
非常におもしろく撮ってあるので
予備知識ナシで、ぜひ!

「ルーム ROOM」74点★★★★




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5歳になったジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)は

大好きなママ(ブリー・ラーソン)と狭い部屋に暮らしている。



部屋には天窓しかなく
いろいろ不便もあるけれど

毎日、ママと歯みがきし、ストレッチをして、テレビを見る。


そんな日々は楽しくて
ジャックにはこの部屋が世界の全てだった。


しかし、ママは
ジャックに真実を話そうと決心する。

ママとジャックは
この部屋に閉じ込められているのだと――。

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主演のブリー・ラーソンが
アカデミー賞主演女優賞を受賞した話題作です。

「ショート・ターム」でも
おかんっぽさ、母性の表現がうまかったですもんね。
おめでとうございます~!




で、本作の見どころはなんといっても
前半の異様な閉塞感。

「その部屋」から外に出られない
若いママと5歳の息子ジャックに


何が起こっているかがだんだんわかってきて
ゾッとするんだけど

そこをカンペキにジャックの目をとおして
描いているのがうまいんですねえ。


小さな部屋が無限の広がりを持っていた子ども時代の気持ちを
誰もに思い出させるし




そこにある母と子の愛も、たしかに感じられる。
だから悲惨な状況のはずなのに

なんだか「しあわせ」の温もりがある

不思議な体験ができます。

そして、ハラハラの脱出劇がある!

で
さらにそこから先が、また憎い展開なんですねえ。

ぜひ、見て体験してほしいので
ここから先は観てからどうぞ――!

















といいつつ
書いてしまいますが
(観てから読んでくださいね!)
奇跡的にママとジャックは
あの部屋を脱出できるわけですが
(あの警官、表彰ものどころじゃないわ。

解放されて
「世界が広がった!」

そうはならない。
ジャックにとっても、観客にとっても
世界はあまりに広く、無機質で
どうも期待したワクワク感


そしてママは少しづつ壊れてゆき
あんなに密接だった母と息子の、
絶対的な関係も消えていってしまう。


それは誰しもに経験ある
母親との決別、という通過儀礼でもあるんだと思うんです。
そう、この映画がうまいのは
子どもの目線に徹底した演出と
その使命を敢行したジェイコブ・トレンブレイ君の


コラボレーションの妙にほかなりません。



もちろんブリー・ラーソンだっていいんですけどね。

長かった髪を切って少年らしくなったジャックが
犯人に似ているさまも

これからの暗雲を予感させるんですよ。

逃げ出して自由になったから、犯人が捕まったから、で
被害者は救われるわけじゃない、という
辛い現実なんだと思います。

そして
息子と母との決別が、ここにも現れているのかなと
感じました。

しかし、欲を言うと
出来事のインパクト、異様さに比べて、
残るものがわずかに物足りない気がする。

その物足りなさを、
ジェイコブ君の名演技


母への息子の絶対的な愛は
やはり「カフェ・ド・フロール」が秀逸だったなあとか
思ったりもするんです。
★4/8(金)からTOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開。
「ルーム ROOM」公式サイト
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