桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2012・1・30

2012年01月31日 | Weblog
最近の日記で読みづらい読みづらいと散々俺との相性の悪さを言ってきたある海外ミステリー(今更隠すことはないけど、ちょっと悪口なので)の翻訳は、彼女の文章が気に入らないのではなく、巻末にある彼女のプロフィールが気に入らないものだから文章に乗れないことに今日気づく。何が気に入らないのかというと「××××(翻訳家の名前)S女子大学文学部卒 英米文学翻訳家 訳書「……」「……」」とだけあって、生まれた年が書いてないことだ。年齢が分かるのはいやだけど、学歴が分かるのは構わないのか?翻訳文だけで自分を評価してほしいと思っているなら卒業大学もの知って貰わなくてもいいんじゃないか?時々こういう有名人がいるけど、そんなに女性は年を知られるのが嫌なのか?一般女性はいいけど、自分の著作物を出したり、世の中に発言する人は年齢を隠したりしては不味いのではないか?何故って、20歳の女の子では許されることでも40歳の大人の女性では許されないことがあるのだ。反対に40歳の大人の女性の発言としてはごく普通にしか見えなくても、20歳の女の子が発言したのだとしたら、違う見方をしてしまうこともあるのだ。大体、年を取るのが何故嫌なんだ?こんな風に本当の年を隠したりするから世の中全体が女年をとった女性をババア扱いするのだ。若い女の方がいいという傾向が蔓延するのだ。これじゃ女性は自分で女性の首をしめていることになってしまう。年を取ったことを恥じるな。年を取るのはいいことだ……とロリコンの俺が言っても馬鹿みたいか?なんて思いつつ、彼女が翻訳した海外ミステリーを読み終わる。

2012・1・29

2012年01月30日 | Weblog
昨日のイタリア人から言われたことが気になっていたので、今朝はどうしてもペペロンチーノを食べないではいられない。最初「本格的」に香りづけだけでニンニクを使ってみたけど、やはりスライスがないと頼りなくて、一度別皿によけておいたのにちらしてしまう。一緒に添えたサーディンと赤唐辛子、パセリと一緒になると、やはりこっちの方が見栄えがいいと思って、イタリア本場のペペロンチーノより桃井版ペペロンチーノに軍配をあげてしまう。それはそれでよし。他にオニオンスライス一杯のグリーンサラダとコーンスープとオレンジ。午後今までにも何回となくイベントをやってくれた人気劇団Hの俳優Mさんから六月にウチを使いたいという申込みがある。けど、その時点でウチがどうなっているのか分からないし、迷惑をかけては悪いのでお断わりしてしまう。こんなことでいいかどうか分からない。ひょっとするとウチが潰れるかもしれないという噂を聞いて、コレドシアターを何とかつぶさないでいう励ましのメールを貰ったりもする。俺だって何とかしたい。でも、きつい。管理費もいれてだけど65万弱の家賃は、予約が一月の半分埋まっていてやっと支払える額だ。それなのに2月3月4月の三ヶ月の間にイベントの予約数は13日。広尾時代に皆さんの浄財を集めて作ったスペースだけど、負けたことを潔く認める日が近づいている。昨日、溜池山王で小料理屋をやっているKさんが、そんなに家賃で困っているんだったら、ウチの店の一階に移転したらと言ってくれる。今の店よりちょっと広くて家賃は20万円を切るだろうという。40数万少ない。三分の一の家賃だ。その時一緒にいらした経理に詳しいIさんは一日でも早くここを引き払うと大家に通告すべきだし、運転資金を作る為にもお金を借りられる処からは借りられるだけ借りておけとアドバイスされる。反対にウチの税理士からはお金をこれ以上借りたら地獄が待ってますよと脅かされている。うーん、みなさんが色々考えてくれる。心配してくれる。何処に着地すればいいのか、それは風まかせなのか?夕方、麻婆豆腐を作って母の処へ。豚シャブを作るから一緒に食べようと言われたのに、麻婆豆腐だけでお腹一杯と言われてしまって豚シャブはお預けになってしまったが、俺も頭の中が店をどうするかで一杯になっていたので、お腹も一杯になってしまっていた。

2012・1・28

2012年01月29日 | Weblog
昼間食事しながらテレビを見ていたら、アイドル系というかイケメン風のタレントが俺はドSだけど、あんたはドMだねとなんて、ごく日常会話のようにサドマゾ用語を使っているのにびっくりする。SMって、俺なんかの世代には背徳感に満ちた秘められた欲望だったし、ロマンポルノで「奴隷妻」というSM映画の脚本を書いた時には家族や隣近所の人から白い目で見られたものだ。それなのに、土曜日の昼下がりの地上波テレビでタレントが平気でSM用語を口にするようになったなんて、年寄りぶる訳じゃないけど、時代の流れを感じてしまう。六時過ぎに来店したOLのEさんとそのことを話していたら、SM談義が止まらなくなって、以後9時過ぎまでお客さんがいなかったもんだから3時間近くもやばい話題を繰り広げていたのだけど、スタッフのO君は遅い出勤で他には誰もいない地下室で、曲がりなりにも男の俺と女盛りのEさんが二人きりで盛り上がるには不適切な話題だったかもしれない。でも、彼女はそれからも残ってくれて、しばらくして入ってきたイタリア人のMさんともお喋りをしてくれた処をみると、そんなに不愉快じゃなかったかもしれない。Mさんとはイタリア人とニンニクの関係で盛り上がった。俺たちはイタリア料理にはニンニクがたっぶり使ってあるものだと思い込んでいるけど、本場のイタリアでは香りづけにニンニクを使うだけで、スライスやみじん切りでは口にしないというのだ。確かにちゃんとしたイタリア料理の店でペペロンチーノを食べた時にニンニクスライスが入っていないことを妙に思ったことがあったけど、あれは妙じゃなかったのだ。だったら誰が日本でイタリア料理にニンニクをたっぷり使うなんてことを始めたのか?いや、ちょっとまてよ。ペペロンチーノにニンニクをあんなに使うのは俺だけなのか?倹約の意味もあって今週一週間外食を控えてきたけど、明日あたり店の近所にある有名なイタリアンに行って聞いてみたくなってきた。お客さんは後制作会社の経理責任者のIさんだけだったし、彼らも11時過ぎには引き揚げてしまったので12時前に閉店。普通なら12時半には部屋につける筈なのに、千代田線で線路に人が降りたとかで電車がしばらくとまったと思ったら、山手線でも事故があったとかで原宿で足止めされて部屋についたのは1時半近く。体が冷えきってしまったのでスーパーでモツ煮込みを買って作って食べる。

2012・1・27

2012年01月28日 | Weblog
今日は今年初めてのイベント、それもソワレとマチネと二回公演があるので、8時に起きて張り切る。炊きたてのご飯で作った明太子と鰹節と昆布のおにぎり、半熟の茹で卵、冷凍してあったハマグリで作った味噌汁などを胃袋にしっかりいれて11時半には店へ。朗読のイベントでお客さんは主婦が多いし、お昼で、且つ寒いので暖かいもののオーダーが多いだろうと踏んで、部屋からコーヒーメーカーを持参したのが正解。アルコールやフード類のオーダーはゼロだったけど、珈琲だけは10オーダー。マチネが終わってソワレの開場が始まるまでの一時間半余り、青山から赤坂、六本木ミッドタウンとブラブラ歩く。いつの間にかこの一帯に馴染んでしまったのか分からないけど、きらびやかな表通りとひっそりとした裏通りのコントラストが好きになっている。できたらこのまま店を続けていきたいと思っているけど、経済的問題がだんだんとそれを難しくしつつある。ソワレは7時開演8時半終了。ニ公演ともお客さんが一杯だったので観客数で使用料金をいただくコレドとしては今年一番の売上で主宰者のIさんに感謝。これでバーカウンターの方もお客さんが入ればと願っていたら、9時過ぎまでお客さんは現われず、おいおい二日連続でノーゲストじゃ洒落にならないぞと思っていたら、久しぶりに顔をだしたNテレビのプロデューサーのBちゃん、制作会社社長のSさん、TテレビのAプロデューサー、ポルトガル文化センターでの知り合いで、ご自身で撮影したリスボンの写真を持ってきてくれたKさんとご主人のTさん、法律事務所勤務のNさん、高校の後輩で広告会社勤務のSさん、そして今日のスペシャルゲストは常連のシルバーモデルのMさんの妹のHさんが連れてきてくれた女優のIさん。広尾時代はセミ常連の彼女だったが、乃木坂に移った頃女優業から亡くなった父上の会社の経営にシフトを移したものだから会う機会がなくなって、今日会うのは六年か七年ぶりだったのだ。スクリーンやテレビでは妖艶などちらかというと悪役の多い女優さんだけど、実際は男っぽ区さっぱりとした性格で、お喋りしていて相手が女優であることを忘れてしまう程気立てのいい女性だ。今日を機会に店に通うと言ってくれて帰って行ったIさん。彼女に通って貰う為にも店を何とか維持したいのだけど。

2012・1・26

2012年01月27日 | Weblog
4時半に店に入る。バーカウンター周りの掃除をする。トイレの掃除をする。5時過ぎに終了して近所のスーパーとコンビニに買い物にいく。開店前だからお客さんはいない。いなくても当たり前だ。倉庫の掃除をして6時ちょうどに、さぁ、今日は稼ぐぞと決意を秘めて看板を点灯する。だからってすぐにお客さんはこない。控室で持参したおにぎりを食べる。コンビニで三つ買うと300円だけど、自分で作ればタダ近く。その代わりコンビニで買ってきた週刊朝日を読む。駄目。最近どんどん週刊朝日がつまらなくなっている。どうしたんだ?週刊朝日?なんて文句をいいながら原発関係の記事を読んでいたら7時をすぎていたけど、まだお客さんはこない。よくあることだと自分に言い聞かし、「二流小説家」の続きを読み出す。でも、二三ページ読んだまた眠くなる。ホント、この小説の翻訳文体との相性が悪い。8時過ぎに目覚める。居眠りしている間にカウンターがお客さんで埋まっていたら凄いけど、そんなことはある筈もなく。まだお客さんはゼロ。仕方なくポルトガル語の勉強を始める。話したい。M先生はお情けで俺がホルトガル語を話すと、「Muinte ben(よくできた)」と言ってくれるけど、それはお情けだと分かっているし、お情けではなく本当にポルトガル人と片言でもいいからポルトガル語で話したいという64歳の欲望は猛り狂うが、性欲と同じでいくら猥褻になっても勃起しなければ意味がない。でも、二時間近く欲望を滾らす。何故ってお客さんがいないから。数日前にも10時半までお客さんがいない日があったけど、今日もそうなのか?いや、その10時半をすぎてもお客さんはいないので、イベントスペースのエアコンや換気扇の掃除をする。床もついでに掃除する。そんなことしているとお客さんが入ってくるような気がしたけど、今日は駄目。11時になってもノーゲスト。スタッフのO君を帰って貰う。その後、ひとりで待つ。15分経過……30分経過……45分経過……もう限界だった。後15分待つことができずに閉店準備。ノーゲスト、ノーゲスト、ノーゲスト……「今日、ウチの店は誰もお客さんがこなかった」とポルトガル語でどういうんだろと考えながら店の階段を上り、駅の階段をおりていく。

2012・1・25

2012年01月26日 | Weblog
人との相性があるように本との相性もあって、最近では去年のベストワンだと言われている『ジェノサイド』(高野和明)は読み始めた時にこんなにスムースに読める小説はしばらくお目にかかってなかったもんだからページを捲るのに気持ちが急いてしまって、読み終わった時にはスリルとサスペンスを堪能したけど、何が書いてあったのか思い返すことができず、これって小説だろうけど、何か違う気がしてしまった。同じく外国の推理サスペンスのベストワンと世評の高い「二流小説家」(Dゴードン)はどうしてこんなに読みづらいのだろうと溜め息ばかりついていて、ページが進まない。俺は知らないけど、Dゴードンって多分優秀な小説家なのだろう。だとしたら翻訳家と俺の相性が合わないのかもしれない。99%の人には読みやすい文体でも俺には読み辛い翻訳ってものがあって、今までもイタリアの作家タブッキの作品も須賀敦子さん以外の人の翻訳だと全く前に進まず、途中放棄してしまった作品すらあったのだ。そして多分こんな俺がかく日記だって読みやすい読みにくいなんて人にとっては相性があるに違いない。一昨日まで大体350人前後の方がアクセスしてくれていたのに,昨日は突然490人にも膨れ上がったのは、特別有名人の名前や流行のグッズや言葉を書いた覚えがないので、俺のこの日記の文体を相性がいいと思ってくれた人びとが150人近くも増えたのか、それとも沈没寸前のコレドの最後を見届けようという野次馬の人が増えたのか?でも、沈没寸前の舟の船長はまだまだ諦めず何とか港へ曳航していく努力を続けていこうと思う。2時に帰宅。ビールを飲みながら牛肉とキムチと玉葱の韓国風炒めを作って食べてから、ベッドに入って「二流小説家」の続きを読むが、今日も二ページで夢の世界に突入。読み終わるのはいつになるだろう?

2012・1・24

2012年01月25日 | Weblog
昔は閉店直前にきていた××さんが最近は開店直後にきてササッと飲んで帰るようになったのは何故なのか分からないけど、とにかく早い時間に飲んでいることが会社や家族に分かるといけないのでイニシャルや肩書も書けない。テレビAの関連会社の社長で、俺が初めて書いたテレビドラマのADだった時からだからもう35年以上のつきあいになるKさんと書くと、ギョウカイ的には何人もの人がKさんが誰だか分かってしまうからイニシャルで書いても意味がないのだけど、この日記ではどんなに親しくてもKさんで通す。今日お店があまりに暇で俺の相手をしているのに飽きたKさんが呼び寄せたウチの近所でヘアメイクスタジオをしているOさんには、これから来店してくれたら美人ヘアメイクのOさんと呼ぶごとにしよう。週刊A芸能でどちらかということ硬派な芸能ルポルタージュを連載しているIさんは毎回紹介の仕方が違う気がする。今日は俺にお寿司の差し入れをしてくれたライターのIさんとしておく。映画プロデューサーのKさんにはこの間も今日も卵を二つ使ったポルトガル風玉子焼を食べた上にカウンターにおいてあるゆで卵を三日も食べてしまって、いつか「卵の食べ過ぎでコレステロールが心配な」という紹介の仕方をするようになるかもしれない。法律事務所勤務のNさんはわざとどうでもいいことを難しい言葉を使って俺をカリカリさせては文句を言われるのを殆ど日課みたいにしている。彼の紹介の仕方は「いつも難しい言葉を使って俺に怒られる法律事務所勤務の」だ。そんなみんなが集ってわいわいがやがややった1月24日のコレド。こんな日がいつまで続くのか?

2012・1・23

2012年01月24日 | Weblog
この数日、日記を書くのが苦痛だ。理由は分かっている。書きたいことはアノことしかない。でも、アノことを書くと、もううんざりだとか、そうやって同情をひくなよとか云う声が聞こえてくるもんだから書けなくなってしまうのだ。いや、それでも書いているじゃないかと言われるかも知れないけど、あれでもアノことは抑えているのだ。本当は頭の中も心の中も通帳の中もアノ問題ばかりなのだから何百行も書き続けたいのだけど、人から嫌われたくない俺は我慢する方を選んでしまう。それにしても(全然関係ないけど)最近の天気予報はよく当たる。今日も本当にあんな大雪になるとは思わなかった。ただでさえお客さんが少ない店だし、今日はお客さんがゼロかも知れないと諦めかけていたら、旧知の俳優事務所社長のBさんがTテレビのKさんたち7人と来店してくれたのを初め、イチゲンの女性2人組、法律事務所勤務のNさん、今年初めての来店してくれた映画監督兼教育評論家のHさん、近所に住む日本最長老の映画監督の孫で、自らも映画監督のKさんなどが顔を出してくれる。電車が止まる恐れがあったので、みんな早く帰ったけど、Kさんだけは近所で帰れなくなる心配がないので12時すぎまで。俺も色々話したいことがあったけど、これ以上話していると俺の方が帰れなくなる恐れがあったので、ドクター(マスター)ストップして閉店。ギリギリで最終電車に間に合う。こんな日は熱燗で……と思ったけど、お腹が空いていたので自宅に帰ってワンタンスープに明太子のおにぎりを食べたらお酒モードではなくなり、久しぶりの休肝日。お茶を飲みながら窓から雪景色を見る。ロマンチックなムードになってもいいのに、俺の頭の中はアノことばかり。

2012・1・22

2012年01月23日 | Weblog
今日は午後から母の処に行って遅い昼御飯(朝飯兼)をする予定でいたのに、8時に起きてダラダラしている間にお腹が空いてしまったもんだから、貝の佃煮に韓国海苔でご飯一杯だけ食べるつもりが、食べだしたら歯止めが効かなくなり、遂にはちゃんと大根をおろしてサンマの干物を焼き、納豆に豆腐の味噌汁も用意して満腹になるまで食べてしまう。11時にこれだけ食べてしまうと、2時にご飯を食べる訳にもいかず、母の処にはケーキを持っていき、しばしお喋り。その後、園子温監督の映画「ヒミズ」を見ようと渋谷に出たが、時間を間違えてしまったので断念。仕方なく焼鳥でも食べて帰ろうと思ったが、これまた時間的に焼鳥屋はあいてなく、そう思ったら仕方なくではなくて何が何でも焼鳥が食べたくなって、五反田のスーパーで鶏レバーと手羽先を買って帰って早い時間から部屋で焼いてひとり焼鳥屋。去年のベストワンミステリーと評判の高い「二流小説家」(Dゴードン)を読みながら日本酒の熱燗。月末に向かって節約モードでいる俺にはちょうどいい感じ。

2012・1・21

2012年01月22日 | Weblog
閉店直前に入ってきた人妻Iちゃんが、カウンターにズラッと並んだ(風に見える女性客3人男性客2人)を見て、なんだ?日記をみたら桃井がかなり落ちこんでいるんじゃないかと思ってカラオケにいこうと云うみんなの誘いを断ってきたのに、こんなに繁昌していて桃井も元気そうだし、わざわざ来て損しちゃったとぼやく。あのね、Iちゃん、お客さんが5人でどうして繁昌しているんだよ?客単価3500円の店だよ。Iちゃんもいれて6人で21000円しか売上がないことじゃん。何度もここに書いて皆さんにしつこいと言われているけど、家賃が一日26000円かかるんだ。21000円しかなくちゃ落ちこんで当然でしょ?と食ってかかったら、だったらいつも空いている芝居をやるスペースなんかやめちゃってゴールデン街でも二丁目でもバーだけの小さな店にしたらいいじゃない?と反論してくる。桃井がやるなら何処にだってみんなついていくと思うよと嬉しいことを言ってくれる。他の何人かにもそう言われる。世の中劇場代がダンピングしているみたいだし、ウチみたいなイベントスペースを使う人が少なくなっても当然だからできるだけ早い時期にやめるべきなのかも知れない。バーだけだったら老人ひとり食っていくだけのお金は稼げるかも知れない。でもさぁ……と何か俺は躊躇う。何かとは何か?多分気持ちが小さくなるのが嫌なのだろう。縮小再生産が嫌いなのだろう。変わるんだったら大きく大胆にをモットーに生きてきたつもりだけど、ここは64歳らしく生きる規模を小さくした方がいいのか?