若者たちのまっすぐな瞳が、
いまの世の我々を射抜くのです。
「僕たちは希望という名の列車に乗った」72点★★★★
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1956年、ベルリンの壁が建設される5年前の東ドイツ。
東西冷戦下、ソ連軍が駐留する重苦しい社会のなか、
高校の同級生である
労働者階級のテオ(レオナルド・シャイヒャー)と
エリート一家に生まれたクルト(トム・グラメンツ)は
育つ環境は違うものの、固い友情で結ばれていた。
あるとき二人は
自国・東ドイツと同じくソ連の影響下におかれたハンガリーで
民衆が自由を求めて蜂起し、
多くの市民が亡くなったことを知る。
クルトは高校の教室で仲間たちに
「ハンガリーのために黙祷しよう」と提案し、クラスメイトたちも賛同した。
が、そのことが
「国家への反逆」とされ、クルトやテオたちは
厳しい尋問を受けることになる――。
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1956年、ベルリンの壁が作られる5年前の東ドイツで
ある行為から「国家に反逆した」とされた
高校生たちの運命を描いた作品。
なんと実話が基なんですね。
授業前に、ハンガリー蜂起での犠牲者へ黙祷をした高校生たち。
ごく自然に、思いに従って行動した彼らは
しかし「国家への反逆」を問われ、
首謀者を炙り出そうとする大臣の、執拗な圧迫尋問を受けることになる。
仲間を裏切り、安寧を手にしても、その事実を背負って後の人生を生きるのか。
あるいは信念を貫き、これからの人生を棒に振るのか。
10代の未来ある若者たちは
あまりに重い選択を迫られるのです。
観る我々は
国家の非道に怒髪天を突きながら
彼らの選択の行方をハラハラ見守ることになるわけで。
国家、そして己と闘った彼らの姿は
圧政の世で、声を上げることにいかなる勇気が必要か、
しかし、それには、ときに大きな犠牲がつきまとうことを
教えてくれている。
63年も前の話ですが、いまの世に十分通じてると感じるところが
また恐ろしい。
若者たちのまっすぐな瞳は
いまの世を生きる、我々をも射抜いてくるのです。
★5/17(金)からBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。
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