桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2011・8・30

2011年08月31日 | Weblog
毎日10時までだけど、九月からドリンクフード共に全品五百円のキャッシュオンデリバリーの店にすることにした。これまでイベントのお客さんは同じビールを頼んでも500円なのに何故カウンターは700円なんだ?という不満が常連のお客さんからあがったこともあったけど、一番の理由は一人で営業するにあたって、イベントと重なると6時から10時頃までの時間帯は伝票をつけている余裕がないと推測されるからだ。とにかく500円のものしか出さない。どうしても高いモルトウイスキーを飲みたいというお客さんには千円、千五百円で飲んでいただき、一杯づつお金をいただく。料理もカレーとトリッパ以外は作りおきできて、カウンターに置いておける料理だけにする。すき焼も他にお客さんがいない時にしか作らないし、パスタも通常は作りおきしておけるペンネにして、カウンターの中からすぐ出せるようにする。多分ガヤガヤした騒がしい店になるだろう。でも、10時を過ぎたら今まで通りの通常料金の店に戻って落ち着いた大人の店になる。一人だからサービスは行き届かない。その代わり閉店時間をきめないで、お客さんが一人でもいる限りは営業する店にする(お客さんがいなかったら12時で閉めてしまうけど)とにかく一人なのだ。どんなことになるか予想できない。こんな風に頭の中だけでプランしても実際にやってみたらできないことが一杯出てくる可能性がある。でも、やっていくしかない。人件費を初め経費を削って削ってやっていくしかないのだ。失敗したらジ・エンド。乃木坂発リスボン行きの電車に乗って夜逃げしよう。

2011・8・29

2011年08月30日 | Weblog
母が五反田にいると電話してきたので、たった今にんにくがたっぷり入ったタコとトマトのペペロンチーノ風に畳鰯とチーズを乗せてチンした木綿豆腐、玉子入り納豆、貰い物の野沢菜、若布の味噌汁でご飯をちゃんと二杯食べたのをすっかり忘れて、うなぎ屋に誘ってしまう。というのも近所にあるこのうなぎ屋は値段のわりに結構美味くて、今度母が五反田にきたら誘おうと思っていたからだ。母には鰻重を頼んだが、さすがに俺はパスして白焼きでビール。これで三千五百円。母と息子のランチとしてはゼイタクだとは思わないが、この日記を読んでいて俺が経済的に逼迫しているのを知っている母が勘定を払いそうになって、慌てる。いくら逼迫していても三千五百円位は息子としては見栄をはりたいものだ。その席で、あなたのマンションのすぐ傍に「G団」という劇団があるのを、知っている?と母に聞かれてびっくりする。G団という劇団の名前は知っているし、主宰舎のMさんが芝居で岸田戯曲賞をとったり、小説で芥川賞候補になったりする優秀な若手作家だということも知っていた。でも、そんな人を、例え妹の関係で知ったにしろ、80ウン歳の母が知っていたことに驚いてしまったのだ。そして母と別れた後、マンションの近所をウロウロ探していたら一軒の工場の表に「G団」のプレートがあるのを発見する。あれ?ちょっと待ってくれと工場の廻りを見渡したら、俺が住むマンションはすぐ裏にあり、ベランダに俺のパンツが干してあるのを発見してしまった。ウーン、だからなんだと言われれば何も云えないのだけど、毎日洗濯物を干しているベランダから有名劇団のアトリエ(公演もしている)兼稽古場が見えてしまうのって、ハレとケを同時に体験してしまっていることで、何だか興奮してしまった。興奮と云えば、10時半にお客さんが全員帰ってしまったもんだから、MとO君にも11時過ぎに引き上げて貰って、日本酒を飲みながら9月から始める「ひとり営業」の手順を考えていたりしたら、見知らぬ男性二人と美女が入ってきた。すいません。もう終わりなんですけど……と断わりかけたら、美女が桃井さんですよね?Fですと名乗ってくる。ええっ、Fさん?懐かしい!とさっきの言葉は撤回して興奮気味に9年ぶりの旧交を温めたのはいうまでもない。広尾時代は時々きてくれたけど、乃木坂は初めて。というか偶然表を通りかかってコレドという店の名前を見て懐かしさのあまり階段をおりてきてくれたみたいなのだ。おまけに一緒の男性陣は某国営放送局のプロデューサーで、ウチの店の常連のSさんやIさんを知っていたもんだから、話は途切れることなく、1時半過ぎまで。店をやっていると面白い。一日でも長く続けたいものだ。

2011・8・28

2011年08月29日 | Weblog
若い女性がハンバーグを食べながら六本木の街を歩いているのはギリギリの処で許せても、中年の女性がおにぎりを食べながら五反田の裏通りを歩いているのは犯罪的だ。すぐさまおにぎりを没収して、その場に叩き捨てたくなる衝動に駆られるのは偏見だと分かっていても、そんな中年女が嫌いです。店に何度電話しても全然つながらないというメールを携帯とPC両方にしてきたAさん。且つメールが嫌いな俺は両方共何時間後にしか見なかったものだから、何度もメールしてきて何故返信をくれないのかと怒っている。ウーン、何て答えたらいいんだ?店は日曜日で誰もいないから電話は通じないんだよ。平日や土曜も夜の商売だからスタッフが来る5時までは電話には出れないんだよ。世の中の人全てがメール好きでご飯を食べている間もメールチェックしている訳じゃないんだし、風呂やトイレには持っていかないし、ただピカピカ光っているだけじゃ昼寝から起きても気づかないことだってあるんだよ、なんて答えたらメール大好きの彼はぶちぎれるのだろうか?理由は分かりません。四六時中メールしている女が嫌いです。男ならもっと嫌いになります。麻婆なすを食べている時はメールチェックはしても返信しない山口さんちの娘が好きです。日本にいる外国人が大勢でている番組を見ている内に自然とポルトガル人のAを探している自分がいる。あの五十万円が今あったら店もこんなに急に人件費をゼロにすることはなかったのにと思うと、今更ながらAを恨んでしまうけど、それでもポルトガルを嫌いになることなく、「CHEIRA A LISBOA(リスボンの香り)」を毎日ポルトガル語で口ずさんでいます。嗚呼、リスボンに行きたい!

2011・8・27

2011年08月28日 | Weblog
起きた時からボッーとしている。何もやる気がしない。料理もしたくないし、風呂にも入りたくない。珈琲を飲みながら新聞をぼんやり眺めるだけ。胸ときめかすニュースはない。怒りに燃えるニュースもない。民主党の代表選で小沢一郎が海江田万里の推薦をきめたとか、福島原発のセシウム放出量が広島原爆の168倍だとか、売春クラブが出会い系サイトで女性になりすまして客を勧誘していたことに売春仲介罪が成立すると最高裁が判決したとか、昨日東京に降った集中豪雨のこととか、世界陸上の女子マラソンで尾崎が有力だとか、本当は大事な記事もあったのかもしれないのに、ゆるい感じでダラダラと俺の目の中を通りすぎていく。でも、日記を書くためにパソコンを開いたら、Yahhoニュースの中に「消息不明の映画監督、20数年ぶりに姿を現す」という見出しが飛び込んできて、あれっ、ひょっとして?とクリックしてみたら、やっぱり元日活監督のSさんだった。映画の制作に失敗して闇金から追われているとか、暴力団に殺されたとか、九州でトラックの運転手をしているとか色々な噂が流れていたが、大学で研究に励んで、特許も幾つかとってそれで生活していたとか。全くS監督らしいと呆れつつ、元気でいる姿にホッとする。そういえば、まだ新人の頃に俳優のMが惚れ込んだ原作があって、S監督と一緒に映画化しようと何度か打合せしたことがあったけど、いつしかその話は立ち消えになり、Mはセスナ機を操縦して右翼の大物Kの屋敷に突っ込んで死んでしまった。人生いろいろある。俺の人生もこれからいろいろある。多分特許はとれないだろうし、セスナ機も操縦しないけど、このまま大人しく老人になっていくなんてつまらない。セスナの代わりに自転車で川に突っ込む位の楽しさは俺の人生に欲しい。

2011・8・26

2011年08月27日 | Weblog
にんにくスライスとチーズが一杯入ったハンバーグを作ろうとして、途中何を一瞬ボーッとしたのか、生のままのにんにくスライスを詰めてしまったもんだから、食べた後ににんにくの臭いが凄くて閉口した8月26日。いつもは弟さんが主役で、自分は脇役なのに今回は台本を書いた上に主役としてその魅力を存分に発揮したIさんの舞台を見た8月26日。京都の外資系高級ホテルHの総支配人Yさんが六年ぶりにウチの店にきてくれて、ちょうどテーブル席にいたケーナ奏者で俳優のTさんたちと意気投合して、京都で近い内にライブをやる話がまとまった8月26日。日付にこだわっている。後五日で八月は終わってしまう。後六日たつと、一人で店をやっていく九月が始まってしまう。まだ案内のハガキの印刷もできてない。メニューもできてない。どうなるか分からない。でも、やっていくしかない。八月はこのままいくとオープン以来最低の売上を記録しそうだし、経費をトコトン削減してやっていくしかない。そう呪文のように銘じながら、部屋に帰って一昨日の残りの八宝菜を温めて食べた8月26日。

2011・8・25

2011年08月26日 | Weblog
例えば昨日、最後のお客さんが帰ったのが2時、そこから後片付けが終わったのが2時半。その時点で悩む。千代田線の始発5時半まで3時間。本も読めるし、来年やる予定の芝居の台本の構想を練ることもできる。でも、この数日経験したことだけど、始発に乗って部屋に辿り着くのが6時過ぎ。そこからバタンキューと云う訳にはいかずに7時近くに寝たりすると、それまでの胎内時計が今まで通りに起きろと命令しているのか、トイレの欲求も手伝って9時には目が覚めてしまう。そうなるともう眠れない。いくら新聞を読んで目を疲れさそうとしても駄目。結局そのまま起きて経理事務やらを始めてしまって一日をスタートしてしまうことになるのだけど、脳は寝不足で働いていないので仕事の能率の悪いこと夥しいし、体の調子もよくなくなる。2500円だ。それだけのお金を稼ぐのは大変だ。現実に今日終電車がなくなってから最後のお客さんがオーダーしてくれたのはカクテル三杯で2400円。タクシー代にならない。でも、やっぱり損をしても体のことや仕事の能率を考えるべきではないかと言い訳弁解自己正当化してタクシーで帰宅することにした。という訳で今日は起きてから気分爽快。伸ばし伸ばしにしていたエッセイ原稿用紙5枚を書いてから九月からの「ひとり営業」をお知らせするハガキの文面を書いて印刷所に送る。勿論いつもの日課?の経理事務と顧客名簿の整理とこの待ち待ち日記も書く。更にポルトガル語の日記も書く。電話でポルトガルワインの発注もする。そんなあれこれをこなして5時すぎに六本木。今日はO君が休みなので銀行に寄った後、仕入れして店へ。6時半から「へび山」公演の客いれ。昨日よりお客さんが少なかったのでフードを作るのに慌てることなく助かる(お金的には困る)。芝居の観客以外は先日旗揚げ公演を終えたばかりでホッとしているSさん、近所の化粧品会社経営のHさん、イチゲンの男性、美容師のKさんそして最近まで近所に住んでいた有名俳優のOさんとマネージャーのT君。いまオペラを演出中だというOさんと演出論、俳優論、宗教論など交わして1時過ぎまで。後片付けをして1時半に店を出て当然の如くタクシーにのる俺。数日前までこの日記にも悲壮な感じで書いていたタクシー不要論はどこに行った?

2011・8・24

2011年08月25日 | Weblog
二時間しか眠れず起きてしまう。色々なことが頭を悩ます。様々なことが気持ちを滅入らす。不快さが睡眠を妨害する。昨日の日記はパソコンの調子が悪くて思ったことを書くことができなかったが、いつもの調子だったらとんでもない罵詈雑言を書いてしまっただろうと、今日になってみてパソコンの調子が悪かったことに感謝する。罵詈雑言は吐かないに越したことはない。反対に昨日二千円の会計なのに間違って四千円もとってしまった初めて来店してくれたお客さんに謝る文章を書くことができなかったことを悔やみ続ける。毎日ウチの店の前を自転車で通勤している大石さん。ごめんなさい。お金をお返ししますので寄って下さい。こんな鬱の時は体を動かすに限る。手羽先を使ったカレーを時間をかけて作る。カレーは時間を置いた方が美味しいので同時に五目あんかけを作って食べる。経理事務などを済ますと何となく目黒恵比寿に向かって歩きだす。ブラブラ歩いている内に色々な思いや悩みを消す。途中でバスに乗って渋谷市場で干し鱈を仕入れて6時前に店へ。今日はコレド演劇フェスティバルの六作目「対自核」(へび山)があるので、寝不足で寝てしまわないように一時間前から劇場に坐って開演までうたた寝する。その甲斐あって芝居は眠らずに見ることができたし、芝居も面白かったので大満足。芝居が終わってバーに戻ったら脚本家のFさんとHさん、CMプロデューサーのRさん、そして俺が通っているポルトガル講座の別のクラスにいるKさんとYさんと云った女性陣がズラッとカウンターに並んで俺が戻ってくるのを待っていてくれる。いかにも俺がもてているみたいで満足満足。他にお客さんは今日が53歳の誕生日だったプロデューサーのKさん、元D通でメディア評論家のKさんたち、近所ある制作会社社長のOさんと女性演出家のKさん。寝不足と体の具合が悪かったこともあって今日はタクシー帰宅。ちょっと後ろめたい。

2011・8・23

2011年08月24日 | Weblog
劇団ユニット「永島公園」の旗揚げ公演「盛夏のあと」のマチネガ今日は1時からあったので、昨日は始発帰りだったのに仮眠三時間で11時半には再び店ヘ戻リ、1人でドリンクフードサービス。あわせて14オーダーしか出なかったのは安堵しつつガッカリ。芝居を見た後、3時半に店を出て再びバスでに部屋Uターン。経理事務をやった段階で眠気ニ襲われ1時間ほど仮眠。その後本当は9月からのメニューを作ったりしようとしたけど、この日記を書くのが精一杯で9時半に再び店ヘ。イベントの観客以外のお客さんは近所に住むエズラ好きの女性、Sさん、T大医学部教授秘書のTさん、格安旅行会社経営のKさん、国際留学生センターのOさん、映画監督兼教育評論家のHさん、女性編集者のUさん、Hさん、Aさんたち。4時近く最後のお客さんのKさんが帰ったので、後片付けして始発を待つ。5時半帰宅。今日は何度部屋と店とを行ったりきたりしたことか?やっぱり疲れる。やっぱりタクシーは必要悪か?

2011・8・22

2011年08月23日 | Weblog
涼しかったせいか夕べは2時前に寝たのに8時すぎまで一度も起きることなく眠ることができた。こんな快眠はどれくらいぶりだろう。風をいれる必要がない為カーテンを閉めたままでいたのもよかったのかもしれない。暗がりは落ち着く。狭い処は落ち着く。胎内回帰だ。小雨ふる中、午前中に銀行にいった後に整形外科。約八ヶ月さぼってしまったが、そろそろ痛風を本格的に治そうと決意した。薬を飲まなかったことで仕事や創作のエネルギーや性欲を衰えさせずにいることができたが、透析を受ける危険が近づいている。こっちの方がやばい。六時に店。映画評論家のUさんの誕生日会。彼女は確か大台になった筈だけど、去年正式に結婚もしたし、若々しい限りだ。それなのに彼女のお祝いにきたまだ30歳のK嬢は、恋愛ど真ん中年齢で、なかなかの美人なのに、恋愛モードから遠ざかって早5年のご隠居さん。五年も遠ざかっているとどうなるかというと、年下のボーイフレンドからKさんってハードルが高いんですねと言われた時に、彼に嫌われたと思って引き下がってしまうなんてことをやらかしてしまう。おいおい、それはKさんを口説いているんだよ、そんなことで引き下がっちゃ勿体ないとみんなからブーイングを浴びる。そんなことだから五年も空き部屋なんだとひどいことを言われる。何事も続けることが大事。続けていないとアンテナが錆び付く。続けていればアンテナが働く。バッターボックスに入ることも大事。ベンチからあの球はストライクだボールだと言ってみても駄目。実際にバッターボックスに入ってバットを振らなくては生きた球を見たことにはならない、なんて偉そうにKさんにお説教したのは、痛風治療を始めて現役引退を宣言したからか?今日と明日はお客さんのNさんとSさんの演劇ユニット「永島庭園」の旗揚げ公演。今日は見ることができなかったので芝居の中身は分からないが、とにもかくにも旗揚げできたことにお祝いしたい。

2011・8・21

2011年08月22日 | Weblog
料理は好きだし、食べることは大好きだけど、やはり誰かと一緒じゃないと作ったり食べたりするボルテージが落ちる。今日はMが広島だし、ちょっと二日酔い気味だったこともあって、しじみの味噌汁をメインに、作りおきしてあったいわしのマリネ、納豆玉子かけご飯なんてシンプルな献立で済ましてしまう。経理事務と顧客名簿の整理をした後、昨日買った「いねむり先生」(伊集院静著)を読む。俺もチラッと酒場で見かけたことのある色川武大氏をモデルにした小説。本当は読んでいる内に眠る筈だったのに、面白くてグングン読み進めてしまう。夕食は母とすき焼をすることにして、本当ならウチに呼ぼうとしたけど、部屋が散らかっているのを見られるのが嫌で母の家で作ることにしたのだが、買い物の都合もあったので、自宅から品川へ、更に白金へ。本当だったら近道はあったのだけど、知らない通りをブラブラしたくていい加減に30分ほど歩いていて、迷路に入ったと思った次の瞬間、突然母の家の近くの大通りに出てしまったことに感激する。こういう時間と場所の移動が好きだ。すき焼は鍋に砂糖をまいて、そこで肉を焼き、醤油をチラッたらして食べる、ゼイタク肉だけすき焼をした後、ネギや豆腐などをいれた関西風のすき焼に移るいつもの桃井流。食後のあんみつまで含めて母は満足してくれたみたいで、俺も満足。滞空時間二時間半で母の家を出て、また40分ほど歩いて自宅へ帰る。歩きながら九月から一人でやっていく店の経営運営を考える。Mがいなくなることはマイナスだけど、そのマイナスに何か他のマイナスを掛け合わせるとプラスに転化する筈。でも、そのマイナスは何か?店をやって13年、危機的状況に強くなった桃井は考え続ける。