ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ロマン・ポランスキー 初めての告白

2013-06-03 20:35:32 | ら行

「ゴーストライター」(10年)「おとなのけんか」(11年)と
ここ最近、絶好調ですもんねえ。

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「ロマン・ポランスキー 初めての告白」69点★★★★


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「ローズマリーの赤ちゃん」「戦場のピアニスト」などで知られる
あのロマン・ポランスキー監督が
自身の波瀾万丈な人生を告白するドキュメンタリー。


50年来の友人が監督で
彼に語る、というスタイルなので、
かなりディープな部分まで、気さくに話しているのがスゴイ。

第二次大戦中、ユダヤ人として強制収容所に送られた
少年時代の悲惨な体験。

母親をガス室でなくしたこと。

そして生き延びたなかで映画と出会い、
字幕で文字を覚えたという話には
思わず「グッ」と胸にくるものがあった。

映画が教科書だったんだ・・・。

その後、大学時代は俳優を目指すも、
またしても時代と政治にはばまれてしまうなんて
波瀾万丈すぎる・・・。

そして映画監督として成功を収めたのちの
あの悲劇――。


なんて酷いことだろう!

すべて
「いまだから」語れることなんでしょうね。

その人の人生がそのまま
歴史の一部になっているという驚きと、

それらを自身のなかで漉して、
最近の傑作を生み出したんだなあという感慨が大きいです。

本人をこれだけまじまじ見ると
やっぱり、ルックスいいなあとか思ったりして。

ただ映画としての作りは
基本インタビューアー(監督)と一対一の対面式。

所々に昔の映像や作品が挟まるだけの
シンプルさなので

フッと眠気に襲われることも(苦笑)。

あと、一番の「惜しい!」点は
自身が起こした77年の「児童わいせつ容疑」の話が、
全然出てこないところ!

このドキュメンタリーが撮られる
タイミングと時間を生み出した原因でもあり
(撮影時、09年にスイスで身柄を拘束され、自宅軟禁状態にあった)

ホントのところを聞きたかったんですけどねえ。

いえ、決してヤジ馬ではなく(え?)


★6/1からシアターイメージフォーラムで公開。

「ロマン・ポランスキー 初めての告白」公式サイト

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2 コメント

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ドキュメンタリーでなくても (ぷっちん)
2013-06-03 22:16:27
こんばんは。

こういった作品が、あったんですね。
海外の監督の中では、その人生が一番気になる存在です。

ドキュメンタリーでなくても、彼の人生は映画になるような壮絶なものだったのでしょうね。

返信する
ほんとうに (ぽつお番長)
2013-06-05 00:07:27

芸術家が
歴史の生き証人となることの
おもしろさ、といっては語弊があるかもしれませんが

この人生を昇華して
あの作品を撮ったと思うと
感じいるものがありますねー。

フツーに映画化しても
十分に2時間持つネタですよコレは・・・

ぜひ観てみてください!
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