ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

さとにきたらええやん

2016-06-07 23:45:30 | さ行

地元出身ラッパー「SHIGO★西成」氏の歌がよくて
頭んなかで、回ってます(笑)


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「さとにきたらええやん」71点★★★★


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大阪市西成区釜ヶ崎。
日雇い労働者たちが多くいるこの街で
38年活動している
子どもたちの居場所「こどもの里」=「さと」を描いたドキュメンタリー。

そこは
「誰でも利用できます」
「いつでも宿泊できます」
「利用料はいりません」という
すんばらしい“居場所”なんですね。


で、本作がデビュー作となる
重江良樹監督は

08年にボランティアで「さと」に関わり、
13年から撮影を始めたそう。

足かけ7年の関わりが
映画を見ていると、よーく伝わってくる。
監督に対する、こどもたちの信頼度が違うんですよね。


さとの設立者である
荘保共子さんは

「以前は労働者たちの子が大半だったけど、
いまは母子家庭の子や
親が病気(うつなども含めてね)という子がほとんどだ」と語る。
でも
「子どもが“親のしんどさ”を抱えていかなきゃならないのは同じ」と
荘保さんは言うんです。

見ていると、そのとおりだなあと思う。

そして
「釜ヶ崎」という場所だからこその
相互自助のあたたかさを感じるんです。

特に「さと」の子どもたちが
路上生活者たちを見舞う
夜回りのシーンが象徴的。

そうした経験を経て、
きかん坊だった少年がだんだん大人になり
面倒見のよい少女は、将来の目標を見つけて、巣立っていく。


そんな成長を見ていると
本当に「ほこっ」とするんですよ(笑)

それに成長するのは子だけじゃなく、大人もで

我が子を叱ることを抑えられない母親は
「さと」に息子を預けて、距離を取りながら、
自分自身をも立て直そうとがんばるんです。


チャリで始まり、チャリで収束する
シーンもうまい。

自転車は、いつも自力と自立、自走の象徴なのだ!


★6/11(土)からポレポレ東中野ほか全国順次公開。


「さとにきたらええやん」公式サイト



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