶからな、頼むよ。はい、喜んでと名詞をくれたから手帳に彼の名前と連絡先を書いておいたけど、もう無理だろうなとどうでもいいことを思う。昼寝を取った後はまたしてもテーブルにソーセージやタコの燻製、茶豆など並べてビール飲みながらテレビ。オリンピックは見ない。国家意識、民族意識って醜悪だ。その延長線が戦争じゃないか。それよりはドリフターズやさんまの方が健全だ。でも、さすがに夜になるとテレビに飽きて街に出る。日曜の夜は焼き鳥を食うのが最近の定番になっている。新宿のEにいこうとと思ったけど、今日は雨も降っているので西麻布のTへ。Eに比べると少し高いけど、新宿に出ると帰りはタクシーになってしまうので、結局は同じ程度の出費になるだからと言い訳して痛風の癖してレバーを食う。カウンターの隣ではイケメン俳優のKJが俺と同じ様に焼き鳥を食べている。さすが西麻布だねとこれもどうでもいい感心をしながら小一時間。帰りに西麻布の交差点でテイクアウトしたアイスクリームを舐めながら「雨の西麻布」を家路に向かう。

2008・8・23

2008年08月24日 | Weblog
『リテイク』(如月皐バージョン)の公演が終わった。7月18日から飛び飛びで15日のリハ。普通の芝居より稽古日数は少ないし、それ以外の日もカラオケボックスで一人稽古をしていた如月さんにしてみれば、大したことじゃないかもしれないけど、俺はリハが終わってから店の営業に入って、下手すれば朝近くまで店にいることになってしまう日々から解放されて、今ホッとしている。そして昔一緒に同じシリーズのドラマを書かせて貰った有名脚本家のKさんたち予想もしなかったお客さんも含め、三公演で約140人のお客さんを集められたこと、如月さんと云う無名の女優が一人芝居に挑戦することでどんどん成長していく姿を見ることができたのは嬉しかったけど、反対に声の出演を兼ねて照明操作を担当できるとタカをくくってやってみたものの、最終公演以外はメタメタに操作を間違えて、芝居をぶっ壊してしまったことや、俳優論、演出論の行き違いなどあって、存分に芝居作りにのめり込めなかったことなど反省すべきことが一杯あった公演だった。でも、とにかく疲れた。ストレスを溜めたことで痛風の発作がでてしまったのに、こう云う日は焼き肉でも食べないとやってられないと、閉店後Mと麻布十番の焼き肉屋へ直行して痛風に悪いホルモンを貪り食う。麻布十番は祭りが終わった後。そして俺の二日間の祭りも終わった。

2008・8・22

2008年08月23日 | Weblog
『リテイク』(如月皐バージョン)の初日。昨日時点で42名の予約があったことはあった。でも、それが当日客が十数人も来てくれた為、開演前に客席をどう確保するかでパニックになる。バーカウンターの椅子以外はすべて動員して何とか開演。ところが、照明と声の出演をする為にPAルームに座った途端、焦る。ここの椅子も動員してしまって、代わりに高さの違う椅子を置いたことで、マイクの位置が違ってしまったのだ。詳しいことは省略するけど、そこで俺はパニックになってしまった。マイクに口をつけて声を出さないといけないし、近眼と老眼が同居している眼は高さが違ってしまうと台本の文字がはっきり見えない。そんなことに苛立っている内に照明は何度も間違えてしまう。もう徹底的に自己嫌悪。土曜日、どうなるのか今から不安だ。

2008・8・22

2008年08月22日 | Weblog
牡蠣の炊き込みご飯を作り、塩鮭、広島漬け、塩昆布、しじみのお吸い物と云ったあっさりした食事をした後、いよいよ翌日に迫った『リテイク』(如月皐バージョン)のリハの為、お昼過ぎには店へ。如月さんは完璧に近い線に来ていると思うのだけど、俺がPA室で照明と声の出演を同時にやっていることもあって度々足を引っ張る。これで演出と云うのはおこがましい。終了後、開店準備をしていたら常連の演出家SちゃんがプロデューサーのKさんたちと来店。今日は早くからいいぞいいぞと思ったけど、えてしてこういう日は後が続かないもの。大荒れの天候で電車が止まったりしたこともあったけど、後はイベント見学のTさんたち二人とSミュージックのIさんだけ。夕飯を食べ損ねた為、お腹がペコペコで部屋に帰って鰻丼を食べようと涎を垂らしていたのに、炊飯器には白米ではなく、朝の牡蠣の炊き込みご飯が残っていたことに気づいて愕然。牡蠣と鰻か……別に一緒に食べてもいいけど、勿体ないよなぁと思っている内に、食欲が衰えてしまっていた。