桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・2・26

2006年02月27日 | Weblog
目覚ましを7時半にかけたつもりだった。ところが8時半を過ぎても鳴らないので目が覚めた。どうやら午前7時半を午後7時半にセットしてしまったようだ。とにかく慌てて飛び起きて顔を洗う間もなく9時前に自転車で店へかけつける。常連の演出家Sさんのテレビドラマの撮影待機場所に店を貸すことになっているのだ。間一髪セーフ。旧知の女優Oさんが出演しているので、撮影までの間お喋り。昔は酒、煙草、男の三点セットで人生を送っていた彼女も今は三点セットを全てやめ、マンションのローンが大変なのよとぼやくのを聞いていると、時の流れを確実に感じてしまう。1時から今度は秋に上演予定の俺が演出する一人芝居のリハ。作家でプロデューサーの荻原美和子さんと女優の高山真樹さんと5時まで。まだ月に一度の稽古だけど、どんどん形が見えて来る。終った後、一旦部屋に戻る予定だったが、ロケを終えた演出家のSさんが5時過ぎに飲みに来てしまったので、そのまま営業してしまう。と云うか、俺もカウンターに座って飲み始める。しばらくしてW大生のYちゃんと近所の常連Mちゃんも加わって、Tちゃんもいれると、かなりいい女揃いのクラブ風。12月から働いて貰っていたAちゃんが先週で辞めてしまったので、日曜祭日営業をどうしようかと思っていたけど、俺がこうして楽しむ形を作れば店に出るのも億劫じゃない。2時近くまでYちゃん相手にワインを二本。いい気持で酔っぱらってこれで帰れれば文句はなかったけど、厨房を見たら汚れた食器の山。深夜、一人黙々と洗い続けている内に、酔いはすっかり覚めていた。

2006・2・25

2006年02月27日 | Weblog
夕べ部屋に帰ってから女友達のAと長電話したり、どうしてもその日の内にしておかなくてはならないことに時間を取られ、12時に睡眠時間三時間で店へ。今日はY嬢プロデュースの『浜野ケイ子バレンタインライブ』があるのだけど、問題は一人千円で50人分の料理を頼まれていること。50人分のパーティだったら料理の種類を増やして一品当たりの量を加減出来るのだけど、一人一人にプレートで出すとなると、一品についてちゃんと50人分作らなくてはならなくて、例えばタラモサラダもジャガイモを50個煮て、皮をむいて、マッシュにするなんて気の遠くなる作業から始めなくてはならない。おまけに小さいテーブルを二人で使う為、プレートの大きさが限られている為、何種類もの料理を作る訳にはいかず、ぎりぎりまで考えた末にタラモサラダの他にチーズのカナッペ、生ハムのサラダ、ペンネアラビアータの四品にすることにする。5時からLちゃんTちゃんと三人、手分けして四種類のフードをまるでお弁当屋さんみたいにプレートに盛りつけていく。何とか入場時間までに間に合ったものの、さて、今度は50個のプレートを置いておく場所に困る。バーカウンターは一般のお客さんも入って来る可能性があって使えないので普通ならテーブルにどんどん置いて行ってしまうのだが、主催者にお客さんが来てから一人一人にだして欲しいと言われ、仕方なく厨房のありとあらゆる場所に50個のプレートをおいておくはめになる。入場者が予定数をオーバーした為、料理が足りなくなったり、更に色々問題は起きたが、ゲストで来た内藤陳さんのコントや林隆三さんのピアノ演奏で盛り上がって、イベントは十時近くに無事終了。寝不足とお昼からずっと働き続けたこともあって口を利く力もない。土曜日でお客さんも少なく、翌日も朝九時に店にこなくてはならないので12時過ぎに閉店。部屋に帰って食事をした後、二時過ぎ眠る。

2006・2・24

2006年02月25日 | Weblog
いつも陽気な京都育ちの女優Aちゃんが店に入って来て俺に悲しい顔を向ける。婚約者から貰った指輪に飾られてあった真珠がいつの間にかなくなっているのをウチの店に入る時に気づいたらしい。不注意でなくした訳ではないんだから彼も許してくれるさと慰めるものの、落ち込んでいる様が痛々しい。それでも何とかいつものAちゃんを取り戻して、京言葉ではんなりと話しかけると、隣にいたAN嬢がいつもの「女」に憑依することが出来ず、尚また「男」の部分をAちゃんの京言葉に完全にノックアウトされている様が面白い。その傍で看護婦のRさんはAちゃんの「異文化」に全く反応せず、同僚の放射線技師の女性と各病院の給料の比較と待遇の違いを延々と喋り続けているのがおかしい。詩人のNさんは本業である大手鉄道会社の同僚部下を連れてきてウチの店のPRを始める。しばらくして来月パーティをやりたいんだがと俺に遠慮がちに告げるのが嬉しい。銀座ママのKちゃんは自分の店で働く女優志願の女の子を連れてきて、某有名劇団の試験に合格するコツを教えろと俺に迫る。俺がその女の子に真剣に答えていると、私の相手もしなさいよと拗ねるのが可愛い。近所のMちゃんは昨日に続いて来店して、二日連続で来たりすると桃井さんを愛していると誤解されちゃうかなとマジな顔で云うのが憎い。気難しく無口なカメラマンのYさんはそんなMちゃんにウチの店で何度か会う内、いつの間にか彼女のお喋りに乗せられてかなり饒舌になっているのが意外だ。そんな痛々しくて、面白くて、おかしくて、嬉しくて、可愛くて、憎くて、意外なお客さんが来てくれて、そしてお喋り出来て、よかったにはよかったけど、お客さんの数としてはかなり物足りない金曜日の夜。

2006・2・23

2006年02月24日 | Weblog
三時からLちゃんライブのリハを終えた後、「詩人Nの朗読の夕べ」の企画を西麻布でYと打ち合わせ。ポルトガルの詩人ペソアから辻仁成の作詩した歌詞に至るまで柄にもなく詩について語る自分がおかしい。八時過ぎ店へ。一時半に最後のお客さんが帰るまで今日も総計9人と云う淋しさ。もうこのことについて喋る元気はなくなっている。トリノ五輪が原因としか思えない。早く終れと呪うのみ。二時過ぎ部屋に帰ってAにメールの返事。やりとりしている内、面倒臭くなって電話で話しだす。気づいてみたら五時近く。三時間近くもお喋りしているなんて、まるで女子高生。店の問題から逃れる様にYやAと話し続けた一日だった。

2006・2・22

2006年02月23日 | Weblog
ホント、お客さんが来ないなァ。一昨日は十人、昨日は八人、そして今日も九人。売上も四万、三万、三万なんて、やばすぎる。別に二周年感謝フェアをやったことが原因とは思えないし、その後にテーブルの配置を変えたことが拙いんだよと云われたって、来ないお客さんは知らない筈だし、どうなってしまったのかサッパリ分かりません。ガランとした店内で聞こえて来るのは数人のお客さん相手にライブのリハ替わりに歌うLちゃんの声。何だか上手くなったなぁと思ったけど、これだけ店が暇でお客さん相手に一日何回も歌っていれば当たり前じゃないかと僻んでしまう。そんな悪い精神状態でいると、閉店後、予定のあったLちゃんを無理やり残して日頃の生活態度が悪い云々と酒を飲みながらお説教を垂れたりする嫌なオヤジを演じてしまう。嗚呼、どんどん自分が嫌になる。頼むから俺を嫌なオヤジにしないでくれ。

2006・2・21

2006年02月22日 | Weblog
お昼、Sさんと秋の企画を打ち合わせ。二時間程幾つかの案を提案しあって各々検討することにする。3時にLちゃんライブのリハの為に店へ。LちゃんとTちゃんと三人、メインステージを何処にするか、照明をどうするか、客席の配置をどうするかなど素人なりのクラブ活動的ノリで過ごす。5時前、銀行に寄って一旦帰宅。雑用をこなした後、コレド通信3月号を書き始める。今回の常連客列伝にはYさんとNさんを取り上げることにする。9時に再び店へ。最初のお客さんは俳優のTさん。彼と演出家のSさんの話をしていたら当人のSさんが現われてびっくり。偶然は続くもので、カウンターでTちゃんと脚本家のYさんの噂をしていたら、またまたYさんが買い物に出かけたLちゃんに「客引き」されて来店。今日はそんな偶然の神様が店に住みついているのだったらと、何人かの噂話を殊更してみるが、二度あることは三度なく、お客さんはSさんが待ち合わせた女優のAちゃんとプロデューサーのSさんだけと云う、とんでもない淋しさ。二月はイベントがないこともあって低空飛行が続いている。このまま行くと去年の二月の売上を下回りそう。それなのに消費税や工事代金の支払いが待っている。かなりやばい。

2006・2・20

2006年02月21日 | Weblog
この間撮影したLちゃんライブで使う映像の編集がうまくいかないので、パソコンに詳しいAに千葉から遠路はるばる来て貰う。大して時間がかからない筈と思っていたのに五時間あまり。パソコンはやっぱり難しい(と思い込んでしまう)。店は月曜日で暇。広尾からの常連のOさんとSさん、二人はちあきなおみさんのファンだったことからウチの店に通いだして早八年。最近じゃSさんがLちゃんの中学の先輩だったこともあって依然より頻繁に通ってくれている。他にW大生のYちゃん、演出家のSさん、近所の出版社のOさんたち三人、同じくテキーラ好きのAさん、そしてソロデビューしたSさんとRちゃん、遅くなって宝石デザイナーのAさんの11人だけ。閉店後、カウンターに並べておいて残った料理をLちゃんと食べてからAに編集して貰ったビデオを見て、リハを少し。後ライブまで十日。果して何人位の人が来てくれるのか?

2006・2・19

2006年02月20日 | Weblog
気づいてみたら今日は予定が一杯だった。Yちゃんと殻つきの生牡蠣をお腹一杯食べようと云うことになっていたし、母にも会うことになっていたし、その帰りにOさんにも会うことになっていた。ところが、Yちゃんとは時間が食い違って駄目になり、母は体の具合が優れず順延になり、Oさんとの打ち合わせは電話で済ますことになって、店に出るまでの時間がポッカリ空いてしまった。いや、空いた訳ではない。汚れたクロスを十数枚洗濯しなくちゃいけなかったし、この二日間さぼってした経理事務もあったし、Lちゃんライブで使うビデオの編集もしなくてはいけなかったし、何故かなくなってしまった店の看板も作らなくてはいけなかったので、黙々とこなしたけど、途中でプライベートな予定を優先させていたらこれら雑用がまた翌日まわしになっていたことに気づいて、つくづく俺って、やりたいこととやらなくてはいけないことに追われている人間だと思い知る。一日は24時間しかないし、一生だってもう最終コーナーに来ている。それなのにまだ恋はしたいし、別に女友達とも仲良くしていたいし、母とも会いたいし、美味しいものを食べたいし、作って誰かに食べさせたいし、書きたい芝居はあるし、イベントのプロデュースはしたいし、ちょっと欲張り過ぎなのだ。でも、だからって年相応に落ち着いて俳句を読んだり読書三昧する生活なんか出来そうにないし、多分このままバタバタしながら行くのだろうと観念して、八時過ぎに店へ出向く。日曜日で他に空いている店がないと映画監督のNが新作のスタッフキャストを連れて来店。遅くなって近所のホテルに泊まっていた西宮在住のイラストレーターが表の『すき焼1200円』と云う汚い看板に誘われて女友達とフラッと入ってきたりして、2時まで。店を閉め、誰もいないガランとしたイベントスペースに何も考えずに佇む空白の十分間。

2006・2・18

2006年02月19日 | Weblog
前の晩(と云うか朝)、五時近くに店を出てソファで三時間うたたねしただけで十一時開演の『二月大歌舞伎』に出かけた俺が馬鹿だった。誘ってくれた女友達のSに席はどうする?と聞かれ、「任せる。二人分後で払うから」と見栄を張った俺が馬鹿だった。Sが予約した席は一等席お一人様15000円、二人で30000円。そのことを知った俺の顔は動揺、蒼白、困惑のミックスジュースだったに違いない。でも、旅行にでも行ったつもりになればいいんだ気持を切り換える。最初は芝雀と橋之助と歌昇の『春調娘七種』、それなりに楽しめた。次に幸四郎の『陣門・組打』、途中から睡魔。気づいたら幕が閉まっている。休憩時間を挟んで橋之助と菊之助の『お染久松』、日本舞踊だけど何故か眠らない。菊之助はお姉さんより綺麗だ。最後は吉右衛門の『幡随長兵衛』、冒頭は何となく覚えている。でも、後は全て夢の中の出来事とお芝居がダブってSに起こされるまで完睡。ウーン、ウーン、三万円出して眠りに行っただけみたいな俺。歌舞伎座ホテルは高かった。六時過ぎSと別れて一旦部屋へ。ひと眠りしようと思ったけど、土曜日でそう期待は出来なかったし、12時には店を閉めて帰ってからゆっくり眠ろうと店へ出向いたら、こういう時に限ってお客さんが続々と来てくれる。昔の飲み仲間でK出版社を二年前に退職して今は悠々自適のIさんが幼なじみのOさんと、続いて近所のMちゃん、テキーラ好きのAさん、Fさん夫妻、その友人のB君、Lちゃんの友達のAちゃん、二週間前初デビューしてくれたKさん、某有名音楽版権会社のXさんたち、十二時過ぎに宝石デザイナーのAさんが友人五人と。結局3時まで十数人が残って、俺が店を出たのが4時近く。その時には眠気が通りすぎていた。

2006・2・17

2006年02月18日 | Weblog
11時に起きて、予てから約束していたKと西麻布でランチ。まだ知り合ったばかりの人だと喋ることが一杯あって、あっと云う間に時が過ぎる。お茶を挟んで五時間。生い立ちから話すことがあるんだから時間が足りる訳ない。一旦部屋に戻って六時過ぎに店へ。今日はD通のE君の結婚を同期の仲間たちでお祝いする集まりやYさんの予約もあり、ある程度は忙しくなると踏んではいたけど、普通のお客さんもFさん夫妻、法律事務所勤務のNさんたち、N女子大のYちゃんとモデルの友達Aちゃん、JちゃんKちゃんコンビ、出資者の一人Uさんたち、某財団の研究者Rさん、マネージャーのSさんたち、建築事務所勤務のMさんたちなどが来店してくれた為、料理がどんどんなくなり、かなり焦って作り続ける。最後はYちゃんとAちゃんが四時まで。明日は九時起きで午前の部の歌舞伎を見に行くことになっていて、ちょっと辛かったけど、初めて来店してくれたAちゃんが居心地のいい店ですねとお世辞でも言ってくれたので救われた。