ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

2014-02-22 23:16:26 | な行

アレクサンダー・ペイン監督作のなかで
一番好きだな~。


「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」77点★★★★


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40代のデイビッド(ウィル・フォーテ)の
ちょっとボケかかった父ウディ(ブルース・ダーン)は

ある日
「貴方様に、100万ドルが当選しました!」という
手紙を受け取る。

ありがちな“釣り”のダイレクトメールなのに
父はそれを信じ
「ネブラスカまで換金に行くのだ!」と言ってきかない。

しかたなくデイビッドは父を連れて、
車でネブラスカまで行くことに。

だが案の定、道中はトラブル続きで――?!


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40代息子が、疎遠だった父親と旅をしながら
いままで向き合うことのなかった父や
その過去を知っていく――という話。

ミカ・カウリスマキ監督の
「旅人は夢を奏でる」といい

父と息子のモチーフは
今年、けっこう“キテる”素材だと思います。


本作はモノクロですが
そのことに、実に意味があるのがいい。

父と息子が巡る、かつて住んでいた町――
閑散とした田舎町の風景、
昔と変わらずそこにあるもの、止まっている時間……

そんな“枯れ”を描くのに
モノクロがとても有効に働いている。

単なるファッションとかでなく
それをすることの意味があるのが素晴らしいですね。


ブルース・ダーン演じる父親の
ボケてるようで、意外と要所はついてくる
“ヨボ芸”が見事だし

“ヒューマンドラマ”というには面映ゆいような、
何処にでもある家族噺の加減が、
ゆるりオフビートなユーモアとうまく噛み合って
ものすごく気持ちがよかったです。


アレクサンダー・ペイン監督って
「アバウト・シュミット」も「サイドウェイ」も「ファミリー・ツリー」も
けっこう同じモチーフを扱っているんですよね。

ロード・ムービー要素があったり、
知られざる過去(妻の浮気とかさ)があったり。

好きだし、うまいけど
どこか
コショウの一ふりが足りないような感じを持っていたんですが

本作は味も内容も、ピコーン!ときた。

音楽もよかったです。


★2/28(金)からTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国で公開。

「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」公式サイト

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2 コメント

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Unknown (ぷっちん)
2014-02-23 06:47:23
おはようございます。

>コショウの一ふりが足りないような感じを持っていたんですが

上手いことをおっしゃる。(笑)

今回は、それを補う物があったのですね。
興味を引きます。
返信する
ありがとうございます☆ (ぽつお番長)
2014-02-23 22:31:47

今回は
ピリッと、味、決まってます!
返信する

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