ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

2016-10-06 23:49:56 | は行

“受けの芝居”の名手、
コリン・ファースの特性が光りますなあ。


「ベストセラー 編集者バーキンズに捧ぐ」69点★★★★


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1929年、ニューヨーク。

編集者パーキンズ(コリン・ファース)のもとに
ある原稿が持ち込まれた。

大長編の小説で
各社をたらい回しにされていたが
一気に読み終えたパーキンズは
作者のトマス・ウルフ(ジュード・ロウ)に会う。

トマスは機関銃のようにしゃべり続ける
奇っ怪な人物だったが
パーキンズは出版を決意する。

大喜びするトマス。
だが、それには条件があった――。


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フィッツジェラルドやヘミングウェイを見出した
伝説の編集者、マックス・パーキンズ。

彼がやはり見出した
トマス・ウルフとの関係を描いた作品です。

パーキンズを演じるのは
コリン・ファース。

トマス・ウルフを演じるのは
ジュード・ロウ。

裏方である編集者に光を当てた意義は大きく
話は少々地味ではありますが
とにかくこの配役が絶妙。


パーキンズ氏は
本当に「編集者の見本」のような人物で
原石を見出す才能もさることながら、
その「辛抱強さ」がすごい。

相手が少々“おかしな”作家であっても
辛抱強く付き合い、才能を世に出す苦労をいとわない。

ときには苦境にある作家にポケットマネーで援助をし、
父親のように、親身に接するんですねえ。

演じるコリン・ファースが、そんな人物に見事にハマってる。


対するトマス・ウルフは
かなりの変人で奇人。

ハイテンションで飛ばしまくる彼の言葉を黙って聞き、
じっと見守ることができるキャラは
コリン・ファースにしかできないでしょ(笑)

パーキンズの妻役にローラ・リニー、
トマス・ウルフの恋人にニコール・キッドマンと
男たちを支えた女子配役も豪華であります。


映画のなかでパーキンズ氏は
自宅でもパジャマに帽子をかぶってて
ちょっとおもしろいんですが
これは実際にマックス・パーキンズ本人の癖だったらしいです。

ちなみに。
発売中の「ENGLISH JOURNAL」(アルク)に
コリン・ファースについてのコラムを書かせていただいてます。
彼のインタビューが収録されたCD付き。
勉強、しなきゃ!


★10/7(金)からTOHOシネマズシャンテで先行公開。10/14(金)から全国で公開。

「ベストセラー 編集者バーキンズに捧ぐ」公式サイト

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