ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

もしも建物が話せたら

2016-02-17 23:49:59 | ま行

165分とボリューミーだけど
すっごくおもしろかった。

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「もしも建物が話せたら」80点★★★★


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ヴィム・ヴェンダース氏、ロバート・レッドフォード氏ら
6人の映画監督が

自ら、「思い入れのある建築」を選び
「もし建物が話せたら、僕らになんと言うだろう」
というテーマでそれぞれ30分弱で映画にした作品。

6人分なので
165分!とボリューミーですが
これは、その価値あるでしょう!

まず
テーマをそれぞれの監督がどう受け止めたのか。
そのうえで、どの建築を選んだのか。
その違いと個性がそれぞれに楽しめて
しかも、どれも美しく、おもしろく
ハイクオリティなのがさすが。


例えば
ヴェンダース監督のベルリン・フィルハーモニーホールは
女性として擬人化される。

まさに客船内のようなホールを移動する
優美で優雅なカメラワークは“天使の視線”そのものという感じで
サイモン・ラトルの指揮、オケの演奏もあり
見どころ満載です。

続く
ロシアの図書館は
とにかく魔窟のようなカオスの迫力がすごい。

個人的には
「100.000年後の安全」
マイケル・マドセン監督の
ノルウェーの刑務所が一番好き。

建物とその中にいる人々のストーリーが
しっかりかみ合っていた。
でもこれ、女性が撮ったのかと思ってたんだよなー。


建物の擬人化がうまかったのが
ノルウェーのオスロのオペラハウスを撮った
マルグレート・オリン監督。
「私にできることは、あなたたちのことを憶えていること」に
ツンと切なくなりました。

ロバート・レッドフォード監督は
過去映像などを使って
一番王道ドキュメンタリーっぽい。

ブラジル生まれの監督が撮った
パリのポンピドゥー・センターは
本当に空港みたいなんだなあと驚きます。

「古いパリの街に乗り上げた
ジュール・ヴェルヌの潜水艦か蒸気船みたい」とか
うまいこと言うなあと。

行ったことのないその場所のその建築を
深く知るおもしろさ。
「世界ふれあい街歩き」の建物バージョンともいえるかも。

ただ映画のなかで
各監督の「その建物を選んだ理由」とかは語られないので
ぜひパンフレットで見るか、
トーク解説付きで鑑賞したいですねえ。


★2/20(土)から渋谷アップリンクほか全国順次公開。

「もしも建物が話せたら」公式サイト

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