桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2007・4・29

2007年04月30日 | Weblog
ウチの妹が自分の映画を作る際、脚本を仕事の合間を縫って二三日で書き上げたと聞いて、何か得体の知れない気持ちを抱いた。ウチのスペースで連続公演しているNさんが、これまたその台本を数日で書いたと聞いて、同じく複雑な気持ちにさせられた。脚本とか台本って、そんなに簡単なものなのか?プロの脚本家や劇作家は、一本の台本や脚本を仕上げるのに、長い間苦吟し、体重を減らし、胃潰瘍寸前にまでなったりするのに、役者さんが書くとそんなに簡単に書けるものなのか?たまたま身内と身内同然の人たちが台本や脚本に向かう姿勢を見て、元脚本家の俺としては、何だか元の仕事が舐められている気がした。そりゃ誰だって字さえ書ければ作家になれる。でも、それじゃプロデューサーは何百万もプロに払うことはない。プロが必要とされているのには、それだけの理由があるのだ。それでも、この身内と身内同然の役者さんは、自分で書く道を選んだ。脚本家や劇作家に頼むお金があるないの問題じゃない。多分、自分で書いた方が手っとり早いと思ったのだろう。手っとり早くプロと同じ様にちゃんと書けているじゃないか?何だかそう云う考え方に対抗したくなった。俳優が脚本や台本をそう云う風に思っているんだとしたら、脚本家や劇作家も俳優と云う仕事をそう云う位置づけにしても、いいと云うことだ。演技なんか台本や脚本がしっかりしていれば誰にだって出来る。下手に俳優修行して来た人より上手い演技をする脚本家や劇作家がいてもいい筈だ。そんな思いに駆られて、そして幾つかの偶然が重なって、俺は俳優デビューをすることにした。6月18日と19日の二日間、自分の作演出で公演予定の『リテイク』で俺は女優の彩貴恵さんの相手役になることにしたのだ。登場人物は二人きりだし、台詞も一杯ある。けど、何の不安もない。立派にやれる気がするから不思議だ。還暦を前にしての俳優デビュー、皆見に来て下さい。

2007・4・28

2007年04月29日 | Weblog
三万円か?五万円か?いや、年が年なんだし、十万円が妥当なのか?けど、梨園の結婚式だし、後援者が包む御祝儀は半端じゃない筈。そこに十万円程度で立ち向かっても……それにホテルじゃなくてガーデンパーティだし……と、二日前に行われたTさんの結婚式に持っていく御祝儀をいくらにするかで直前まで悩んでいた。悩んだのは俺だけじゃなく、参列予定の監督や脚本家からもいくらにするか相談の電話がかかってきたりした。皆、金には縁がない奴ばかりだ。見栄を張りたくても張りようがない。それどころか三万円だって大金で、何故会費制じゃないんだ?とボヤク奴もいた。俺も今月給料(役員報酬)が出るか出ないかギリギリの売上なもんだから、正直云うと三万円も厳しい。だからって二万じゃ、割り切れてしまって不味いらしいし、一層のこと急なパーティが入ったと云うことにして欠席してしまおうかとも思った。そんな時、ふと新郎がフランス人であることに気づいた。だったらユーロだ!ユーロで二万円分持って行ってしまえとワル知恵が働いた。どうせ受付の人は受け取って記帳するだけだ。換算して二万円分だって分かっても文句を云って来ることはない。そりゃ後で銀行に入金したりするのに面倒かも知れないけど、Tさんが知ってもシャレで分かってくれるだろうと言い訳して、百何十ユーロか御祝儀袋に包んで行くことに踏み切った。でも、会場に入って途端後悔する。ガーデンパーティと軽く考えていたけど、流石梨園のやることは違う。アルコールはシャンパンしか出てこない。ビールとか水割りなんて安いお酒はない。料理だって、何十人ものスタッフがキャビアや大トロや神戸牛のローストビーフやら何十種類の料理を次々に席まで運んで来る。金がかかっている。いい年して子供染みたことしてしまっただろうかと思い出す。どうせ一万円の違いなんだし、大人しく三万円包んでおけばよかったのじゃないかと後悔しだす。皆も三万円で揃えたらしいし、横並びだったら目立たなかった筈だ。どうしてユーロで御祝儀を包むなんて奇策を思いついてしまったんだろうとウジウジが続いた。そして、それは今日になっても抜けない。Tさんの結婚式の話題をする度に一万円をケチったことを悔やんでいた。そんな俺に、今日来店してくれた精神科医のKさんが「センスがあって桃井さんらしいとTさんも喜んでくれていますよ」と慰めてくれる。うん、こうなったら「主治医」の言葉を信じるしかない。

2007・4・27

2007年04月28日 | Weblog
昨日に続いて有名人の話で気が引けるけど、今日作家兼演出家のTさんと一緒にコメディアンのKさんが店に来てくれた。Kさんと言えば、俺の世代じゃ『電線音頭』で有名で、その破天荒さには当時インテリぶっていた俺もこの人は只者ではないと圧倒された覚えがある。最近ではテレビドラマで渋い演技も見せているけど、根っからのコメディアンらしく、ウチのスペースを見て、ここで定期公演をやれたらいいと言ってくれる。是非共やってほしい。Kさんみたいなコメディアンがウチをホームグラウンドにしてくれたら苦労して作った甲斐があると云うものだ。他にお客さんはテレビAのKプロデューサーとマネージャーのHさん、近所の出版社のM君とO君たち、AN嬢、Kさんのみ。世間はもうゴールデンウィークに入ったのか?Mさんのイベントがあって、ドリンク含めて10万程度の売上があったからよかったものの、そうじゃなかったら金曜日にしては低調。Mちゃんの具合が悪そうだったので、2時前に閉店。これから十連休なんて皆浮かれているけど、ウチは魔のゴールデンウィークが始まると気が重くなる。

2007・4・27

2007年04月27日 | Weblog
お昼から『ハナミズキの有る家』のリハにつきあった後、5時半から常連の女優Tさんの結婚披露パーティに出席する。北品川の原美術館で行われたガーデンパーティは、Tさん当人が一番はしゃいでいて、有名女優の結婚式というより何となくカーニバルとか学園祭の雰囲気。出席者も新郎が仏人だけあって外国人が目立つし、Tさんが梨園令嬢と云うことで歌舞伎俳優は大勢いたものの、映画関係者や業界人は数える程で、又その数少ない人間が皆揃ってヘビースモーカーなもんだから片隅の喫煙コーナーに陣取って暗ーい雰囲気でいて、完全にそこだけお祭り騒ぎから取り残されていた。業界関係者にお祭りは似合わない。パーティはまだ続きそうだったけど、お店のこともあるし、8時に会場を出て店へ。後からパーティに出席していた脚本家のA、監督のH、プロデューサーのM、俳優事務所社長のB、そこの所属女優のMが店へ。何となく二次会みたいになるが、皆それまでにシャンパンを飲みすぎているもんだから酒が進まず、売上アップには繋がらない。他にお客さんは旧知の脚本家Hさん、昨日に引き続き法律事務所勤務のNさん、制作会社Wの経理責任者Iさんたち、SミュージックのIさん、今日初めて来店してくれた隣のビルにオフィスを持つKさん。二時に閉店。部屋に帰って先日U君に貰った仙台の牛タンをアテにビールを飲んで寝る。お祭りには参加しなかったのに、そのムードに酔ったのか、かなり疲れていて、あっと云う間にオネムモード。

2007・4・25

2007年04月26日 | Weblog
午後、『ハナミズキの有る家』のリハがあったのだけど、パス。日記、経理事務、給料計算、クロスの洗濯、そして今日のパーティのメニュー作り、下拵えと、やらなくてはならないことをどんどんこなしていく。4時に部屋を出て、買い物と銀行を済ませて、店へ。そのまま7時から始まる30人のパーティの為の料理作りに突入する。8時過ぎ、料理を出し終わり、後はTちゃんとMちゃんに任せて、カウンターでテレビAのIプロデューサー、常連の演出家Sちゃんと飲みだす。この三人、全くの同世代、つきあいも三十年以上になる。しばらく他のお客さんがいなかったので、何となく同窓会気分。二人が帰った後、このブログを読んでくれていると云うSさんが富山からお土産を持ってきてくれる。Sさんもブログで知っている空間に実際に身を置く体験を不思議がっていたけど、こっちも一方的に知られている不思議さを味わう。他にお客さんは、去年N女子大を卒業したYちゃんと職場の先輩Dさん、近所の映像制作会社DのSさんたち、法律事務所勤務のNさん、先日ウチで上映イベントをしたHK、その映画に出演していたS君など。3時過ぎ帰宅、一昨日U君かいただいた仙台の牛タンを食べるつもりだったが、ちょっとヘビーな気がして、お茶漬けにする。

2007・4・24

2007年04月25日 | Weblog
今日は『ハナミズキの有る家』(5/18より再演)のリハが中止になったので、急遽『リテイク』(5/21上演)のリハをすることになり、出演するこばやしあきこさんと音響を担当して貰うMちゃんと1時に店へ集合。この公演は急に決めた為、リハをする予定が取れないので、こうして空いた時間を利用してやって行くしかない。加筆訂正部分を含めて最初から終りまで通す。最後にエロチックなシーンがあるのだけど、この一年、毎日の様に会っていて家族同然になっているこばやしさんに、その種のシーンの演出をしていくのは、逆に結構緊張して疲れる。五時前、一旦帰宅。野菜が無性に欲しくなり、春菊と白菜を一杯用意して豚シャブを作って食べる。その間に雨。夕方からの雨は客足を遠のかせる。案の定、8時過ぎに店に出てみたら、ノーゲスト。9時過ぎにイチゲンのカップル、近所の美人姉妹の姉Aさん、同じくジャズ歌手のHさん、同じくプロデューサーのHさん、同じく女性作家のSさんたちが来店してくれたけど、打合せに来た女優のSさんと最後までいたKさん以外は皆ご近所ばかり。雨の日は酒飲みも遠出を避けてご近所で済ますのかも知れない。

2007・4・23

2007年04月24日 | Weblog
店から帰宅すると、まずパソコンをつけて、この日記のアクセス数をチェックするのが日課になっている。最初は気にしなかったのに、読んでいる人が多くなって来るにつれ、アクセス数が大幅に増えたり減ったりすると、その理由を考えたりしてしまう。元モノ書きの悪い癖だ。でも、このアクセス数って、今一つよく分からない。例えば今日、閲覧数は777(オールセブンだ!)で、アクセスIP数は179。この三日間を見ても、それぞれ629と183、517と201、659と195と云った具合に、閲覧数とアクセスIP数の間にかなりの開きがある。平均すると三倍以上も違う。普通に考えると、アクセスIP数はパソコンの数らしいし、同じパソコンから何度アクセスしてもIP数は1しかカウントされない。この日記を読んでいる人からまだ更新してないのかと一日何回もアクセスしていると聞くけど、三倍以上違うと云うことは全員が一日3回以上もチェックしていると云うことになるけど、どうなんだろ?だって、ある日、朝早く起きて、9時頃までに日記を更新した時も、その日の閲覧数とIP数の差は二倍以上あったしね。多分この日記は携帯からアクセスして読んでいる人が多くて、その数はカウントされないみたいだし、その差がでている気がするんだけど、どなたか俺に分かりやすく説明してくれないだろうか?

2007・4・22

2007年04月23日 | Weblog
今日も又、お昼に店へ行き、一徳会プロデュース公演のマチネを一人で担当。昨日はドリンクフード合わせて9オーダーしかなく、ちょっと油断していたら、今日は出る、出る、35オーダー。パスタが多かった為ちょっとパニクル。4時過ぎマチネ公演が終ってから店を出て、ふと近所に出来た東京ミッドタウンに初めて寄ってみる。日曜と云うこともあってか、中途半端な時間だと云うのに、飲食店に行列が出来る程の混雑ぶり。人ごみを縫ってその一角にあるハヤシライスの店に向かう。ここの店長が二週間程前仕事帰りにウチに寄ってくれたので、返礼のつもりだったが、その辛いハヤシライスの美味さにびっくり。東京ミッドタウンとハヤシライスの組み合わせを不思議に思っていたが、この美味さなら何の不思議もない。5時過ぎ部屋に戻って一休みした後、経理事務と日記。続いて「リテイク」の加筆訂正分の執筆と音作り。気づいてみたら3時を廻っている。何かやったような、何もやらなかった、いや、やれなかった一日だ。

2007・4・21

2007年04月22日 | Weblog
昨日から始まった一徳会プロデュース公演の為、お昼前に店へ。TちゃんとMちゃんは夜から働いて貰う為、マチネは俺一人でやることになる。ドリンクだけだったら一人で十分なんだけど、フードのオーダーが入った時には厨房の中に入って行かなくてはならないので、忙しくなると大変なことになる。だからと云って、マチネの時には大してフードのオーダーはないし、それだけの為にスタッフを雇う訳にはいかない。出来たらフードはなしでドリンクのオーダーばかりあります様にと祈る。その甲斐あってか、フードのオーダーはカレーとパスタが一つづつあったただけ。でも、ドリンクも8オーダーしかなく、祈りが通じたのか通じなかったのか微妙なところ。そう売り上げ4500円の為にいい年の男が午後の時間を費やしたのかと思うと複雑なところ。一旦帰宅。あまり食欲がなかったので、帰る途中のスーパーで勝ったマグロをお茶碗一杯のヅケ丼にして、それとザルソバを作って食事した後、この日記と六月の予定を作って資料と一緒にホームページを管理して貰っているAさんに郵送。それから5月にやる『リテイク』の台本の加筆作業。これに手間取って店へ出たのは十時過ぎ。今年歯科医になったばかりのSちゃんや去年N女子大を出たばかりのYちゃんが来ていたと知って臍をかむが、後の祭り。いつもは会社の先輩たちのご高説を大人しく聞いているだけの映像制作会社Dの若手四人がカウンターに陣取って、ドキュメンターの取材対象と演出家の関係について熱っぽく語っているのにつきあって土曜日だけど二時近くまで。その間、麦焼酎を飲んでいた筈なんだけど、気づいたらいつの間にか水になっていた。どうやら酔いすぎた俺を諫める為にMちゃんが勝手に水にしてしまったらしい。

2007・4・20

2007年04月21日 | Weblog
11時過ぎに起きて、先日のパーティで残った生ハムを使ったレタスと新タマネギのサラダ、目刺し、明太子、納豆、もずく豆腐、キムチ、若布とネギの味噌汁などで食事。午後は、5月21日(月)にたった一日だけ公演する『リテイク』(こばやしあきこ一人芝居バージョン)の音響構成。借りてきた効果音全集のCDを何度も聞き比べながら芝居で流す音を構成する。8時過ぎ店に出たら、AN嬢、法律事務所勤務のNさん、常連のFさん、近所の美人姉妹の姉Aさん、元女優でマネージャーのMさんと、連れの人は別にして全員がウチの店にもう二年近く通ってくれている常連中の常連ばかり。こんな濃いメンバーでカウンターが占められるのも珍しい。そこにグァムでのDVD撮影を終えて帰って来たLちゃんが来店。そこにいた皆と交流して、まるで時間は昔に戻った様な錯覚にとらわれたが、タレントとしてのLちゃんとウチの店のスタッフだった時のLちゃんは別人だ。時間は明らかに経過した。具合が悪くなったMちゃんを先に帰して、近所の制作会社の女性プロデューサーAさんが2時過ぎに帰るまでの1時間余り、カウンターの隅でこの店が開店してからの三年あまりを回想して過ごす。