桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2008・7・30

2008年07月31日 | Weblog
欲張りなのだと思う。今、俺の中ではいくつものの欲望が別々に噴火中だ。食事を含めたMとの生活も充実させたいし、店も活性化、維持させたい。それだけでもかなりの時間がとられるというのに、今、俺は「復活した作家」としてやらなくてはいけないこと、やりたいことがモグラ叩き状態だ。今日の午後も、自分の家族の歴史を戦後史と重ね合わせて書く予定のセミドキュメント作品の取材を電話でし終わった次の瞬間には、8/22、23に公演予定の『リテイク』(如月皐バージョン)の台本改訂作業に入り、途中で思い出して新作『コレド洪水事件』の主演俳優探しに知り合いの事務所に電話をかけだしている。集中して一つのことをすれば、もっと早く欲望が満足するのになァと自分でも思うけど、俺の欲張りは直りそうにない。そして、今日はイベントもないし、開店を少し遅らせようと思っていたら、旧知の有名脚本家Aが作家教室の生徒たちと店の近くにいるからすぐ店を開けろと電話があって、断ろうと思えば断れたのに「店を維持」する為に、開店を遅らせる処かいつもより30分も早く開店してしまった。結果的には、早く開店したおかげに近所に仕事場を持つ脚本家のYさん、北海道のテレビ局のプロデューサーHさん、声優のHさんの来店に間に合ったから助かったのだけど。他にお客さんはAN嬢、某国営放送局のIさん、法律事務所勤務のNさん、妖しい魅力の歯科医Sちゃんなど。一時間早く出勤したからというのじゃないけど、お客さんが一時にはいなくなってしまったので早めに閉店。近所の24時間スーバーで安売りしていた天ぷらを買って、部屋で天丼にして食べて寝る。

2008・7・29

2008年07月30日 | Weblog
午後から公演まで三週間余りとなった『リテイク』(如月皐バージョン)のリハ。俳優は俳優なりに、演出家は演出家なりにそれまで同じ台本でそれぞれにイメージしていたものを、実際に体を動かしてみることで壊したり修正していく。でも、その作業もまだ始まったばかり。これから公演までにどんな形に変身していくのか自分でも楽しみだ。六時からそのまま営業開始。今日は早い時間からシナリオ修行中のNさん、近所の広告代理店社長のIさん、イベントスペースでの公演を希望している俳優さんたちを引率してきてくれた女性編集者のYさん、芝居のチケットを買ってくれたテレビAのIさん、同じく社員にもみせようと10枚ものチケットを買ってくれた制作会社IのY社長とMさん、大手出版社Sの編集者SさんとライターのAさんなどが来店して、さらにその後も常連のFさん、マネージャーのHさん、近所の制作会社の女性社長FさんとLさん、テレビTの女性プロデューサーTさん、半年ぶりに来店してくれた俳優事務所社長のBさんとマネージャーのMさんなどでまぁまぁの賑わい。リハからそのまま開店準備に移ってしまって殆ど何も食べてなかったので、帰りMと久しぶりに食べたラーメンが胃に染みる。

2008・7・28

2008年07月29日 | Weblog
昨日の墓参で礼服が汗だくになってしまったのでクリーニングに出そうとしたのだけど、出す寸前で何故か近い内に使う予感がして出すのをやめた。婚礼は急に招待状は来ないから、使うとしたら葬式なんだけど、それがシモゼンの葬式だとは思わなかった。シモゼンこと下村善二さん、享年67歳。七、八年前、情報番組のディレクターの足を洗ったシモゼンは、広尾のコレドを俺から昼間又借りして稲庭饂飩の店をやったのをきっかけに、四年前には銀座の裏町で飲み屋を始めていた。俺とは仕事上のつながりはない。通っていた飲み屋が一緒だったというだけだ。でも、その飲み屋『おおくら』はひどく家族的な店で、常連が本当の家族みたいに集っては旅行や花火見物に出かけていたもんだから、シモゼンともいつのまにか親しくなっていた。特に同じ「家族」だった映画監督の藤田敏八さんが病気で入院して数カ月後に亡くなるまでは「長男」のシモゼンを中心に「家族」がまとまった気がする。今日、シモゼンの訃報を「おおくら」の何人もの常連が伝えてくれた。しばらく疎遠になっていた「家族」がシモゼンの葬式で再会する。

2008・7・27

2008年07月28日 | Weblog
午後から北鎌倉にある円覚寺に父方の祖父の墓参りに出向く。祖父と言っても亡くなったのは八十数年前だし、写真すら見た記憶がない人だ。四年前に亡くなった父も幼少期しか一緒に過ごさなかったらしく、祖父の思い出話も聞いたことがない。そんなことだから俺としては何の感情も故人に沸かないのだが、父がいなくなった今、桃井家の跡取りとして先祖の供養を勤めていこうと思い始めたのだ。それにしても祖父の遺骨が国宝の寺で供養されているというのはちょっとびっくり。続いて電車とバスを乗り継いで今度は父と祖母の墓のある鎌倉霊園へ。祖父と一緒の墓ではないのは何故なのか父に聞くのを忘れてしまったが、色々あってのことなのかと考えてしまう。墓参りを終えてMと従兄弟のS君と小町通り奥にある焼鳥屋でビールと日本酒。続いて二三軒先にある女優Kがやっているバー『L』へ。Kとは同じ小学校の同窓生で、かつ飲み友達として長い間一緒に過ごしてきた仲だ。仕事も脚本家時代、昼帯ドラマを含め何本かしたことがある。でも、ここらでガチンとぶつかった芝居を一緒にしてみたいという思いを強くする。飲んだ勢いで言っているだけじゃなく、近い内にちゃんと事務所の社長に会おう。   

2008・7・26

2008年07月27日 | Weblog
夕べエアコンをつけたまま寝た為か、朝からだるい。食欲もない。普通なら12時頃軽い食事をして出かける前にズラッと好きな料理を並べて食べるのだけど、1時になっても2時になってもパン一枚も食べる気がしない。でも、今日はパーティがあるし、4時には準備の為に店に行かなくてはいけないので、近くのスーパーで安売りしていた刺身の盛り合わせを買ってきて、茹でたアスパラと納豆、小松菜のおしたし、スクランブルエッグ、揚げの味噌汁で無理やり食べる。パーティは20人。そうテンパルこともなく、10時過ぎには終了。後片付けも簡単に終わったし、カウンターのお客さんもデザイナーのNさんしかいなかったので、11時半には閉店し、パーティで残った料理を持ち帰って食べる。テレビを点けたら、明石家さんまと大竹しのぶの元夫婦がトークしている。こういうのって、昔の蝶々雄二とかを思い出してしまう。コメディアンのさんまはともかく、演劇人として今最高の評価を受けている大竹しのぶが相方を努めているのはスゴイ。

2008・7・25

2008年07月26日 | Weblog
汗の季節だ。エアコンが効いた部屋からカーテン一枚で仕切られた台所に入ると、そこは熱気ムンムンの別世界で、料理を作っている間にTシャツはグショグショになってしまう。でも、まだ室内はマシだ。まだ昼間の熱気が残る四時過ぎに、ママチャリに荷台一杯の食材を積み、積み込めなかったスーパーの袋をハンドルにかけて赤坂から乃木坂までママチャリを押して歩いて帰ると、出かける時に着替えたばかりのTシャツは又してもグショグショになってしまう。汗をいつもの年よりかく気がする。年齢を重ねると汗をかきやすくなるものなのか?それはともかく汗を一杯かくとグッタリしてしまって、開店した頃には早くも疲れている。これからがホンバンだというのに本当なら困ったものなんだけど、開店後は仕事だと思わないことにしているから気にしない。お客さんと話したり、お酒を飲んだり、料理を作ったりは俺の趣味なのだから。今日は昨日と違って七時前に某国営放送局のIさんたちが三人で来てくれたのに始まって、二時半にヴォーカリストのVが帰るまでお客さんが途切れることはなかったので、「趣味の時間」がかなり充実した一日だった。

2008・7・24

2008年07月25日 | Weblog
書くことがない。そりゃタンゴパーティがあったことはあったけど、インストラクター二人を除くとゲストは三人だけで、エピソードも売り上げもない。でも、イベントスペースに人影があっただけマシで、カウンターは十時になっても十一時になっても十二時になっても人影はない。いや、霊感のない俺には見えなかっただけで、最近亡くなったマネージャーのAさんや放送作家のSさんや長老脚本家のSさんたちが座っていたかもしれない。十年前に亡くなった監督のPさんもいたかもしれない。四年前に死んだ父もいたかもしれない。でも、彼らは霊界の住人だし、こちらの世界の人は誰もいない。そう、ノーゲストなのだ。何時になってもノーゲストなのだ。一時近くになって我慢できず二人で酒を飲みだして一時半まで我慢したけど、とことんノーゲスト。こんな日はなかったことにするしかない。

2008・7・23

2008年07月24日 | Weblog
そりゃまだ結婚して一年未満の新婚だから部屋ではイチャイチャする。店に行く途中の道でも手ぐらいつなぐ。でも、店の階段を降り始めた瞬間、俺とMの間から新婚夫婦のイチャイチャムードは消える。別に無理に消そうとする訳ではない。トイレ掃除から始まる開店準備、仕入れ、料理の仕込みなどにバタバタ動き回っていてそんな余裕なんかなくなるのだ。そしてお客さんが来てしまえば、夫婦であって夫婦じゃなくなる不思議な関係になる。ところが、開店準備は終わったというのにお客さんがいつまでも来ないと妙なことになる。二人きりだし、イチャイチャしてもいいんだけど、そこは「神聖な職場」という意識もあるし、現実にそんな気持ちにもならない。でも、だからと言って店の経営のことばかり二人で話し合っていても変だし、時間の使い方、過ごし方に困ってしまうのだ。今日も十時過ぎにシナリオ学校のI君とT君が来てくれるまで、二人して無言の時間を長く過ごすことになってしまった。新婚夫婦が二人きりでいる時間を「邪魔」されて喜んでしまうなんて妙なもんだ。その後もAN嬢、SミュージックのMさん、Kさん、Oさん、H君、制作会社CのOさん、美人姉妹の妹Aさん、常連のFさんなど「邪魔」してくれる人たちが何人か来てくれて、二時半過ぎまで何とか「新婚夫婦」は時間を過ごすことができたのだった。

2008・7・22

2008年07月23日 | Weblog
この二週間、喉に異物感を覚え、痛みも感じる様になったので、今日意を決して日赤病院に出向く。年齢が年齢だし、煙草ももう四十年以上吸い続けている。喉頭ガンだったとしても不思議はない。待ち時間の間、Mとのこと、お店のこと、まだ書いてない原稿のこと、様々な感慨が頭の中を渦巻く。処が二時間後、漸く診察したくれた医師は、深刻そうな顔をした俺に「どこも異常ありませんね」と軽い口調で告げる。煙草で軽く炎症を起こしているだけだという。途端、拍子が抜ける。喉頭ガンはともかく、ポリープができている位いわれると思っていたのに、今までの深刻さがこれじゃピエロだ。いつもこうなのだ。去年も脳疾患を疑っていくつかの検査をして貰ったけど、どこも異常なく、ストレスが解消したら、あっという間に痛みがなくなっていた。ホント、幸せなことだけど、俺に重病は似合わないのだ、ということにしておこう。

2008.7.21

2008年07月22日 | Weblog
リィーディングシアターおみみみのマチネとソアレ二回公演の為、一時過ぎに店に出て、厨房に入った途端、冷蔵庫のドアが開けっ放しになっているのに気付く。金曜日、何かの拍子にドアを開けっ放しにして、そのまま気付かずに帰ってしまったみたいだ。ヤバイ!慌てて中の食品をチェックしてみる。案の定、今日の為に金曜日に作っておいたカレー、アラビアータのソース、レバーの赤ワイン煮などがこの暑さで全滅。バターは溶けて、カマンベールチーズはドロドロ。卵も不安だ。仕方なく大急ぎでスーパーに買い出しに行って、開場時間までに作れるだけ作る。全くバカの限りだ。おまけにこんな悪戦苦闘の末にフードのオーダーがマチネはゼロと云うんだから笑ってしまう、泣いてしまう。自己嫌悪から精神的疲労。それが肉体に影響を及ぼしたのか喉が痛い上に胃腸がおかしくなって、昨日はあんなに食べたのに、今日は出かける前に食べた卵チャーハンとソーセージだけ。明日は病院へ行こう。