桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2013・5・31

2013年06月01日 | Weblog
午前中に茅場町のS金融公庫に出向き、融資の相談に乗って貰う。いくつかの条件をクリアすれば融資が受けられそうな気配。何とかOKしてくれと祈りながら茅場町から新川、明石町、築地と歩く。途中、20年ほど前に住んでいた佃島の高層マンションの前を通りかかる。三歳だった子供と若い奥さんと一緒に二度目の幸せな家庭生活を送った日々はもう帰らないし、ずるい言い方だけど、その幸せを捨てたからこそその後の面白おかしい人生を送ることが出来たのだし、後悔している訳ではないのだけど、こうして経済的に追い詰められて彷徨い歩いていると、俺の人生の中で唯一経済的に豊かだったこの高層マンションの玄関に吸い込まれて行きそうになってしまう。何たって、年収二千万から三千万の時代が八年も続いたんだから、役員報酬がゼロになってしまった現在とは雲泥の差だ。午後四時過ぎ、雲泥の泥の部分から足が抜けない代表取締役は少しでも収入をあげるべく店に入る。経理を担当してくれているTちゃんからのラブレターは、今日八万円の売上があれば月売上百万を達成できる云々。今日はイベントがあるし、飲食代金もいれると最低五万円は確保出来そうだから残りは三万円。微妙なラインと思いつつ、脚本家志望のOLのKさん、劇団Tの作演出家のOさん、美人OLのJ子さん、いつも妖しい魅力をふりまく歯科医のSちゃん、定年後小劇場マニアになったSさん、法律事務所勤務のNさん、遅い時間に俳優事務所代表のBさん、ニューヨークで日本映画の研究に勤しむだけじゃ満足せずにドキュメンタリー映画を監督したアメリカ人女性のLさん、この店の内装デザインを無償でやってくれた著名な女性美術デザイナーのHさん、イチゲンの三人組などと3万円を巡る攻防を繰り返した結果、4万1千円。何とかクリアできたことは出来たけど、これは月売上が百万なんて云う低すぎる壁‥‥とうか壁にもなってない。でも、以前は普通にクリアできていた二百万、三百万の壁はあまりに高すぎて、もう目標にもならない。でも、その高すぎる壁を軽々とクリアしていなくてはコレドは維持出来ないのだと思うと、友よ静かに眠れ。