いや、いま観てきたばっかなんですど。
これは、紹介したい。
「預言者」78点★★★★
カンヌ国際映画祭グランプリ受賞にして、
ようやく公開された作品です。
無学で孤児院育ちのアラブ系青年マリク(タハール・ラヒム)は
傷害罪で禁固6年となり、刑務所に送られる。
人と関わらず、孤独に日々を過ごすマリクは
あるとき
刑務所内を牛耳るコルシカ系マフィアのボス、セザール(ニエル・アリストリュプ)に
声をかけられる。
セザールはマリクに
ある人物を刑務所内で殺すよう指示する。
苦悩の末に命令を実行したマリクは、
刑務所でさまざまなことを学んでいき――。
刑務所のドラマ、と聞いてイメージするのって
とにかく暴力やレイプ、脱走やサバイバルだけど
そういうものとはちょっと違う。
深く濃く人間を描いたドラマで、
150分もあるのに、全然飽きなかった。
残忍なシーンもあるにはあるけど不必要なエグさはないし、
暴力描写も必要最小限。
そしてなにより
ほぼ主人公マリク当人に“見えるもの”しか映さない方法論がいい。
主人公と同じく我々も
物事の裏や敵になるかもしれない相手の悪巧みを
知る術がないので、
主人公同様に
「次に何が起こるかわからない」。
そして主人公の不安や動悸を
見る人をリアルにシンクロさせるんですね。
以前ご紹介した
「抵抗 死刑囚の手記より」(1956年)に近いものがありました。
はじめ弱々しいアラブ人青年が
民族、宗教入り交じる刑務所で
「誰の傘下に入るのか?」「どう決断するのか?」を
観客は息を呑んで見守ることになる。
だからこそ外出許可をもらったマリクが感じる
シャバの空気のすがすがしさと開放感を
我々も一緒に感じられるんです。
あ~空気うめえ!って。マジで(笑)
タイトルの意味も、かなり効いてきます。
東京では2/3までなんですが
横浜ほか全国順次公開なので
気になっている方は、ぜひ!
★ヒューマントラストシネマ渋谷で公開中。ほか全国順次公開。
「預言者」公式サイト
私もそう解釈しました。
文学でも映画でも
“ノワール”は
フランスの任侠モノだと思います。
濃いぃ闇がまた魅力的(笑)
こちらこそ読んでくださって
ありがとうございます。
また感想聞かせてください。
マフィア版のサクセスストーリーなんですね。
日本の任侠映画のようなジャンルが、フランスにも存在するのでしょうか。
…最後まで、マリクが更生するきっかけをを期待していた僕には、ハッピーエンドなのかどうか、まだモヤモヤしてます。
しばらく尾を引きそうです。
遅れましたが、今回も、心揺さぶる映画のご紹介をありがとうございました。
長く公開されて
観に行っていただけて、よかったですホント。
見終わると
かなりヘトりますよね~
ラストの「ん?これって……?」も
尾を引きますよねえ。
美しすぎる「ショーシャンクの空に」に対して、本作は、リアルなサバイバルを描いていました。
次々と、道徳的ではない道へと進んでいくマリクには、正直言って賛同はできませんでしたが、痛みや苦しさは充分に共感して参りました。
運命が容赦なく転がっていく様子が、あまりにも残酷に感じてしまいました。
観終わった時はちょっとした疲労感で、ため息がもれましたよ…。