ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

スタンリーのお弁当箱

2013-06-22 18:46:56 | さ行

うわーお弁当が美味しそう!とは想像つきましたが
それ以上によかったっす。


「スタンリーのお弁当箱」73点★★★★


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インドのムンバイに暮らす
小学生のスタンリー(パルソー)は

わんぱくでおもしろいクラスの人気者だ。

だが、お弁当の時間、
スタンリーはお弁当を持ってこない。

クラスメイトたちは彼に
お弁当を分けてやるのだが

しかし食い意地の張った意地悪な先生(アモール・グプテ監督)が
それを阻止しようして――?!

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明るく、弾けるように楽しく
かつ大事な問題にソッと触れるうまい作品。

インド映画だけど、歌って踊って・・・ではなく、
(あいだに、ちょっとポップソングが挟まるけどね)
96分なのもありがたい。


学校にいつも一番乗りのスタンリー。
お弁当の時間に、そっと水を飲みに行くスタンリー。

しかし彼の家庭の描写はまったくなく、
でも、何か事情があることはさりげなくわかる。

そんな彼に仲間たちは
快くお弁当を分けてやる。

そしてそこに悪役の先生が登場・・・と
善悪はっきりと、
観客の感情移入をシンプルに誘導するんですね。


そんなストレートな娯楽性のなかに
そっと
インドの子どもの貧困や、労働問題など
問題提起を含ませてる。
実に効果的な方法だと思いました。

スタンリーをいじめるイジワルな国語の先生は
アモール・グプテ監督本人で

スタンリー役の少年は
監督の実の息子なのだそう。


監督は子どもたちに台本を与えず、
彼らの自然なパフォーマンスを引きだしたそうで
是枝監督の手法に似てるかも。

そういえば
光溢れる映像にもちょい共通点あるかもなー。

こっちのチラシもカワイイです。


★6/29(土)からシネスイッチ銀座、梅田ガーデンシネマほか全国順次公開。

「スタンリーのお弁当箱」公式サイト

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2 コメント

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Unknown (空気人形)
2013-08-05 21:12:31
 本作と「きっと、うまくいく」のどちらを優先するか悩んだんですが、時間割の関係でこちらからというわけで.....。

 あたしゃ、こんな作品に弱いんです。
スタンリー君が訳ありなんて胸ポケットを見ればすぐ判ります。ある時は安全ピン使っていますが、とうとう縫わないんですから。

変な言い方ですけど、お弁当を持って来れないスタンリー君は日本では確実にイジメの対象になるでしょう。しかし、彼のクラスメイトは温かいし、彼も変に卑屈にならない。その辺りから、涙がこぼれました。

そして、全ての事情が明らかになってからも彼は嘘をつきますが、私には彼が希望言っているのだと理解しました。

一味違うインド映画も恐るべし!! お勧め度4です。
注意点がひとつ。空腹で観てはいけません。 
あらよかった (ぽつお番長)
2013-08-06 23:40:08

級友たちの優しさが
ホントにあったかくていいっすよね~

「きっと~」もアップせねばと思いつつ・・・

最近のインド映画、おそるべし、ですよ!

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