桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・4・29

2006年04月30日 | Weblog
今日から大型連休に突入。毎年この時期になると思い悩み、後悔する。一昨年もそうだった。去年もそうだった。いや、広尾時代からそうだった。営業すべきか休むべきか。本当にそれが問題だ。ざっと飛び石も含めて休んでしまったら九日分の売上はゼロになるし、そんな度胸はない。それに今年は年中無休をうたってしまっている以上、休む訳にはいかない。だからって、店を開けていたってお客さんがドッと押し寄せることはない。ドッとどころかパラパラって望み薄だ。今日だって、元S女子大生で今は大手損保に勤めるUと去年の今頃から常連になってくれたJちゃんとそのお友達の三人きり。売上も一万円に満たない。LちゃんとTちゃんの人件費の半分、つまり赤字だ。とすれば、売上がゼロになったって休んだ方が経営的には得策だなんだけど、年中無休の店と云うイメージをお客さんに与えることでの大きい意味でのプラス効果もあるし、ドッとお客さんが押し寄せる可能性もないとは限らない。現に去年なんか休んでいる日に常連のAさんが結婚式の団体客を連れていこうとしたのに駄目だったじゃないかと文句を言われたりした。だからって今年もそんなことがあるかもと期待しては虚しい結果が待っているだけだろうけど、まぁ、やってみるさ。それに店を開けていれば、美人のJちゃんがこれまた美人のお友達を連れて来てくれて二時過ぎまで「お金を払って」俺とお喋りしてくれるし、いい商売じゃないかとプラス思考をする。ただ、Jちゃんが最近来ないなと思ったら、好きな人が出来たらしく、そのことはとてもとても残念なことだ。ただただその恋模様がうまくいかないことを祈るのみ。

2006・4・28

2006年04月29日 | Weblog
俺とLちゃんの男女関係を疑うお客さんが一杯いる。あんまりしつこく聞かれると面倒くさくなって「はい、はい、ヤリマシタ。今もときどきカンケイあります」なんて冗談で答えて受け流すけど、深夜一人残ったLちゃんファンに真面目に聞かれたりすると、そう云う訳にはいかず、Lちゃんとの出会いから現在までを真面目に話して彼女が何故俺と一緒に働いているかを分かって貰う。話すと殆どの人は納得してくれる。でも、昨日残ったNは違った。もう三時を過ぎているし、話を締めくくる意味で、Lちゃんの生い立ちを話していたらNが突然泣きだした。Lちゃん自身が持ち前の明るさと屈託のなさで悲惨な生い立ちを話すと「すげぇ、面白い」となるのに、俺が話すと陰々滅々とした気持になってしまうのか、Nの涙がとまらない。30分以上も泣いている。困った。深夜52歳の男に目の前で泣かれ続けても抱いてあげる訳にもいかない。Nの涙が乾き、感情が治まるのを只待つしかない。Nが漸く帰ってくれる気持になったのは四時半近くだった。バタバタと店じまいして部屋に帰る。明日は日記を書く時間がなさそうなのでパソコンに向かうが、途中で眠ってしまい、気づいた時にはパソコンには訳の割らない文字の羅列。もうこうなったら寝るしかないと三時間程仮眠して九時起き。シャワーを浴びて日記の続きを書いて十時半過ぎには店へ。一昨日に引き続き『erogance・春』の映像の撮影。食事を挟んで四時まで。エロチックなシーンを撮っている為か、肉体的より精神的に疲れる。出勤して来たTちゃんに衣装の相談、女優Kさんと今後のスケジュールの打合せをした後、一旦部屋に戻って『ハナミズキの有る家』のフライアーに載せる「演出家の挨拶」をペラ二枚書く。途中冷や奴ときゅうりの浅漬けとスクランブルエッグと韓国海苔と大根の味噌汁で、まるで朝食みたいな食事をして八時に店へ。デザイナーのIさんとプロデューサーの荻原さんを交えてフライアーの打合せ。途中音響デザインを担当してくれる演出家のTさんも加わって芝居談義。その間にカウンターには六月公開の映画『やわらかい生活』監督のHとプロデューサーのMとAが主演女優のTと来店。この作品がシンガポール国際映画祭のグランプリを受賞したとかでお祝いの乾杯。宣伝を兼ねてテレビに出演する時に見せる写真を撮りたいと云うことで俺を交えて記念撮影。何だか華やかな一時だったが、明日から大型連休だと云うのに華やかなのはその時だけ。他にお客さんは法律事務所勤務のNさんたち、プロデューサーのHさんたち、設計事務所のMさん。遅くなって女優のKさん、更に二時過ぎにタクシーが拾えなかったAN嬢がワイン一杯だけと来店しただけ。AN嬢がKさんと話しているのを聞いている内、さすがに疲れて半分眠っていた。でも、その睡眠不足と疲れの半分は直接店の仕事とは関係ないイベントのことに原因がある。連休を前にしてタクシーが拾えない程、街は賑わっているのに、ウチはガラガラだったなんて、疲れたなんて言っている場合じゃないと自戒しつつ、一日の終わりにラムを飲む。

2006・4・27

2006年04月28日 | Weblog
昨日一昨日食べた物を思い出しただけでゾッとして来る。一昨日の朝は飛び起きて何も食べずに店に行った為、店で前の晩に残ったゆで卵を二つ食べただけで、『ハナミズギの有る家』のリハに突入。終った後、五時に翌日の撮影打合せを兼ねてハンバーガーを一つ食べただけ。そのまま店に戻ってパーティの準備を始めたり、他にお客さんが一杯いた為、結局閉店時間まで満足な物は食べることが出来ず、かなりの栄養不足。反対に昨日は、朝兼昼がすき焼で打合せを終えて『erogance』の撮影に突入して、終って夜が豚シャブ、夜中がステーキなんて、とんでもなく栄養過多。しなくてはいけないことで頭が一杯で、食べることに無神経になっていて、自己嫌悪をいいとこだ。でも、今日はどこにもいくところがない。起きてからゆっくきりと食事のメニューを考える。数日前に買っておいた鰯の丸干し、筋子の大根おろし和え、塩辛、もやしとなすのカキソース炒め、かいわれ大根とみょうがと豆腐のサラダ、納豆、新じゃがの煮つけ、ミニオムレツ、カブの味噌汁……あまり作りすぎて、テーブルが一杯になってしまう。食べることよりいい加減な食事をしてきた欲求不満の解消か?そんな訳でお腹が一杯になって当然の如く仮眠した後、五月から七月にかけてシアタースペースと俺のスケジュールを、電車の過密ダイヤを調整するが如く検討。五月末の『erogance』六月末の『Lちゃんライブ』七月中旬の『ハナミズキの有る家』、それぞれにリハが何日もある。とにかく体がそれまで持ってくれと祈るのみ。

2006・4・26

2006年04月27日 | Weblog
この数日バタバタしていて、この日記もゆっくり書けなかった。24日分は翌日書く時間が持てず、25日分も今日起きてから珈琲を飲みながら書く時間が持てそうになかったので、夕べ三時近くに帰った後、眠気と闘いながら24日分と一緒にとりあえず書きなぐってしまった。だから素っ気ないし、いつもより短い。今までにもそんな日が何回かあった。しばらく経ってその時の日記を読み返してみると自己嫌悪に陥るが、どんなに書きなぐったものでも、どんなに短くても空白よりマシだと思うことにしている。続けることが財産だ(と書いてみて)おいおい、自分以外に誰がこんな日記を財産だと思っているんだよ?とツッコミをわざと入れてみる。いや、それがいるんだな。財産と云うのはオーバーだけど、ウチの店に来たことのない全く見ず知らずの人でも俺の日記を楽しんでくれている人がね(と得意気に書く)今日常連のエステシャンMちゃんが連れて来てくれたIさんもその一人。Mちゃんにエステされている間にウチの店のことを聞かされて、ふと興味を持ってこの日記を読んでみたら、ハマってしまったらしい。だから一度も来たことがないのに、やたらウチの店のことと俺について詳しい。今日カウンターに座るなり、昨日は三時過ぎでしたね、日記をお書きになったのはと書いた時間までチェックしている。Lちゃんのことは紹介しなくても勿論知っている。だったらと試験問題みたいに、ちょうど隅に座っていた女性を指さして、彼女誰だかわかりますか?と聞いてみたら、女優のKさんでしょと即答。有名女優ならともかくKさんは顔がまだ売れてない女優さんだから、これにはびっくり。京都弁と着物姿で分かったみたいだ。他にもAN嬢や演出家のSさんを始め、ウチの常連客を何人も知っている。いやァ、こんな人が現われちゃうと、昔文筆を生業にしていた頃みたいに文章に凝りだしたりテーマがどうのこうのと悩みだして〆切?に遅れたりするようになったりして、なんてこの日記についてばかり書いてしまったけど、今日の俺のトピックスは本当は午前中から五月末のイベント『erogance春』で使う映像を撮影したこと。演出家と一緒に女優Kさんの顔や体からどうすればエロティックで艶っぽい部分を醸しだすことが出来るか、悪戦苦闘。いやらしくエロチックなことを遊びじゃなく真剣に考えたなんて、20代にロマンポルノを書いて以来かも知れない。緊張が続いたせいか、五時に撮影が終る頃には足がつりっぱなしで、エロチックなシーンを撮るのに足のつりを治しながらやる始末。それはKさんも一緒だったらしく、現場は全くと言っていい程色っぽくない。そんな苦労を知ったら当日その色っぽいKさんの顔を見たお客さんは興ざめだろうと思わず笑ってしまった。それからもう一つのトピックスはMちゃん。MちゃんはMちゃんでも、エステシャンのMちゃんでもなく近所のMちゃんでもなく、今日からウチで働くことになったMちゃん。四月に広島から出て来たばかりの19歳。まだ東京にも働くことにも慣れてない初な女の子だから、皆さん、どうぞよろしく。

2006・4・25

2006年04月26日 | Weblog
5時近くに寝たのに、9時過ぎには起きてシャワーを浴びた後、『ハナミズキの有る家』の演出プランを練る。何とか俳優のTさんに説明出来るメモを作って、11時半に店へ。Tさんが来る前に作家兼プロデューサーのOさんとスケジュールと予算、それにフライアーの原案について打合せ。1時から演出助手をやって貰う女優のKさんも交えてリハーサル。四時過ぎ終了。場所を移動して、今度はそのKさんが五月末に行う『erogance・春』で使う映像の撮影打合せ。何だか二つの演出作品を同じ日に打合せしていると頭が混乱して来る。その頭をスッキリさせる為に麻布の美容院『オランジュジャポン』で髪を切って貰う。帰りに広尾で買い物をして九時前に再び店。20人のパーティを始め、有名女優のTさん、高校の同窓生で、K出版社のS君たち、 エステシャンのMちゃん、図書館勤務のMさん、5月1日に70人のパーティを計画している映画会社Tの面々、昨日に引き続いて俳優事務所のAさん、常連のFさん、などで賑わう。2時過ぎ店を出る。今日はただただ忙しく、時間に追われる一日だった。

2006・4・24

2006年04月26日 | Weblog
この日記でちょっと前に俺が忙しぶって、今自分がやらなくてはならないことを幾つも羅列したことがあった。その中に『求人広告の原稿作成』と云うのがあったのだけど、それを見てウチが人手を求めていると知って、俺が求人広告を出す前にOさんと云う19歳の女性が応募して来た。Tちゃんもそうだったけど、こっちが広告を出す前に働きたいとアピールして来るのって、それだけでも見込みがある。とは云うものの、こっちがそう思ってみても、実際に店の仕事を見てガッカリすることがあってはお互いに損だし、今日Oさんに一日カウンターに座ってウチの仕事を観察したり、LちゃんやTちゃんと話して貰うことにした。でも、お客さんは今日のイベント、劇団ギルド+1の定期公演『誰?』のお客さん以外は、女優のKさん、T大助教授のHさん、女優で今はシナリオを勉強しているWさん、俳優事務所のAさんの四人だけで、あまり参考にはならなかったかも知れない。もっと忙しくてたまらない日があるんだぞと見栄を張りたくなる。でも、こんな暇なら私にも勤まりそうとOさんが働く気持になってくれればいいんだけどなんて思いながら、一人残ったWさんに偉そうにシナリオライターになる方法などお喋りして四時近くまで。

2006・4・23

2006年04月24日 | Weblog
12時に店。今日はそのまま残って俺がマチネ公演のドリンクを担当する。昨日はマチネソワレ共、観客が20を切っていたので、今日も楽勝と思っていたら、俺が一人で担当する時に限って40人以上も入って、慌てる。終演後も飲食のオーダーがひっきりなしにあって、四時に出勤してきたTちゃんと二人して100オーダーをこなす。でも、八時過ぎにスタッフたちが撤収した後は、ゆったりとした、いや、ゆったり過ぎる時間が流れる。お客さんはフラリと入ってきたいちげんのカップルだけ。お蔭で演出する『ハナミズギの有る家』のセットプランも出来たし、『erogance』の構成台本も練ることが出来た。日曜営業を始めた当初は、まぁまぁだったのに、最近は全くと言っていい程お客さんがこないもんだから、日曜日はすっかりTちゃんとのデイトタイムになってしまった。今日も二人で飲みだして、その勢いで12時に店を閉めた後も六本木に繰り出すことになる。24歳のTちゃんとデイトするのは嬉しいけど、経営者としては日曜営業についてちょっと悩む。

2006・4・22

2006年04月23日 | Weblog
夕べAちゃんのミニスカート姿に幻惑されて五時近くまで飲んだのが不味かった。かなりの二日酔いで飛び起きて12時に店へ行き、今日のイベントのスタッフにバトンタッチ。マチネをTちゃんに頼んでおいたので、そのまま部屋に戻り、ソファにひっくり返る。二日酔いにはとにかく寝るのが一番。起きたのは五時過ぎ。何とか回復している。日記を書いて、お金の処理をして、風呂に入って、ご飯を食べる。とは云うものの食欲はなく、納豆にキュウリの浅漬けにタラコと韓国海苔なんて、ごくさっぱりしたものでご飯を一膳。イベントの終る八時過ぎに店。昼間から働いているTちゃんとバトンタッチしてカウンターの隅で赤坂真理の『ミューズ』を読み返す。五月末のイベント「erogance・春」で朗読する小説だが、読めば読む程、難しさが分かって来る。冒頭から半分近く読んでしまう。ということは他にお客さんがいないと云うこと。10時過ぎ、イベントの主催者T君たちが引き上げると店はガランとする。こんな時は遅い時間になって混んだりしてと、土曜日で12時に閉店するつもりになっているLちゃんは恐れる。ところが猫の子一匹、ゴキブリ一匹入ってこないまま12時に。ホッとすると同時に、ちょっと複雑な気持に。今日イベントがなかったら売上はゼロってこと?Lちゃんもこうなると帰るに帰れない。あーでもない、こーでもないと店の問題を話している内に、二人ともお腹が減って来て、俺は二日酔いにもかかわらず、Lちゃんはダイエット中にもかかわらず、焼き鳥が食べたいと衆議(二人だけど)一決。六本木の街を深夜やってる焼鳥屋を探して歩き回る。どうでもいいことだけど、焼き肉屋は朝までやっているのに、どうして焼鳥屋は早く終ってしまうんだろ?

2006・4・21

2006年04月22日 | Weblog
お昼に店へ鍵を開けに行った後、午後iと会う。彼女とは二カ月前に知り合って、あっと云う間に恋をして、一カ月前に別れたと云う忙しい関係だ。食事をしながら三時間程。本当はもっと話していたかったけど、お互い予定があったので短い再会?で済ます。四時に「erogance・春」の女優Kさんと打合せした後、今日のイベントに何人か知り合いが来ることになっているので六時過ぎに店へ出向く。今日の主催者の一人T君は俺と同年配の脚本家Tさんのご子息。先週のイベントも昔からの知り合いのご子息が主催者だったが、次の世代が続々と俺のエリアに入って来ていることにある感慨を抱く。イベント以外のお客さんは、俳優事務所のAさんとSさん、映画監督のKさんたち、カメラマンのYさん、遅くなって脚本家のYさんとS出版社のMさん、広尾時代の常連Kさんたち女性三人組、昔の飲み仲間のM商事のお局様、MちゃんとHちゃん、更に遅くAN嬢、女性二人を引き連れてT大助教授のHさん、いつも着物のAちゃんが今日はミニスカートで来店して三時過ぎまで。AN嬢がいつもと違う酔い方をしていたのが気がかり。仕事で何か嫌なことでもあったのか?

2006・4・20

2006年04月21日 | Weblog
12時半に部屋を出て、Lちゃんの付き添いで北千住の劇場『1010』までお客さんのSさんが演出し、M君が出演する『秘密の花園』(作・唐十郎)を見に行く。舞台美術の素晴らしさには圧倒されたけど、実年齢より童顔のM君とヒロインの年齢差にこだわってしまって今一つ芝居に入り込むことが出来なかった。でも、そう云う時は自分の関係する芝居のことを考える。お蔭で色々思いつくことが出来た。いいことではないが、得をした気分。幕が降りると同時に駅にダッシュ。終ったのが5時近くで、今日はTちゃんがお休み、おまけに北千住から乃木坂までは30分はかかるので、急がないと開店準備が出来ない。こんな慌ただしく芝居を見るのはあまり好きじゃないけど、仕方ない。そんなにまでして店を開けたのに、お客さんは某国営放送局のSさん、AN嬢、名古屋のCテレビのKさんたちの合計五人だけ。2時前に閉店準備して早々に退散する。