桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2005・12・30

2005年12月31日 | Weblog
お昼に麻布十番で来年早々パーティをやってくれるM嬢とランチしながら打ち合わせ。帰郷するMさんを見送って2時に広尾でS嬢と会う。彼女とは今年一番お喋りをしたように思う。店でお喋りすることがお仕事になっている俺だが、やはりお喋りの中味にタブーはある訳で、俺が素に戻ってお喋りしたい時はついついS嬢を呼び出してしまう。いつの間にか日は暮れて夕食は何処でしようと話していたら、店から電話。三十年以上前、その頃一番お喋りをしていたTさんがきていると云うので、S嬢に別れを告げて店に飛んで行く。今はもうすっかり落ち着いたお母さんになっているTさんだが、隣で飲んでいると当時にタイムスリップして、ついつい昔お喋りをしていた頃の口調で話してしまう。俺はそのままノスタルジックな気分でいたかったが、その間に来店した近所のMちゃんやSさん、K出版社のY君と昔部屋で一緒にすき焼を食べたことのあるS出版社のS嬢、それとTさんと一緒に来たメイクのYさんなども会話に加わってきて、カウンターは「近所のスナック」状態になる。12時前、そこに今年J大を卒業したばかりのSちゃんが友達三人と加わり、カウンターはY君と後で来た広尾の雑貨店店主Kさんを除けば女性ばかり7人。Lちゃんも加わって姦しいこと限りなく、俺は厨房へ皿洗いと掃除をする為に避難して閉店の準備。ところが会計を済ませたところでSちゃんが急に泥酔してダウン。すっかり寝込んでしまって揺すっても何しても起きない。他のお客さんたちはLちゃんと一緒に帰ってしまったし、俺はSちゃんが起きてくれるまでカウンターでウタタネして待つ。朝五時、眠りから冷めたSちゃんに昆布茶を飲みながら泥酔の理由となった数日前終った恋の顛末を聞かされる。昼間お喋りの相手を探していた俺が夜明けはお喋りの相手にさせられていた。

2005・12・29

2005年12月30日 | Weblog
昨日今日で殆どの会社は仕事治めだし、今日はお客さんは望み薄だったけど、早い時間からウチのホームページの管理などを手伝ってくれているA嬢が勤務先の人たちをわざわざ千葉から連れてきてくれたのを初め、常連のFさん夫妻、六月にウチで公演するSさんたち、大阪から芝居を見に来たTさんたち、ウチの店をデザインしてくれたHさんたち、一カ月半ぶりのD通のO君、そしてAN嬢などで、まぁまぁの賑わい。それでも一時過ぎには皆帰ってしまったので、Lちゃんを引き上げさせた後、一人で店の大掃除を始める。別に大掃除は年内と決まっている訳ではないし、年が明けたらするつもりでいたのだけど、年中無休体制になり、このままでは一年中出来なくなってしまうことに気づいて、暇な時間に少しづつやっておこうととりかかったのだ。ところが、一人じゃなかなか終らない。気づいてみたら四時過ぎ。キリのいいところまで掃除して店を出る。水仕事をしたせいか手が一変に荒れて寒風が痛い。

2005・12・28

2005年12月29日 | Weblog
広尾時代からのお客さん、Nから詩集を貰った。NはT大経済学部卒のエリートサラリーマンなのだが、仕事の合間に繊細な詩を書き綴っていて、3、4年前に出した詩集はその世界でかなり権威ある賞を受賞する程の人だ。けど、体は大柄で大声、話し方もガサツで、とても彼が書く繊細な詩とマッチしない。多分俺が彼の詩を好きなのはこのミスマッチも一つの理由だなんて云ったら彼に悪いけど、人が人を評価する(恋愛も含めて)時って、このミスマッチが大きな要素を占めることが多い。先日芸術祭優秀賞をとった作品のプロデューサーSもそうだ。普段はくだらない冗談ばかり言って、誰がみてもいい加減な男に見えるのに、いざ仕事となると超真面目で、いい加減な仕事はしないばかりか、自分がいいと思った仕事の為には何千万もの赤字を出して会社を追われたりする。そんな奴らが集まったコレド05'の年末。最後は数日前に会社の執行役員になっちゃったと照れくさそうに名刺を差し出した女性プロデューサーYとビールで祝杯して四時過ぎまで。

2005・12・27

2005年12月28日 | Weblog
六時から先日東京フィルメックス映画祭で大賞を受賞した小林政広監督の『バッシング』を上映し、その受賞を祝うパーティ。小林監督とは彼がテレビの脚本を書いていた時代からの知り合いで、普段は寡黙で、話し下手だと知っている俺にしてみれば、彼が監督になって、五年連続でカンヌ映画祭に出品するなど、饒舌に自分の思ったことをスクリーンに叩きつけているサマは驚くばかりだ。参加者30数人にウェルカムシャンパンをサービスするなど、俺としても心からの祝福をする。カウンターには、Nちゃん始めテレビAの営業局の若手W大出身者が五人、偶然隣り合わせになった現役W大生Yちゃん、常連のFさん、SミュージックのSさん、一時帰国中のH堂のFさん、マネージャーのMさん、ウェディングコンサルタントのSさんとNさんなど。最後は近所の宝石デザイナーAちゃんが三時まで。

2005・12・26

2005年12月27日 | Weblog
店は日によっても変わるが、時間帯によっても有り様、雰囲気が変わる。今日店に出たら、カウンターに俺と同年配の旧知のプロデューサーが二人。彼らと話していたら同じく同年配の俳優Tと広告代理店H堂のFさん、更に六十代のマネージャーAさんが来店、カウンターが俺を含めて六十代前後のオヤジたちで占拠された。そこで出て来る話題と云ったら、昔の映画やドラマの話。やれ、吉田貴重の『秋津温泉』がどうの、篠田正浩の『乾いた花』がどうのこうの。カウンターの中にいるLちゃんTちゃんを無視して話し続ける。まるで新宿ゴールデン街。それが、どうお客さんが入れ代わったのか覚えてないけど、数時間後には近所のMちゃん、ヘアメイクのNちゃん、女優のHさん、化粧品会社のMちゃん、それに初めて来店した人材派遣業のSさん、Rさんとカウンターは皆三十前後の美女(ホント)軍団で埋めつくされる。男は広告代理店D通のMさんと企業コンサルタント兼大学講師のKさん、それと俺の三人だけ。カウンターの中のLちゃんTちゃんも入れると多勢に無勢の「レディスバー」、話題も恋愛やセックスが中心。まるで女子高の休み時間だ。そして数時間後、皆帰った夜明け近くの店内は、さっきまでの賑わいが幻の様に静まり返っている。そこで腹の減った店主が一人カレーライスを貪り食っている。

2005・12・25

2005年12月26日 | Weblog
今日は全く予定がない一日。起きて何をしようか考えることもなく、のんびり風呂に入って食事をした後、気づいたことをダラダラとやる。溜まった洗濯、溜まった経理事務、溜まった名刺の整理……途中眠たくなってソファで寝る。一時間程で起きて、また気づいたことをやる。洗い物、クローゼットの整理、手紙の返事……夕食を一人でとっている内、ふと妹の出ている映画『SAYURI』を見ようと思い立って近くの六本木バージンシネマに出向くが、何と満席。妹の映画を見ようと思って見ることが出来なかったことに妙な気持になる。仕方なく前から気になっていた近所の焼き鳥屋に入る。何が気になっていたかと云うと、以前この店の前を通りかかって表のメニューを眺めていたら、中から店員が飛び出して来てその内容を一々説明しだしたことがあったからだ。大衆居酒屋ならともかく、店構えは上品な焼きとり屋なのに、余生なお世話、うざったいと思いつつ、そこまでやる店の方針にちょっとした感動を覚えていた。そして今日も店員が飛び出して来て、メニューを説明しだしたので、一通り聞いた上で店に入る。焼きとり十本とお銚子二本を注文。宴会席も含めて五十人は入れる店内にお客は三組だけ。店員は六人。表に飛び出して来る営業努力をしてみてもこれだけかと同業者として同情的になる。会計をして貰ったら、お釣りと領収書とショップカードが入った洒落た封筒を渡された。こんなことにも気を配っているなんて凄いと思う。部屋に戻って、ウチの店ももっとやることがある筈とパソコンに向かうが、やることが多すぎて、途中でいつものように思考放棄。今年も後数日しかない。

2005・12・24

2005年12月25日 | Weblog
惨敗!だったと言っていいだろう。『Lちゃんのクリスマスパーティ』は開始時間の八時になっても参加者はたったの三人きり。こんな人数じゃ始めるに始められない。九時まで待って急遽動員した二人が来て、やっと始めることになる。途中で普通に飲みに来たお客さん数人もパーティ会場に動員?して何とか最低限の格好はついたけど、それにしても前売り券を買ってくれた8人のお客さんの内、来てくれたのはFさん御夫婦だけ。多分来なかった人は義理で買ってくれたのだろうと思うと、いかにこの企画が失敗だったかが分かる。第一の原因は、三連休の真ん中のクリスマスイブにやったことだろう。誰も折角の休みの日に酒場主催の、それもド素人のLちゃんのライブも兼ねたパーティにわざわざ出かけようとはしないだろう。けど、そんなことは最初から分かっていた。分かっていたけど、何もしなかったら恐らく売上は一万円程度にしかならなかったろうし、せめて20人位の動員が出来たらと思って踏み切ったのだ。第二の原因は、前売り券が八枚しか売れなかったことから分かる様に、宣伝が行き届かなかったことだろう。いくら三連休のクリスマスイブだって、もう少し熱心に、もう少し早く宣伝勧誘をすれば、二十人には前売り券が売れた筈だと思うと残念。結局、前売り券を買って来なかった人の分までいれて売上は7万円。反対に今回は衣装や装飾、それとクリスマスパーティ用に七面鳥やケーキまで用意したこともあって、経費がざっと八万円。日常経費までいれるとかなりの赤字となってしまった。ライブの途中からこの数字に気づいてかなり自棄気味になっていた俺は、来てくれた演出家のNさん、急遽呼んだYちゃん、近所のMちゃん、遅くなって来てくれた小説家のAちゃん、結婚間近の女性編集者Hさんなどと飲み続け、気づいてみたら三時過ぎ。最後までいてくれたYちゃんとMちゃん二人の32歳コンビと近所のラーメン屋へ立ち寄って、58歳のイブを終える。

2005・12・23

2005年12月24日 | Weblog
12時過ぎに今日のイベントの為に店へ。一旦引き上げようとしたのだけど、色々食材がなく、Tちゃんが来てから買い物して、調理するのでは時間的に間に合わないことに気づいて、そのまま仕入れから調理へと働きだしてしまう。五時から始まったイベントは、食べながら飲みながら皆で音楽を楽しもうと云う会だったので、オーダーが立て続き、11時に終った時に数えたら何と200近いオーダーを受けた計算になってびっくり。後片付けが終った後、明日に迫った『Lちゃんのクリスマスパーティ』のリハをしようとしたが、諸般の都合で出来ず、仕方なく三人で飾りつけをして2時近くに店を出る。前回のライブと比べてかなりの準備不足。帰り道、中止しようかどうか迷う。

2005・12・22

2005年12月23日 | Weblog
三連休?を前に今日が忘年会シーズンの最後なのか、大きなパーティはなかったけど、ウチの店にも六人、五人、三人と云ったグループの予約に加えて、カウンターも早い時間からお客さんで埋まり、おまけに料理のオーダーが殺到した為、今日も俺は厨房に軟禁状態。今日俺が受けたオーダーは、すき焼17、オムライス5、パスタ4、サラダ4、チーズ盛り合わせ4、タラモサラダ3、カレーライス2、お焼き1、スペアリブ1、コリアン冷や奴1、スモークチキンのサラダ1、枝豆1、レバーの赤ワイン煮1。中でもすき焼17と云うのが凄かった。途中で食材がなくなり、二回近くのスーパーまで買い足しに出かけたり、鉄鍋が不足したりで、てんやわんや。全てのオーダーを終了した時には口を聞く元気もなくなっていた。二時前にお客さんがみんな帰ったので、こっちも引き上げようとしていたら、タクシーが拾えないらしく、何人かのお客さんが戻ってきて、結局タクシーが拾えるようになった三時半過ぎまで店の中にまたまた軟禁状態。四時過ぎに部屋。油だらけになったので風呂に入って寝たかったけど、明日も早いし、時間的にも無理と諦めてベッドへ。

2005・12・21

2005年12月22日 | Weblog
頼まれていた雑文の〆切が過ぎていた為、『Lちゃんのクリスマスパーティ』のリハをTちゃんに任せてパソコンに向かう。四時過ぎ何とか書き終わってFAX(メールでそのまま送れる方法が分からない悲しさ)雑用を済ませて店へ。七時からのSさん主催のパーティの準備にかかる。人数は30人だけど、すき焼を含めて料理を一杯出せと言われていたので、それから十時頃まで厨房に入りっぱなしで八種類の料理を作る。頑張った甲斐があって、ベテラン俳優のK氏、女性エッセイストのKさんなど参加者たちにも料理を誉められてくすぐったい。一段落して、ふと気づいてみると他のお客さんはK出版社のYさんだけ。遅くなって銀座ママのSさんがきてくれたけど、パーティがなかったら売上は二万円にもならなかった。そう思った途端、Yさんとウイスキーを飲んでいた俺はドッと酔いが廻って酩酊。