ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

湾生回家

2016-11-11 23:47:51 | わ行

台湾という土地と人々の温かさが、沁みる・・・(泣)


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「湾生回家(わんせいかいか)」70点★★★★


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1895年から1945年まで
日本に統治されていた台湾。

その台湾で生まれ育ち
しかし敗戦によって、日本へ強制帰還させられた
「湾生(わんせい)」と呼ばれる日本人の人々を
台湾の監督が追ったドキュメンタリーです。

まさに「海角七号 君想う、国境の南」で
描かれた背景ですな。


映画は数人の湾生たちに密着し、
その人生と現在を追っている。

湾生の人々はみんな故郷の台湾に恋い焦がれているような感じで
何十年ぶりに台湾を訪れて、旧友に会ったり
昔の場所を訪ねたり、
逆に日本で自分のルーツを再発見したり。


これがなかなかドラマチックで
しかも過剰でなく、自然。

なんといっても
湾生の人々を迎える、台湾の人々が
本当に優しいし、あったかいんですよ。

みな日本語を話せるし、親日だし。
湾生の人々を惹きつけるものは、
この人と土地の懐深さと、おおらかさによるところが大きいんだろうなあと感じた。

「セデック・バレ」でも描かれたように
日本の統治による負の面も
いろいろあると思うけど
人と人のレベルの“つながり”が自然に行われる
この感覚が、なんだか嬉しい。

台湾でも大ヒットしたそうですが
なるほど納得です。


通販生活web「今週の読み物」
ホァン・ミンチェン監督にインタビューをさせていただいたんですが

1970年生まれ(同い年!)の監督は
かなりの日本映画好きで
是枝作品のなかでのベストは「歩いても 歩いても」なんだそう。

「一緒!」と思わず盛り上がりましたが(笑)
そんな市井目線と感覚が、この映画にもあるのかもしれない。


日本人監督が
この時代の台湾の人々の心境を描いたドキュメンタリー

「台湾アイデンティティ」(13年)
もあったし

日本と台湾の関係は、知れば知るほど、もっと知りたくなる。
おもしろいですねえ。


★11/12(土)から岩波ホールほか全国順次公開。

「湾生回家」公式サイト

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