桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2005・3・29

2005年03月30日 | Weblog
昨日の日記は大袈裟すぎた。ちょっと反省。でも、今日から『フリードリンク3000円』を清水の舞台から飛び下りる気持で始めた。九時までに来店したお客さんに限ってだけど、何杯飲んでも3000円。ビールを6杯飲めば通常料金ならチャージ税込みで5000円近いんだから2000円近く安くなる。若いサラリーマンでも3000円なら気軽に出せる金額だろう。勿論それだけ店は売上が少なくなる訳だけど、それでもいい、一人でも多くのお客さんが低料金故に来てくれて十円の利益でも上がってくれればいいと思った。で、表に看板を出した。で、お客さんは?……ゼロ……はい、一人もいませんでした。すっかり当て外れ。まぁ、看板を出した時間が6時だしね、看板も急遽印刷した目立たない奴だったしね。まぁ、徐々にさ。500円ランチの時だって20人のお客さんがコンスタントに入って来るまでに何週間もかかったんだしとスタッフのLちゃんにクシャミを我慢しながら言い訳する。クシュンクシュンと鼻をかみながら頷くLちゃん。そう、二人とも花粉症真っ盛り。頭がボーッとしていてそれどころじゃないんです。まぁ、花粉症の季節が終る頃にはこの『フリードリンク3000円』も定着しているんでは……(と俺も鼻をかむ)

2005・3・28

2005年03月29日 | Weblog
早い時間客が入らないとか、何をやっても売上が伸びないとか、この日記でぼやいたり、嘆いたりしている余裕はもうないぞと誰かに言われた気がした。そんな暇があったら十円でもいいから利益を上げろ。一人でも多く客を地下に引っ張りこめ。そいつは次第に声を大きくする。どん底の今こそ挑戦の時だ!……分かった、分かったよ。お前に言われなくたって俺はやるさ。どん底に落下したバネを利用して俺は飛び上がってみせる。マイナスにマイナスを足したってマイナスだけど、マイナスをかければプラスになる。それは今までの人生で俺が何度も経験していることだからな。まァ見ていろよ。みんながびっくりする様なことが今日明日の内にコレドに起こるから。コレドは生まれ変わる。凄い美人に生まれ変わる。乞ご期待。

2005・3・27

2005年03月28日 | Weblog
七週間ぶりに日曜日にイベントやパーティがなく、完全休日。広尾にワインの仕入れに行ったついでに当時同じビルの階下で雑貨店をやっていたKさんの店を覗き、お互いの店の営業不振を嘆きあう。二人共、自分の店の改善策については頭がめぐらないが、相手の店の改善策については次々にアイデアが出る。無責任だからか?それにしても広尾は乃木坂に比べて賑やかで華やかだ。何処に行っても外人ばかり。こんな街で五年半も商売していたなんて信じられない。そう言えば英語しか喋らないアメリカ人の客の応対に苦労したっけ。メニューを説明しろと言われたって、『ヌードなコロッケ』や『するめサラダ』を俺の拙い英語で説明出来る訳ない。でも、それも今となっては懐かしい思い出だ。もうコレドは広尾にない。乃木坂にあるのだ。まだ八時だと云うのにコレドがあったビルに明かりはなく真っ暗だった。

2005.3.26

2005年03月27日 | Weblog
ウチの店はバーだ。表の看板にも『BAR COREDO』と書いてある。一般的にバーは酒を飲むところで、食事をするところじゃない。従ってバーには何処かで夕食を終えた後にゆっくり飲もうと思って集う人々が多い。ウチの店も例外じゃない。9時、10時までお客さんがいないことは珍しくない。でも、それじゃ困る。六時に開店して三、四時間は店が遊んでしまうからだ。で、何とかその時間にお客さんに来て貰おうと料理を用意する。料理があれば一軒目の店として使って貰える。ところが料理人を雇ったり、厨房設備を整える経費を割けないので、素人料理にならざるえない。素人にもプロ並みの料理人はいるし、素人料理にも旨い物はある。でも、素人料理は所詮素人料理と思われがちだ。一人で飲む時の肴としては通用しても、接待や友人同士で食事をしようと云う時にはイマイチになってしまう。結局、バーが料理を用意しておいてもその時間が遊んでしまうことには変わりない。やっぱり仕方ないか?……いや、仕方ないじゃすまされない。例え素人料理と言われようと何とか魅力的なフードメニューを作って早い時間をお客さんで一杯にしたい……そんなことを店を七年前に始めてからズッと思って来た。でも、試行錯誤、悪戦苦闘。創作料理めいた色々なメニューを作ってきた。今はなくなってしまった懐かしいメニューも一杯ある。高い原材料費をかけられないから、トコトン低コストで工夫した料理の数々。でも、最近それじゃ駄目だと思い出した。いい材料を使おう。いい食材を使って美味しい料理を作ろう。コストがかかってもいい。それでお客さんが来てくれる様になるなら少々のコスト高は目じゃない。それが顕著に現れたのがウチの店のすき焼だ。一人前1200円のすき焼に百グラム700円の和牛を使い、他の材料もいれると800円近くかかっている。お米も十キロ5000円以上のコシヒカリだ。カレーライスにも五種類もの香辛料やパウダーを使っているため、十人前を作るのに香辛料だけで五百円以上かかってしまう。最近始めたおまかせ小皿料理には鰻や数の子など高価な食材をどんどん使う。好評のオムライスも一個三十円近い卵を使う。それで料金を目一杯リーズナブルにする。例えば昨日用意したおまかせ小皿料理は、数の子と京みずなのサラダ、自家製松前漬け、カプレーゼ(モッツァレラチーズとトマト)、スペアリブのジンジャエール煮、鰻豆腐(冷や奴の上に鰻の蒲焼とネギのみじん切り)、タラモサラダなどの六点で二千円だ。充分リーズナブルと思うんだけど、どうなんだろ?いや、これからは九時ごろまでの時間をこの種のフード目当てのお客さんで埋めて見せると、お客さんが誰もいない店内でLちゃんに見栄を切った。

2005・3・25

2005年03月26日 | Weblog
今日は金曜日で給料日。普通ならお客さんが一杯来ると思いがちだが、何故かウチの店は金曜日が不調で、給料日も不調。両方が合わさった今日はとても望み薄。おまけに今日はサッカー「日本×イラン」戦がある。もう開店前から試合放棄の気分。案の定、早い時間お客さんは近所の出版社のMさん、マネージャーのSさんとプロデューサーのKさんだけ。その三人もサッカー観戦に間に合うように帰ってしまう。遅くなって俳優のTさん、広尾時代からの常連のKさんが恋人?のHさんと一緒に来店してくれたけど、今日の来店者は合計6人。明日がある、明日がある、明日があるさ。

2005・3・24

2005年03月25日 | Weblog
花泥棒を許すか、許さないか?常連のNさんは食事を終えると「ちょっと桜の具合を見て来る」と云って前の乃木神社に出かけて行くと、しばらくして桜の小枝を数本手に戻って来て「店に飾ってくれ」とLちゃんに手渡した。それを聞いた俺は何故か無性に腹立たしさを覚え、即座に「持ち帰ってくれ」と声を荒らげた。たかが桜の小枝か?されど桜の小枝か?腹立たしさを覚えたとすると俺の中では「されど」なんだろう。俺の憤りにNさんは早々に引き上げて行った。でも、ことはそれで終らなかった。二時間ほどして再び来店したNさんはいつもの様に酔っていた。Nさんの酒癖の悪さは相当なものだ。それに今日は花泥棒の一件が尾を引いているのか、酒癖の悪さが一気に出た。俺がイベントスペースの方のお客さんと話している間に、Nさんはカウンターにいたお客さんに携帯電話がうるさいと掴みかかっていた。俺は慌ててNさんを引き離し表に連れ出すと「出入り禁止」を言い渡した。連続来店記録を作ったNさんだけど、一日に二度も三度も来店してくれたNさんだけど、もう来て欲しくないと思った。花泥棒の罪は重い。

2005・3・23

2005年03月24日 | Weblog
スタッフのLちゃんは18歳。魅力的な若い女だし、男のお客さんにもてるのは当たり前だ。彼女目当てに来るお客さんも少なくない。でも、Lちゃんが普通の若い女と違うところは、女性客にももてるところだ。今日も遅い時間に女優IさんとマネージャーのKさんとTテレビのAさんの女性三人組が来店して俺と話していたら、いつの間にか彼女たちの視線と関心はLちゃんの方に移動してしまい、終いには女同士で話が盛り上がり、俺はすっかり邪魔者扱い。厨房で皿洗いに精を出すことになってしまった。確かにLちゃんの人生は、普通の大人がびっくりする程波瀾万丈だ。おまけに自分の人生を語る彼女の話術はとても18歳の女の子とは思えない位巧みだ。俺は皿洗いをしながら恐れる。このままだと近い内に彼女にウチの店を乗っ取られてしまう。どうしよう?

2005・3・22

2005年03月23日 | Weblog
今日五時半に店に出てから十時頃までに俺がしたこと。夕べのイベントのままになっているテーブルと椅子を元の状態に戻すこと。イベントスペースの掃除。照明の調整。買い物。レバーの赤ワイン煮、松前漬、煮玉子などの料理。レンジ回りなど調理場の清掃。顧客名簿の整理。イベント申込者への覚書郵送。Lちゃんの給料計算。事務室の整頓……はい、暇だから出来たことです。はい、十時過ぎまでお客さんはLちゃんのお友達のAちゃんしかいなかったから出来たことです。本当に暇でした。今日はこれでおしまいかと覚悟しました。Lちゃんにも早く上がっていいよと言いかけた程でした。ところが、ところがです。十時過ぎに常連のNさんが来店したのを皮切りに、近所の会社経営者Sさんたち、文化庁のTさんたち、S出版社のHさん、新たに常連になったSさん、E映画制作会社のHさんとD広告代理店のFさんとUさん、二年ぶりにコレドを訪れた俳優事務所社長のAさんとスタッフのTさん、今日は大胆な胸開けファッションで現れた近所のMちゃんなど続々と。結局お店を閉めたのは三時過ぎ。勿論、Lちゃんは残業。もう少しお客さんの来るのがずれてくれたらと思うものの、それはこっちの身勝手。全くうまくいかないものです。

2005・3・21

2005年03月22日 | Weblog
「元気な人々」の三日目。ソワレには石井美奈子さんのお兄さんのカールスモーキー石井さんたちも来場して盛況。そんな中、祝日は通常営業はしてないのだけど、神戸からKさんが上京して来ると云うので料理を用意する。Kさんと最初に会ったのは二十数年前、彼女はまだS女子大の学生だった。でも、彼女が卒業して神戸に戻ってからは一度あるイベントで偶然会ったきりで、殆ど二十年ぶりの再会だ。Kさんは少なくとも見かけは変わってなかった。そりゃ多少は老けたけど、俺にとってはまだ当時の女子大生のままだった。でも、何かが違う。多分、この二十年の間に彼女が阪神大震災を挟んで娘三人を育てて生きて来た人生と俺のチャチャラした人生が全く接点がないまま過ぎて来てしまったことによるのだろう。噂話の材料もないし、共通の話題もない。でも、二十年の歳月を経て会いたいと思い、会ったことが嬉しい。そんな再会の場を与えてくれた飲み屋と云う仕事に感謝。そんな再会劇に俺が酔っている間、後片付けをしていたLちゃんが文句「桃井さんだけいい思いをしてずるい」ごめん、Lちゃん。

2005・3・20

2005年03月21日 | Weblog
石井美奈子主演の『元気な人々』の二日目。マチネもあるので12時に店へ。「一応」料理の準備をする。「一応」と云うのは、昨日は料理が殆ど出なかったし、今日も望み薄だからだ。でも、メニューには載っているし、ひょっとして今日は……とガスを付ける。だが、やっぱり「ひょっとして」はなかった。マチネとソワレ合わせてフードの注文は3オーダーだけ。マチネはともかく7時から始まるソワレで何故オーダーがないんだ?と愚痴りたくなるが、ないものはないんだから仕方ない。終演後もドリンクのオーダーも一つもなく皆あっと云う間に帰ってしまったので、こっちもあっと云う間に後片付けを終えて九時過ぎには店を閉めて帰宅。七週間日曜日がつぶれたスタッフのLちゃんには束の間の戦士の休息か?