桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2009・5・30

2009年05月31日 | Weblog
朝起きて、その時一番食べたいものを食べるというのが俺のポリシーだ。だから日によってはステーキを食べたくなったり、カレーを食べたくなったりして、冷蔵庫に食材がなければ近くのスーパーに走る。でも、今日のそれは目玉焼きだった。それも何にも凝らずに作る単なる目玉焼き。醤油をかけて食べる人もいるけど、俺はソース派。それをご飯に乗っけて食べるのが子供の頃の大好物だったのだ。俺はソース味目玉焼きご飯をノスタルジックに食べる。俺の脳裏には五十数年前目玉焼きを食べさせてくれた祖母の顔が浮かんでいる。

2009・5・29

2009年05月30日 | Weblog
朝起きたら手の腫れと痛みが殆ど消えていた。Mが氷で冷やしてくれたり冷えピタを貼ってくれたお蔭だと寝顔に感謝する。気分も晴れて、八月にウチの店が主催する『コレド演劇フェスティバル』のことに頭を巡らす。お蔭様で昨日段階で全てのスケジュールが埋まった。これからはどう盛り上げていくかが課題だ。このフェスティバル』には俺も『独房、若しくは雑踏(仮題)』というタイトルの芝居で参加する。配役は男一人だけ。しかもその男は喋らない。外から男に呼びかける声だけが聞こえて来るという設定の芝居だ。その男を誰にやって貰うか、この芝居を構想する時から決めていた。常連のシルバーモデル、Mさんだ。彼はこの春、初舞台を踏んだものの、役者としては素人同然。でも、60近くになってからモデルとしてスカウトされただけあって、何ともいえぬ雰囲気を持っている。彼を主役にしてどんな芝居が出来るかずっと考えた末に辿り着いたのがこの芝居だ。早速今日Mさんに来て貰って、設定を話し、出演を承諾して貰う。これから八月までずっと作演出家としてMさんのことを夢の中でも考えて過ごすと思うと何だか妙な気分だ。

2009・5・28

2009年05月29日 | Weblog
金曜日から公演する俳優のTさんたちがリハとゲネでスペースを使うので、12時に店へ。照明も音響も以前ウチでやったスタッフなので問題なくバトンタッチ。買い物と銀行に寄って帰宅。ポルトガル旅行で8日間パン食を続けた後遺症でしばらくはパンを見るのもイヤだったが、一昨日はパンバーガーを食べたし、今日も極太ソーセージを挟んだホットドッグを食べたくなって、グリーンサラダとグレープフルーツとトマトジュースと一緒にテーブルに並べる。8月に行うコレド演劇フェスティバルに俺も参加することにしたので、7時半すぎまで部屋でその構想を練る。店は雨の影響もあってか、会場見学を兼ねたパントマイマーのZさんたち、法律事務所勤務のNさん、映画プロデューサーのKさん、今日で今まで勤めていた会社を退職するので仲間と来てくれたプログラマーのIさん、某制作会社経理責任者Iさん、7月にイベントをやるKさんたち、某国営放送局のIさん、美容師のKさんの計13人のみ。帰る時にMが店で使う大きめの氷をビニール袋に詰めているからなんの為に使うのかと思ったら、腫れたままになっている俺の手を冷しながら寝た方がいいと手製の氷嚢を作ってくれた。夫婦です。

2009・5・27

2009年05月28日 | Weblog
六本木の映画館Sと配給製作会社の社長でもあるKさんが、面白いマスターがいるからと若手の部下たちを無理やり連れて来てくれた。彼(桃井のこと)は自然流で生きているんだと何度も強調するもんだから、部下の手前、社長の見解を崩してはいけないと俺も同意するが、俺は果たして自然流に生きているのか?ふと考えてしまう。確かに無理はしない、イヤなことはトコトンやらない、流れるまま流されるまま生きている、明日のことはお金も含めてどうなるか分からない。その部分では自然流かもしれないけど、人間はこうありたい、男はこうありたいという理想形はあって、そこに近づこうとしていることは自然流ではないし、時々他人がびっくりする程頑張ってしまうこともあって、100%自然流ではない。でも、他人から自然に生きている思われていることは悪い気がしない。手の腫れと痛みは昨日よりは少なくなって、高校の同級生でウチの出資者でもあるI君が主催した集まりの料理も何とかこなすことが出来た。日記もここまで書けた。もう少しで完治すると思う。でも、放っておくといつか腎臓をやられる恐れがある。医者に行こうか行くまいか?こっちは自然流でどこまで耐えられるか?

2009・5・26

2009年05月27日 | Weblog
左手の痛みと腫れが昨日よりひどくなっている。座薬を入れて痛みを和らげているので何もしなければ問題はないが、何かしようとすると痛みに顔を歪めてしまう。トイレでトイレットペーバーを千切ってお尻を拭くにも一苦労だ。こんな日、千客万来だったらどうしようと思っていたら、開店早々日本画家のKさんを皮切りにTテレビのOさんが6人で、美人OLのJ子ちゃんが故郷の同級生と来店してくれて、一時はどうなるかと思ったが、料理はカレーを初めみんな片手で出来るものばかりだったので何とか切り抜ける。その後も店は女優のKさんとAテレビのYさん、京都の会計事務所のTさんご夫妻、常連の演出家Sちゃん、マネージャーのHさんたち、シナリオ修行中のKさん、他にイチゲンのお客さんが二組と、イベントがない日にしては、まぁまぁの売上。こんな日がずっと続くと家賃も払えるんだけど。

2009・5・25

2009年05月26日 | Weblog
長い間、俺のミスで閉鎖中だった店のホームページがリニューアルしてオープンした。Y君の友人であるプログラマーのIさんが作ってくれたものだ。改装した店内の写真もフンダンに使われ、見違えるようになっている。Iさん、どうもありがとう。同時に店の看板も新しくなった。バーとシアター両方の写真が載った今までの二倍はある大きな看板だ。これはデザイナーであるY君の父上のお世話になった。Yさん、本当にありがとうございました。こうしてどんどん進化していくバーコレドとコレドシアター。それなのに俺と来たら、朝起きた時から左手首に痛風の発作で出て、座薬を入れても痛みがとれない。今こうして日記も左手の痛みにたえながら書いている。やばい。もう限界。また明日。

2009・5・24

2009年05月25日 | Weblog
月曜日が給料日だから日記を書いてからお金の計算をする。金曜土曜の売上を入金しても俺の役員報酬を出すには預金残高が30万程足りない。月末までの売上次第では家賃と借金の返済分をいれると50万は足らなくなる。この間会社に貸していたお金を少し返して貰ったばかりだけど、また俺の預金から補填しなくはいけなくなる事態だ。そうなった大きな原因は先月から今月にかけて店内改装ということもあったけど、GWもいれて十日間も休んでしまったことにある。勿論営業していても,この期間は大した売上にはならなかった筈なので後悔はしてないが、十日間売上ゼロはボディブローのように効いて来る。でも、その痛みには耐えるしかない。何とかこのラウンドを持ちこたえれば、一発逆転ということもある筈だと、前向きに考えることにして、今日は部屋で映画三昧。午後から見たのは吉田恵輔監督の『純喫茶磯辺』。何が起こる訳ではないが、ダメな父親と女子高生の娘との日常生活の描写と会話がひどく面白い。食事タイムを入れて今度は阪本順治監督の『闇の子供たち』。こっちは幼児性愛者の欧米人の欲望の餌食になったり、臓器を求める日本人の為に生きたまま心臓を提供させられるタイの子供たちを描いたものだが、日本人の主人公が何もできないままエンドマークが出るのがいい。最近のテレビ局が作る映画だと、こんな深刻なテーマでも安易なハッピーエンドを作りそうだが、さすが阪本順治だ。とはいえ、日曜日の夜に夫婦して見る映画ではなかった。それと桑田圭佑は好きなアーティストだけど、この映画のラストに彼の唄は似合わない。どうしてこんなことになったんだろう?

2009・5・23

2009年05月24日 | Weblog
10時半起きで、11時半すぎに店へ。スケジュールの合間を見て来て貰った某有名アーティストにプロデューサー役のSちゃんと一緒にウチでのシークレットライブを依頼する。感触はよく、何とか実現すると嬉しい。六本木西麻布近辺のハンバーガーを色々食べてみた結果、俺たち夫婦がベストワンだと思っているPで食事して帰宅。満腹感と寝不足と有名人に会った疲れから二人して昼寝してしまう。5時過ぎにMを店へ送り出した後、俺は経理事務と日記を書いて8時近くに店へ。昨日とは打って変わってノーゲスト。土曜日だから仕方ないかと思いつつも突然混みだすことを内心期待するが、12時までに来てくれたのは昨日に引き続いてT電力のTさんたちだけ。昨日と今日でプラマイゼロか?閉店後、Mとブラブラ歩いている内に映画をみようと云うことになり、何をみるか決めずに六本木ヒルズへ。先々週予約をいれたのに部屋で眠ってしまってキャンセルすることになった『スラムドッグ$ミリオネア』をまたお金を払ってみるのは癪に障るが、他の映画は見てしまったり、興味がなかったので『スラムドッグ』に決定。今まで夫婦だけど、年の差で絶対夫婦に見られないだろうし、証明するものもないので「夫婦割引」で入ったことはないのだけど、ダメモトで申し込んでみたらあっさりOK。まともに入ったら二人で3600円が夫婦割引で2000円になる。ラッキー、ラッキーとこの制度のことだけ書きたくなる程、映画の方は何も書くことはない。これでアカデミー賞を何部門も受賞したなんて、ホンマかいな。アカデミー賞も大したことありまへんなと理由もなく関西弁になってしまう。映画が終わったのが3時半近く。部屋に帰って残り物の鮭とチリメン、タコの天火乾し、ネギとかぶなどで雑炊を作って食べる。映画については二人共何も語らず。

2009・5・22

2009年05月23日 | Weblog
脚本家のIさんは律儀な人だ。昨日のこの日記を読んで、Mが落ち込んでいるのを知ってわざわざ会いに来てくれた。Mは大喜びで本当はお客さんのそばに座らないことになっているのにIさんの隣で彼がメインライターとして携わった『はみだし刑事純情派』の話題に盛り上がる。でも、俺が厨房で料理を作っているとMがしばらくして顔を覗かせてIさんと話していると緊張して何を話していいか分からなくなると嘆く。自分の妻が元同業者のIさんをそれほどまでに尊敬しているなんて、本当だったら頭に来てもいいのに、何だか嬉しくなってしまうのは、自分が携わっていた時には誰にも影響を与えているとは思えなかったテレビドラマが、こうして脚本家の気持ちが日本中の見知らぬ誰かに届いている例もあるんだと知った故か。他にお客さんはIさんが連れてきてくれたプロデューサーのIさん、いつも元気一杯の映画監督のHさんたち、ご飯も二倍、牡蠣も二倍の八つ入った特大牡蠣カレーを食べた後もカクテルを飲み続けたプログラマーのIさん、そして彼が来る時は何故か一緒になってしまう同じプログラマーで名前も同じのIさん、元女優で今は映画のAPをしている女友達のYちゃん、席に座るなり、今日は朝からカレーパン一個しか食べてないからご飯を食べたいとすき焼きをオーダーするSミュージックのIさん、去年まで週に一度はタンゴのイベントにきていて半年ぶりに顔を覗かしてくれたYさん、しばらく顔を見ないから国に帰ってしまったのかと思っていたら、母親と一緒にきてくれた仏人青年のB君、新装開店のお祝いを持ってきてくれた旅行代理店を経営するKさんたち、三ヶ月ぶりになるT電力のNさんとTさんたち、二ヶ月前にウチの公演をしたことのある俳優のHさん、Y君の昔からの知り合いであるTさんたちで二時半すぎまで。帰り道、深夜スーパーで安売りしていたお弁当を買って帰る。そんなものでも夫婦で食べると美味しい。

2009・5・21

2009年05月22日 | Weblog
5年ぶりに来てくれた脚本家Iさんたちが帰ってからMが虚ろげな顔で、あの人がIさんなのねとしみじみ呟く。イメージ違った?と俺。もっと痩せている人かと思ったとM。私、小学校の頃からIさんってずっとはみだしのSさんみたいな人だと想像していたの。は?小学校の頃からって、十何年前からIさんのことイメージしていた訳?それって異常じゃない?仕方ないでしょ?はみだしも法医学も私が大好きなドラマはみんなIさんが書いているんだもんとM。因みにはみだしとは『はみだし刑事純情派』という刑事ドラマ、法医学とは『法医学教室の事件ファイル」という二時間ドラマである。俺は返す言葉を失う。小学生が脚本家に注目する、それも異常だ。そして、Iさんには失礼だけど、彼はマスコミに持て囃されるような世間的に有名な脚本家ではない。地味に刑事者やコメディなど娯楽作品一筋に書いてきた、いわば職人肌の脚本家だ。そんな脚本家のことをMはずっと神様のように崇めてきたそうなのだ。もっとIさんと『はみだし』のこと話したかった、握手もしてもらいたかったとMはぼやき続ける。うーん、と俺はますます何と言っていいか分からなくなる。Iさんは俺より数才若いけど、デビューが殆ど同じ頃だったので、いわば同期生的つきあい。『法医学』が二時間物になる前、一時間の連続物だった時には交互に書きあった仲間だ。そのIさんのことを帰り道でもずっと喋り続ける。そんなにまでIさんに思い焦がれるなんて、俺は20%嬉しくもあり、80%嫉妬した。