ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ブレス しあわせの呼吸

2018-09-06 23:38:03 | は行

 

これが実話って、いいなあ!

 

「ブレス しあわせの呼吸」70点★★★★

 

***********************************

 

1957年、イギリス。

青年ロビン(アンドリュー・ガーフィールド)は

並み居るライバルを押しのけ、美しいダイアナ(クレア・フォイ)を射止め、結婚する。

 

アフリカ・ケニアで茶葉の買い付け業を始めたロビンは

ダイアナとともに現地で新婚生活を謳歌。

めでたく、ダイアナが懐妊したことがわかる。

 

が、そんな幸せの絶頂で、彼に異変が起こる。

身体が動かなくなり、倒れてしまったのだ。

 

診断結果はポリオ。

 

治療の術もなく、首から下は麻痺したままのロビンは

「余命数ヶ月」と告げられる。

 

人工呼吸器につながれ、

「死にたい」と口にするロビン。

 

そのとき、ダイアナが取った行動とは――?!

 

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「ブリジット・ジョーンズの日記」などで知られるプロデューサー、

ジョナサン・カヴェンディッシュ氏の

ご両親の実話が基。

 

本当にこんなご両親だったんだろうなあ

あったかいなあ、と素直に観ることができました。

 

1950年代に28歳でポリオを患い、首から下が完全に麻痺し、

人工呼吸器につながれ、「余命数ヶ月」と言われた父ロビン。

そのとき、母のお腹にいたジョナサン氏。

 

絶望し、「いっそ殺してくれ!」と言う父が

いかにして、予想を覆すまで生き抜くことができたのか。

 

その理由は

前向きで明るい妻と、サポートする仲間の存在にある。

 

死を待つだけの病院から夫を連れ出し、

「なんとかなるわよ!」と自宅介護を始めちゃう妻。

 

人工呼吸器付きの車椅子を開発し、

彼を移動可能にしてあげる友人。

 

そんな周囲の支えで、

ロビン氏は生きるガッツを取り戻す。

そんなロビン氏のがんばりと、その心の持ちように

観ているこちらが、励まされるんです。

 

なにより

シリアスにしかなり得ないような状況に、

プッと笑いが起こる妙。

 

スペイン旅行に行った彼らに(まあ、行ったこと自体、スゴイけど)

起こったトラブルのエピソード、よかったなあ!

 

さぞかし、この夫婦、ユーモアセンスもマッチしたんだろうなーと

釣られて笑ってしまいました(笑)

 

映画com.さんの映画評にも書かせていただいたのですが、

ワシ、この映画で傑作ドキュメンタリー

「ギフト 僕がきみに残せるもの」(17年)

を思い出した。

 

来日時に取材させていただいた、彼の奥さんが言ってたこと。

「いまの状況に絶望して『もういやだ!』って、ベッドに転がったままじゃどうしようもない。

だから私たちは、『起き上がって、やるしか、ないんじゃない?』っていうのよ」

 

まさに、この夫婦の絆もそんな感じ。

ホント、ガッツもらえました(泣)。

 

★9/7(金)から角川シネマ有楽町ほか全国順次公開。

「ブレス しあわせの呼吸」公式サイト


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