桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2013・6・6

2013年06月07日 | Weblog
一尾120円もする大羽いわしを何尾仕入れようか迷う。この季節うまくすると店によっては一尾50円なんて日もあるから、それを思うとかなり高い。それに昨日と一昨日いわしのオーダーがあったからって今日もあるとは限らない。でも、やはりポルトガル風居酒屋を名乗っている以上いわしは必需品だと考え直して、思い切って四尾買ってしまう。更に悩みは続く。メニューにいわしがあることを分かって貰う為に、いわしを他の料理と一緒にならべておきたいのだけど、いわしは焼いた状態で付け合わせのじゃがいもやピーマンと一緒においておくべきか?焼いてしまったら身が固くなるし、いわしを氷の入ったボールにいれて並べておいてオーダーがあった時に厨房で焼くか?そりゃ後者の方が絶対いいに決まっているけど、いわしを生のまま他の料理と一緒に並べておくことに鮮度が落ちることも含めて抵抗があるし、カウンターには一尾だけ見本として焼いた状態で付け合わせも一緒に彩りもよく並べておいて、注文があったら厨房に入って生のいわしを魚焼き器で焼けばいいんじゃないかと云う折衷案を採用しそうになったけど、実際にやってみるといわしが一尾しかないというのも何だか貧相に思えてきて、焼き直しで味が落ちるかも知れないけど、見栄えの方を優先しようと開店前にいわしを四尾とも焼いてしまった‥‥なんてこの「いわしを巡るいくつかの考察」のオチは四尾とも売れ残ってしまったいう百人中九九人が予想するオチだ。でも、いくらお客さんがいなかったからって「いわしを巡るいくつかの考察」でここまで書けるなんて、俺って物書きみたいじゃない?なんて下手なギャグっぽい突っ込みは鬱陶しい限りだし、十時近くに変声期にかかったT嬢(脚本家志望のOLのKさん改め)が、五分後に映画プロデューサーのKさんが来店してくれるまでお客さんはひとりもいなかったので、ガン治療の問題点を扱った「『余命3カ月』の嘘」(近藤誠)を三時間以上も読み続けていた為、内容が内容だけに顔の表情も鬱っぽくなっていてもおかしくなく、その後大学のゼミ生七人と一緒に来てくれた精神科医で教育評論家で、最近では映画監督としても活躍するWさんに無料診察をお願いしていてもおかしくなかったのだけど、、女好きの俺は、色っぽいゼミ生のひとりに今度ひとりで飲みにきますねと囁かれ、それだけでウキウキすっかり鬱状態から抜け出してしまうのだからWさんの診察は最初から無用だったのだ。