午後から池袋のシアターグリーンに劇団旅芸人公演『鬼怒の霧』(作演出・大木一史)を見に行く。明治時代の小説家、長塚節の生涯を描いた芝居だが、長塚節と云う作家について、その名前を知っていても、彼の代表作と言われる『土』を読んだ人は少ないと思う。そう云う俺もその一人だ。その意味から「知ってるつもり」的にこの芝居が面白かった部分もあったのだけど、それより死後数十年後の現在に幽霊か亡霊か長塚節が先輩の伊藤左千夫や師匠の正岡子規と現われて、それぞれの著作がどれほど図書館で読まれていないかかとか映画テレビ化がどれほどされているかとか気にしたり競ったりするバカバカしさが面白い。『蟹工船』が売れ筋になっている現在、『土』を現在において売れ筋にする企みを幽霊たちがしたら楽しいのにと思ったりする。劇場を出た後、池袋は初めてと云うMを色々案内。彼女にしてみればテレビドラマ『池袋ウェストゲートパーク』の影響で、池袋は怖い街と云う印象で一杯だったみたいで、十代に東上線沿線に住んでいた俺としては池袋は憧れの街だった訳だし、悪い印象を払拭する為に雨に濡れながら連れ歩く。でも、M曰く、やっぱり怖い。そうかよ。
三月、四月、五月と月末前後の金曜日に銀行のキャッシュカードが磁気不良で使用不能になってしまう事件が続いて、この一カ月は厳重が上にも厳重な保管をしてきて、今月もまた磁気不良で使用不良になったら、今月こそは銀行の本店に怒鳴り込んでやると思っていたのだけど、昨日の金曜日の午後、店で打合せをしていたら、お金の振込と入金を頼んだMが血相を変えて入ってきて、通帳とキャッシュカードが部屋にないと云う。ひょっとして俺の鞄の中に?と調べてみたけど、鞄の中にもない。だったら部屋の何処かに通帳ケースごと落ちているさと大してその場では気にせずにいた。処が、部屋に帰ってから机の上、引出しの中、本棚の付近、そして靴箱まで見てみたのだけど、ない!そんな馬鹿なと思いつつ、一昨日、最後に通帳とカードを使ってからどうしたか自分の行動を思い返してみる。いつも経理事務をする机の周り以外、通帳をとり出した可能性はない。それがないとすると……ひょっとして……まさかATMコーナーに置き忘れた!?いや、キャッシュカードを持ち始めて四十年近く、一度だってそんなことはなかったのだからと自分を納得させようとしたが、いくら考えてもそれ以外思いつかない。土曜日の朝、起きると同時に銀行の遺失物担当に電話する。けど、まだ届けはないと云う。だったらとATMコーナーがあった北沢警察署に電話してみる。処が警察にも届けはないと云う。と云うことは、本当にそのATMコーナーに通帳ケースごと置き忘れたとしたら、誰かに拾われたけど、捨てられたと云うことか?折角、臨時休業してゆったりと休もうとしていた土曜日、一日中気分が重い。今度は銀行の責任ではないけど、今月もまた月末の金曜日にこんなことが起こるなんて、あのカードは何かに祟られている。
桃井章は『was』ではなく、『ing』である。別に『過去』を否定しようと云うのではないけど、それに『現在』あるのは『過去』の集積であることは分かっているのだけど、あくまでも『現在』にこだわりたい、それも現在進行形の『ing』でありたい。ここから進行して何処へ行くのか?そんなことは分からない。終着駅なんか知ったもんか。旅は途中が楽しいのだ。もしも途中の景色が気に入れば、そこで降りたっていい。とにかく動いていたいのだ。やりたいことは一杯ある。芝居を書きたい、演出したい。おまけに役者もやりたい。小説も書きたい。色々な企画を立ててイベントスペースの活性化も図りたい。有名にもなりたい。お金儲けもしたい。とにかく『ing』だ。還暦だって『ing』だ。
※勝手ながら6/28(土)臨時休業いたします。
※勝手ながら6/28(土)臨時休業いたします。
午後からMと本多劇場へ加藤健一事務所公演『レンド・ミー・ア・テナー』を見に行く。90年と96年に上演された芝居の再演だが、その時の面白さが忘れられず、出演者の大島宇三郎と話す度にもう一度見たいと再演をリクエストしていた芝居だ。この芝居、主役の加藤健一と大島宇三郎が二人共テナー歌手と云う処がミソで、芝居の中で二人が何曲もオペラを歌う。このトレーニングは大変だったと思う。それに二人共舞台狭しと動き廻る。二人共五十を過ぎている。こっちも大変だ。でも、まだまだ二人共若い。この芝居を六十になっても七十になってもやって貰いたい。終演後、下北沢をブラブラしてから店へ。今日は大阪の女性パーソナリティのMさん、写真週刊誌に勤めるYちゃん、そして結婚後カナダに在住して一時期国中のEちゃんと、久々に会う女友達が三人も来店してくれる。みんなと楽しそうにお喋りしている俺は完全にお客さんの一人と化している。他に映画制作会社のYちゃん、近所のシルバーモデルのMさんとKさんたち、デザイナーのKさんたちなど。今日は芝居に行く為に十時前に起きた為、閉店時には二人共食欲より眠気。
※お知らせ
6/28(土)、勝手ながら臨時休業させていただきます。
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6/28(土)、勝手ながら臨時休業させていただきます。
昨日朝方まで焼き肉を食べた為か起きたら胃が重い。こんな時は素麺でお茶を、いや一食を濁す。6時前に店。開店準備をしたらさすがにお腹が減ってニンニクと唐辛子一杯のペペロンチーノを作って食べる。店は祭りの後の何とかで、昨日の喧騒と忙しさが嘘の様に静寂で暇。三人のいちげんの男性客と続いて三人の女性客、近所に仕事場を持つ脚本家のYさんと編集者Aさん、法律事務所勤務のNさんたち、そして中一日でAN嬢だけだったので厨房に閉じこもってカレー、オニオンスライス、アラビアータ、レバーの赤ワイン煮などの仕込みを続ける。二時前閉店。帰宅して鮭と昆布のおにぎりとマカロニサラダ。今日は食生活がさえない。
何が起きたのか分からない。いくら売り上げたか分からない。とにかく忙しかったの一言。月に一度の「Something Jazzy」の開場時間七時前までにカウンターには制作会社SのプロデューサーKさん、高校時代のクラスメイトO君たち、そして七時過ぎには元女優で今は小説家のMさんが出版社の編集部員二人と座り、時間が時間だったのでそれぞれが料理をオーダー。そこにイベントに来たお客さん50数人のオーダーが重なる。イベントが開演してからもT電力のNさんとTさん、女性自主映画監督のHKたち、日曜日にイベントをやったHさんとSさん、常連のSさん、マネージャーのHさん、制作会社I放送のMさんたち、夕刊FのUさんと来店が続くが、俺は厨房の中に入り放しで、皆とお喋りすることが出来ない。見事に山積みになった汚れた食器を洗い、全てが終ったのが一時半過ぎ。最後まで残った小説家のMさんたちが帰ったのが三時近く。もう肉でも食べないとやってられないとMとKさんと六本木の焼き肉屋に向かった。
今日のお客さんは「濃かった」。お客さんの「濃い」「薄い」ってどういうことと聞かれると困るのだが、とにかく「濃かった」のだ。皮切りは常連の演出家SちゃんとテレビAのプロデューサーIさん、続いてS女子大時代から通って来ているUちゃんと結婚してカナダに在住していて一時帰国中のRちゃん、お酒は飲めないのに今日も又食事しに来てくれた近所の高級ブティックのSさんたち、今日はオムライスを食べに来たSミュージックのIさん、そして先週に引き続いて来店し、かなりの量を飲んだし、もう病気から完全復活したと期待したいAN嬢、その隣ではしばらくぶりにお喋りトークを全開させる人妻Iちゃん、Iちゃんと一緒に久しぶりに来店してくれた美人デザイナーのYさん、カウンターの片隅には映画の世界で個性派女優として活躍するAがいた。これで何処が「濃い」のだと言われても、お客さんのキャラクターをご存じの方には分かる筈だ。他にもUちゃんとRちゃんが出かける筈だったパーティの二次会をウチの店に変更させてくれて十数人のお客さん、制作会社社長のIさんたち、遅い時間にSミュージックのNさんたちと月曜日なのに珍しくお客さんが来てくれて、嬉しい悲鳴。閑古鳥が鳴いたり、悲鳴が聞こえたり、ウチの店は姦しい。
どこの店かは商売妨害になるから書けない。でも、ウチの近くに去年オープンした『××タウン』の地下にある飲食店△△は以前から評判がよくて、ランチ時に限らずいつも長い行列が出来ている店なもんだから今まで入ることが出来ずにいたのだけど、今日、マチネとソワレの間の休憩時間に通りかかってみたら、並ばずに入ることが出来たので、ラッキーとばかりにこの店自慢の魚料理定食を注文してみた。でも、定食が運ばれてきた時からオヤと思う。二人分運ばれてきたのに、Mにはご飯を置いたのに、俺の分は置き掛けてから「ちょっとお待ち下さい」と引き揚げてしまった。きっと何か異物でも混入しているのを見つけたのだろうが、その時から嫌な予感がしだした。案の定、箸をつけた焼き魚と云うのは上手く焼けてない感じで生っぽく、昆布の和物も生臭くて、お腹が減っているのに一口だけでもう食べる気がしなくなってしまったのだ。俺だけかと思いきや、焼き魚好きのMも変な顔をしている。店を出てから二人して思わず「不味かったっ」と叫んでしまった程だ。でも、ここの料理を美味いと云う人がいる。味覚と云う奴は人それぞれと云うことなんだろうけど、俺はそんな人と一緒に食事したくない。
今日は旧知の脚本家Hさんたちのユニット『SAWS』の公演がマチネとソワレ二回あるので簡単な食事をしただけで昼には店へ。二時半にソワレが始まってからMと食材を仕入れに赤坂にある業者向け食材店Hに倹約して歩いて行く。勿論Hでも一円でも安いものをと倹約に努める。ここまでは偉い経営者だったのだが、お腹が減って何か食べようと云うことになる。Mに何が食べたい?と聞くと天ぷらがいいとのたまう。赤坂で天ぷらかよと一瞬頭の中で電卓がパチパチ動いたが、運良く目の前に安くて有名な天ぷらのチェーン店の看板。二人で千五百円はまあまあ納得と安堵の線。ところがその天ぷら屋を出てお茶でも飲もうと思った時、近くのカフェに『ドンペリかき氷』の幟を見つけてしまう。高級シャンパンのドン・ペリニヨンと駄菓子屋の安っぽいかき氷のミスマッチが面白く思えて気付いた時には二千百円の『ドンペリかき氷』を二人分頼んでいた。一人百六十円の電車賃を倹約したと云うのに一杯二千百円の『ドンペリかき氷』をなんの躊躇いもなく
頼んでしまう経済感覚。俺に豊かな老後は待ってない。
頼んでしまう経済感覚。俺に豊かな老後は待ってない。
東京簡易裁判所での第一回口頭弁論から帰ったら、疲労と寝不足から一時間程ベッドで仮眠。裁判所の帰りにビーフカツ定食を食べた筈なのに、それでも起きたら空腹を覚えてタケノコご飯、ミートボール、キュウリと茄子の漬物、いんげんの味噌汁、それにTちゃんの母上から送って来た新鮮な野菜をサラダにして食べてから店へ。今日は金曜日だけどイベントもないのでのんびりやるかと思っていたら、女優のKさん、常連の演出家Sちゃんを皮切りに、しばらくぶりに来てくれた有名女性脚本家のIさん、元文部官僚で評論家Tさん、美人歯科医のSちゃん姉妹、テレビAのプロデューサーKさんなどでまあまあの賑わい。結局終わったのは二時すぎ。裁判なんて慣れないことを経験した為に精神的に疲れ切っていて、すぐ眠るつもりだったけど、またまた空腹が勝って極太ソーセージとピザをビールと一緒に食べてしまう。メタボへの道か?