ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

パリ20区、僕たちのクラス

2010-03-01 18:25:20 | は行
もし、あなたが学校の先生
いま生徒に手を焼いているとしたら
この映画、ぜったい見るべきです。

正直なところ
「これよりマシ」とホッとして
勇気がわいてくるでしょう。

「パリ20区、僕たちのクラス」68点★★



パリ20区にある中学校の1クラスに密着し
24人の子どもたちと担任教師(男)
1年間の“バトル”を追った作品です。


ドキュメンタリーではなく
担任教師を演じている
元・教師フランソワ・ベゴドーが書いた原作をもとに

演技経験のない24人の子どもたちを配役して
“映画”として作られたもの。

だから
ほぼドキュメンタリーに近いリアルさです。


2008年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞
「おくりびと」や「戦場でワルツを」とともに
昨年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど
すごく評価されていますが


いやー、もうこれは世界が
「口から生まれた」パリっ子たち
すさまじさに驚嘆したんでしょうな。


そして
それに対峙せねばならぬ教育者への
畏怖を込めての
評価じゃないでしょうか。


登場する13~14歳の24人は
本当に“恐るべき子どもたち”

とにかく、議論好きで
徹頭徹尾“抵抗”がお約束。


それも教師の揚げ足を取ったり
ああ言えばこう言う、なんてレベルじゃなく
しっかりスジが通ってたりするから
手に負えない。

思わず「カッ」となりそうだけど
またそんなことしたら
彼らの思うツボで。


悪戦苦闘する先生を見ているだけで
こちらがヘトヘトになります。


でもそこから逃げることなく
立ち向かう崇高ともいえる仕事ぶりは
本当に尊敬に値します。


そしてそんな壮絶な戦いの日々に
わずかな邂逅が見られたときには
見ているほうも「フー」とため息が出るわけです。


ただ、あまりにも
子どもたちVS教師のバトルが壮絶なため

この映画が何を意図して作られたのかが
いまひとつわからなかった。

悩める教育者への応援歌か、

もしかしたらフランスにもいるのかもしれない
モンスターペアレンツに対しての
教育現場の叫びなのかなあ。

でも、たぶん
原作者のベゴドー氏は
それでも子どもが好きなんだろうと思います。
頭、下がります。


★6/12から岩波ホールで公開。

「パリ20区、僕たちのクラス」eiga.comサイト

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2 コメント

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確かに (ぽつお番長)
2010-03-01 19:20:03

中学のとき
散々体罰くらったけど
すごくいい先生がいた。

番長に“映像”の道を
開いてくれたと言える人。

でも何年か後に
その調子でやってたら
どっかに飛ばされたと
風の噂で聞いた。

子どもながらに
そっちのほうがコワイと思った。

あ、それにやっぱ中学んとき
威張ってばっかで最低な教師を
授業中に糾弾したことも思い出した・・・

中学って、いまさらながら
魔窟なんだな・・・
生徒にとっても教師にとっても。
返信する
聞くだけで恐ろしい (三本毛)
2010-03-01 19:12:25
今の子供たちって恵まれているよね。
先生が恐い存在じゃないんだもの。
うらやましいよね。
中学の時の先生なんて、ホント恐かった。看守みたいだったもん。体罰なんて当たり前だったし←これは問題だが。
教育現場の崩壊は、深刻な問題だね。
返信する

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