桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2009・6・29

2009年06月30日 | Weblog
後で聞いてみると、それはちょっとした誤解から始まった。四月にウチで催された人気バイオリン奏者Nさんのライブにゲスト出演したトランペット奏者のKさんが、その会場の盛り上がりに感激して、終わった後の打ち上げで自分も是非コレドでライブをしたいと俺に申し込んでくれて、二カ月半後の今日、ウチでのライブが催されることになっていた。途中、覚書も交わしたし、途中メールの交換も頻繁にしたし、フライアーが出来た時にはKさんが奥さんと一緒に店まで持ってきてくれた程だから、何の問題もなく今日のライブは行われると思い込んでいた。Kさん自身、サザンと共演したりする人気アーティストだし、今度はNさんがゲスト参加するし、予約はきっと満杯になっていると想像していた。処が、想像に反して、店に出て聞いてみたら、何と予約は殆どなし。一瞬何が起こったのかと思ったら、どうやらKさんは集客はお店がやってくれるものとばかり思い込んでいて、殆ど宣伝らしい宣伝をしなかったようなのだ。ウチはウチ自身の企画の場合は当然集客に力を入れるが、そうじゃない場合は集客に責任を持たない。多分、KさんはNさんのライブの盛り上がりの裏に献身的にプロデューサーとして集客をした歯科医のSちゃんの存在がいたことを忘れていたのだろう。でも、そんな原因分析をしていても始まらない。ライブは定刻に始まってしまう。観客として来ていたSさんやNさん、そして他のメンバーたちが電話をかけまくって今から来れる人を呼んだのだが、今日の今日で乃木坂まで駆けつけられる人は僅かで、メンバー5人に対して観客はウチのスタッフを入れて10人と云う、見方によって超豪華なライブが始まってしまったのだ。でも、さすがは人気ミュージシャンたちだ。そんなライブでも手を抜かない。見事なライブステージが乃木坂の夜に繰り広げられていた。感激した俺は、ライブ終了後、Kさんに今日のリベンジライブを10月頃今度は俺のプロデュースでやろうと持ちかけていた。これも出会いだ。
コレドのホームページのアドレスイベントスケジュールなどご参照ください。

2009・6・28

2009年06月29日 | Weblog
ったく余計なことをしちまったぜとその惨状を眺めながら呟いた。今日のイベントの始まってしばらくして、厨房の汚水曹の汚れが気になっていた俺は、普段だと匂いが店内に立ち込めるので出来ないけど、今日は幸か不幸かイベントのお客さんが少ないし、イベントが終わればそのお客さんも早々に帰るだろうし、いい機会だと思い立ち,意を決して汚水曹の清掃を始めた。悪臭が鼻を突き刺す。杓で救えない汚物を手で取り除く。途中放棄したくなる。でも、ここでやらないといつやれるか分からないし、悪臭に耐えながら義務感だけで汚物を取り除く。その甲斐あってか流れがよくなる。でも、ホッとしたのも束の間、バーカウンターの排水口から汚水が逆流しているとMが叫ぶ。流れがよくなって何か固形物が流れてしまい、大元の排水管が詰まってしまったのだろう。悪臭も店全体に立ち籠める。カウンターの中は汚物を含んだ池みたいになる。冒頭の呟きはその光景を為す術もなく見つめた時のものだ。とにかく業者を呼んでとりあえずの応急処理をして、明日からの営業には差し支えないようにはしてもらったけど、本格的に除去作業をするとなるとまた何万円もかかると思うと、気が十トン級に重くなる。
コレドのホームページのアドレスイベントスケジュールなどご参照ください。

2009・6・27

2009年06月28日 | Weblog
パタバタした一日だった。まずは今日のイベント『萩原かおりLIVE』のマチネ公演の為、1時に店へ。3時に開演してから赤坂の業者向け食料品店に買い出し。自転車の前後の荷台一杯に食料品を積み込んで店へ戻ると、カレーを始めソワレ用の料理が殆どなかったので大急ぎで仕込みをする。5時過ぎにマチネが終演してソワレ開場が6時半と間がなかったので、かなり焦って作ったが、こう云う時に限って料理のオーダーは殆どなく、拍子抜け。7時の開演を待って、店をY君とMに任せて6時から始まっている映画監督Tさんの還暦を祝うパーティ開場である新宿Hホテルへ急ぐ。普通だったらこんな時間を縫う様に出かけたりはしないのだけど、Tさんにはウチの店を作る時に会員券を買って貰っているし、俺の結婚と還暦を兼ねたパーティにも出席は出来ないからと美人女優の奥さんと一緒にわざわざ御祝儀を持ってきて貰ったこともあって、無理しても出席しようと思ったのだ。宴は始まって既に一時間以上は経っていたが、会場は映画人や芸能人で溢れ、華やかな雰囲気。それに久しぶりに会う人たちともお喋りできたけど、店のことが気になって馴染めない俺は薄い烏龍ハイを一杯飲むだけで、T監督に挨拶すると、途中で退席する。でも、ホテルを出て店に電話すると、ライブ以外のお客さんはいないとのことで、ライブのお客さんも残って料理をオーダーしそうじゃなかったので、土曜日だと云うこともあって後は二人に任せて遅々として進まない台本執筆にかかることにする。部屋に帰ってどの位経っただろうか?芝居をあーでもないこーでもないと考え、パソコンに向かっていたので気づかなかったが、時計をみると12時をとっくに過ぎている。土曜日は12時閉店なのにMは帰ってこないし、何も連絡がないのは変だと店に電話してみたら、あれからとんでもなく混んだ様子で、これからもまだY君の知り合いが来るとか。出向こうかと思ったが、Y君の知り合いでは俺がいても仕方ない。結局Mが部屋に帰ってきたのは2時過ぎ。聞く処によると、俺がいない間に十数万の売上があったらしい。この間もそうだったけど、三人の内の一人が店を休むと何故か忙しくなったりする。全く天の邪鬼な商売の神様だ。
コレドのホームページのアドレスイベントスケジュールなどご参照ください。

2009・6・26

2009年06月27日 | Weblog
8時近くまで「独房、若しくは雑踏」の台本執筆。昨日まで書いた処が行き詰まったので、違う方法でアプローチしてみようと試みたのだけど、こっちの方がどうにもならない。苛立って、ソファの前のテーブルにあった高級チョコレートを摘む。一つのつもりが二つ、三つとなって、いつの間にかケースにあったチョコを完食してしまった。その時、ふと還暦を過ぎた男の部屋にチョコレートがある不思議を思ったりする。その理由は云わなくてもお分かりだろう。所有者に分からないようにチョコレートのケースをごみ箱に隠して、8時過ぎに出勤。その途端、カレー豆腐、ボロネーゼ、自家製コロッケ2人前、マグロとアボガドのわさび醤油和え、オムライス、スペイン風玉子焼きと料理のオーダーが七つ続く。全て出し終わるまでにジャスト一時間。コロッケは同時にやったので1オーダーと計算すると、一つのオーダーに10分かかっている計算になる。早いといえば早い。でも、今日の場合は殆ど同時にオーダーされた為、最後のスペイン風お焼きをオーダーしたお客さんは一時間待たされたことになる。遅いといえば遅い。いや、ハッキリ遅すぎる。でも、厨房は俺一人で働いているので解決策はないのだけど、芝居の台本の方の解決策を見つける方が優先だ。高級チョコがまだ部屋に他にもあるのを知っている俺は、これから台本が完成するまでに所有者に隠れてどれほどのチョコレートを食べることになるのか?
コレドのホームページのアドレスイベントスケジュールなどご参照ください。

2009・6・25

2009年06月26日 | Weblog
以前にも書いたかもしれない。いや、きっと愚痴っぽく書いた筈だ。この不愉快極まりない「25日のジンクス」のことを。どうしてだか分からない。世の中的には給料日の25日に何故こんなにお客さんが少ないのか分からない。今日もお客さんは六人きり。五月は七人、四月は四人、三月も四人、二月は三人、一月(は日曜で24日でみると)は三人。平均すると一日15人近くはお客が来る店だし、この数字は明らかにおかしい。これは広尾時代からだ。給料日はもっといい店に出かけてしまうんじゃないかとひねくれて考えてみたりしたこともあったけど、今は給料を手渡しする会社はないだろうし、給料日だって25日と決まっている訳ではないし、それだけじゃ説明できないジンクスだ。石川県でおたまじゃくしが空から降ってきたこともそうだけど、世の中には説明できない不思議なことがある。ついでに云うと、四時や五時に寝ても十時には起きてしまっていた俺が、最近お昼過ぎまで寝ている日が続いていることも不思議だ。一昨日なんか1時半まで眠ってしまっていた。寒いから布団から出たくないと云うなら分かる。でも、この数日暑くて寝苦しい筈だ。それなのに俺はどうしてこんなに眠っていられるのだろう?
コレドのホームページのアドレスイベントスケジュールなどご参照ください。

2009・6・24

2009年06月25日 | Weblog
昨日の段階で今日ビーフシチューを食べようと決めて牛のすね肉を買っておいた。でも、作るとなると2時間以上はかかる。それなのに今日は12時過ぎまで寝てしまったので、作るのを躊躇う。でも、ビーフシチューを食べたいと云う思いは揺るがない。牛のすね肉が柔らかくなるまでコトコト煮込み、漸く食べることが出来たのは3時過ぎ。オイルサーディンとグリーン野菜のサラダを付け合わせ、コンソメスープと食べる幸せな午後。こんなことに時間を取られているから(勿論その間に経理事務や日記は書いたけど)八月に公演する『独房、若しくは雑踏』の台本が遅々として進まない。でも、焦るな、桃井。八時過ぎに店へ。お客さんは出資者の一人であるYさん、SミュージックのIさんたち、病み上がりなのに店へ通ってくれる主婦のMさん、会社の後輩二人をつれてきてくれた高校の同期生T君、夕刊FのUさん、今日で四度目の来店となるKさん、元女優で今は映画制作会社に勤めるYちゃん、ラジオ局を初めとするメディア企業を経営するYさんたち、七月にウチで公演する人気劇団Hの演出家Oさん、今週土曜日にライブをやるHさん、そして知らない人から紹介されて来店したと云う氏名不詳の京都の女性などで、何となく混んだ気がしたけど、売上は水準以下で少しガッカリ。帰宅後、肉なしのシチューの残りを食べて寝る。肉なしでもそれはそれなりに美味。

2009・6・23

2009年06月24日 | Weblog
あーでもない、こーでもないと久しぶりに「作家」をやって悶々とする午後を過ごす。八月に催す「コレド演劇フェスティバル」にたった一日だけ参加する俺の新作『独房、若しくは雑踏』の台本を書いては直し、直してはまた直すと云う時間がずっと続いている。途中まで出来た原稿をとりあえずプリントアウトして今度は鉛筆を握ると、また新たな欠陥が見えて来る。店に出て調理をしている間にも、欠陥をどんどん発見する。こんなことじゃ台本が完成するのだろうかと云う不安がふと過る。いや、絶対出来ると自分を鼓舞して、またあーでもない、こーでもないと頭を悩ます。そんな時、九月にウチがプロデュースする『新井英一LIVEinCOREDOvol2 夏の終わりにブルースを』のフライアーが届く。お客さんのIさんにデザインして貰ったものだが、斬新なフライアーが出来ていた。喜ぶと同時に「作品が出来た」ことに少し嫉妬を抱く。今の俺は劣等感の塊になっている。

2009・6・22

2009年06月23日 | Weblog
夕方店に出てみたら、いつもは動き回っているY君がカウンターに座って顔を伏せている。訳を聞いてみたら、朝から胃がキリキリ痛むとのこと。いつもは強がってばかりいる彼がこうして弱音を吐くなんて珍しいことだし、有無を云わさず早退して医者にいくことを命じる。しばらくして来た彼からのメールでは、精神的な疲労から来た胃痛とのこと。人間、あれもこれもあんまり頑張りすぎるのはよくない。そう云う訳で今日は一日何ヵ月ぶりかで「夫婦バー」に戻っての営業。暇なのも困るが、忙しいのも困ると思っていたら、デザイナーのNさんを初っぱなに関西のパーソナリティMさんたち、近所の会社に勤めるYさん、イチゲンの女性客2人、ベストワンのOさん、バイオリン奏者のMさん、女性シナリオライターのYさんとMさん、小説家のMさんとHさんと大手出版社Kの編集者Oさん、デザイナーのTさんと彼が勤める広告会社のスタッフ3人と、カウンターからテーブル席まで一杯になったことはなったけど、料理を含めてそんなにオーダーがなかったので、ちょうどいい混み方だった。俺たちのすぐ後にポルトガルへ出かけたYさんMさんの二人と旅の話などして3時近くまで。

2009・6・21

2009年06月22日 | Weblog
眼鏡を買い換えたい。今使っている眼鏡は七年前に買い換えたものだ。七年もすれば度が合わなくなってきても不思議はないだろう。最近じゃ新聞も満足に読めなくなってきているし、こうしてパソコンを打つにも苦労するようになってきている。字を読む時ばかりか日常的にも焦点を合わすのに自分じゃ分からない内に目に重労働を課しているみたいで、眼鏡を外すと俺の目は役目が終わったとばかりに自然と瞼を閉じ、あっという間に眠りに入ってしまう。だったらさっさと眼鏡を作り直せばいいだろと思うかもしれないが、近視と乱視と老眼が微妙に入り交じった俺の眼鏡は、宣伝にあるように一万円とかでは作れない。最低でも五六万はする。フレームも変えたりすると十万仕事だ。そこで俺は躊躇う。後何年生きられるか分からないのに十万の出費はいかがなものか?と。そこが哀しい。若い頃だったら、後数十年も生きるんだし、躊躇わずに十万を出したことだろう。眼鏡を買い換えないことに俺の老化を見る。そのことと関係あるかどうか分からないけど、ちょっと前までは夢なんか全く見なかったのに、或いは見ても忘れてしまっていたのに、最近よく不思議な夢を見る。そして起きても忘れない。今日は中学時代のクラスメイトの女の子Mさんが出てきた。初恋の人とか仲良しだった人だったら分かるけど、殆ど喋った記憶のない女の子だ。卒業以来彼女のことを思い出したこともない。そんな彼女と電車の中で会い、翌日彼女の家を訪れることになるのだけど、その家というのが迷路の果てにあるコロニーみたいな地域で、そこにいる人たちは全員が家族みたいに生活していて、俺が訪ねると地域放送のスピーカーで彼女を呼びだすのだ。何故Mさんが夢にでてきたのか?そして何故Mさんはコロニーで暮らしているのか?更にMさんのお尻には裸をみたこともないのにベロッと取れるかさぶたがあることまで分かっているなんて、誰か俺の夢分析をしてくれないだろうか?

2009・6・20

2009年06月21日 | Weblog
お米を研いだものの、何となく白いご飯に味噌汁といった食事が疎ましくなって、ガスを点ける寸前に中止。気だるさも手伝って、ピザを取ることにしてしまった。でも、そんなダラダラ気分の決断が想像もしなかった再会を演出する。数十分後、ブザーが鳴って出てみたら広尾時代から乃木坂一年目までウチでスタッフとして働いてくれて、且つ俺の作家復活第一弾「コレド殺虫事件」にも出演してつれた俳優のS君がピザのケースを抱えて立っていたのだ。別に携帯だって知っているし、店にも客として来てくれたこともあるんだし、彼と会おうと思えばいつだって会えるんだけど、こんな形で会うとなるとお互い妙に照れてしまう。普通だったら冷たいもんでも飲んでいけとお喋りしたりするんだけど、こういう関係で会うとそうもいかない。「ご苦労さま」「ではお釣りです」なんて業務的会話を交わすだけで、「近い内に店に来いよ」と見送るのが精一杯。でも、妙に興奮した数分間だった。お店は早い時間から絵画教室の生徒さんである主婦三人と来てくれた日本画家のKさん、先週の日曜日ミニコンサートをしたバイオリン奏者のNさん、映画カメラマンのYさん、年下の女友達Hさんをつれてきてくれた広尾時代のお客さんであるIさん、Y君の昔からの知り合いのTさんの会社の部下であるKさんたち、いつも元気すぎる映画監督のHさんたちで、土曜日にしてはまぁまぁ売上。いつもの土曜日は閉店後映画を見に行くのが最近の習慣になっているのだけど、今日は時間的に無理だったので、部屋に帰って今日の午後再放送していたので録画しておいた『太宰治物語』を見る。このドラマは、脚本家のTさんに頼まれて女優Tさんをキャスティングするのに少し仲立ちした経緯があったのだけど、数年前のオンエア時には録画が出来なくて今日まで見逃して来た作品だったのだ。太宰をやったTさんも女優のTさんも見事だった。でも、それ以上にTさんのオリジナル脚本が際立つ。昨日脚本家のHさんのことを褒めたけど、彼とは違う意味でTさんの凄さは折り紙つきだし、もっと活躍してほしいものだ。