ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ふきげんな過去

2016-06-22 23:56:12 | は行

自然なセリフと呼吸がうまい!
かなりウケました。


「ふきげんな過去」72点★★★★


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18歳の果子(二階堂ふみ)は
北品川にある食堂の娘。


毎日が死ぬほど退屈なのに
抜け出す術もなく
日々、不機嫌そうに、悶々としている。

そんなとき
果子たち家族の前に、
18年前に死んだはずの叔母(小泉今日子)が現れる。

「あたし、生きてたの」。

いったい、どういうことなのか?!


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劇団「五反田団」主宰、前田司郎監督作品。

「生きてるものはいないのか」
(12年、石井岳龍監督)の原作者であり、
「横道世之介」(12年、沖田修一監督)のシナリオも
監督と共同で書いている前田氏。


本作には自然なセリフ回しと呼吸のよさ
タイミングのよい笑いがあって
かなりウケました。
「うまい!」と膝を打つような。


死んだはずの人間(小泉今日子)が現れて、
それが失踪だったのか?いや、幽霊なのか?
その判断もわざとあいまいで

かつ
登場人物は、みんなちょっとおかしな人。

そうした
舞台っぽさや、ファンタジーっぽさが
映画にうまく転換されているのがいい。


登場人物を、むやみやたらに
叫ばせたりしないしね。
(舞台っぽさが、うまく映画につながらないと、そうなりがち。苦笑)


ひと夏の、日常の描きかたも、気持ちよくて
舞台となる古い木造家屋の土間で
一家が豆をむく、
そんな団らんが心地よかったです。


二階堂ふみさんの
ボヤきな演技も極上だった。


とてもオリジナルな作品なんだけど、
ワシにはどこか
「岡崎京子」が匂ったんですよね。
特に「リバーズ・エッジ」と「pink」。

舞台となるのがリバーサイドで
中洲のような原っぱで死体探しをしたり、
“ワニ”が話題になったりするのもあるけど

なにより全体を覆う少女=二階堂ふみの
どうしようもない「退屈」がそう思わせるのかもしれない。

と、思ってみていたら
エンディングの歌を歌ってるのが
ピチカート・ファイブの「Twiggy Twiggy」を作詞&作曲をした方だった!

あながち、ハズしてないかも?(笑)


★6/25(土)からテアトル新宿ほか全国で公開。

「ふきげんな過去」公式サイト

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